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挑戦し続けることに意味がある

01/06/2016


 

挑戦し続けることに意味がある

 

五郎

 

誰もいなくなった無音のグランドで、澄みきったブリスベンの青い空に迷いなく突き抜けていくラグビーボール。2015年、ラグビーW杯代表選手として、日本中に感動と希望を導いた五郎丸は、高校生以来ぶりとなるオーストラリアのグラウンドを再び踏みしめている。5月21日のサンウルフルズ戦の前に、現在の心境をうかがった。

 

 

いつも全体練習後に残ってキックをされているんですか?

 

そうですね、練習が終ってから。レッズに来たからとかではなくて、いままで通りずっと日課でやってます。

 

こちらでの生活には慣れましたか?

 

もう3ヵ月経ちますんで、だいぶ慣れたと思います。

 

ご家族の方も一緒に来られたとお聞きしましたが。

 

家探しなどゼロからのスタートだったんで、最初は大変でしたけど、今はもう落ち着いて暮らしています。こちらでは家族との時間を楽しめています。でもそろそろオージービーフは飽きてきました。やっぱり日本食が恋しいですね。

 

食事の管理などは、基本的にチームが管理するのですか?

 

いえ、奥さんが管理してくれています。

 

オーストラリアに来る前に「まずは、どれだけ失敗して帰って来れるのかというのが僕としては楽しみ」ということをおっしゃっていました。実際のスーパーラグビーでのプレーはどうでしょうか?

 

想像していた通りですね。そんなに世界は甘くないし、コミュニケーションの部分でも、来たらどうにかなるかなという気持ちもありましたが、まだまだという印象です。しかし、プレーの部分でも英語の部分でも、まだまだ伸びシロは自分にあると思っています。いい環境でやらせていただいているというのが印象ですね。

 

練習を見学させていただいて、英語でのコミュニケーションは円滑にできているなと感じました。エディ監督の言葉を借りると、チームとしてのジグソーパズルのピースはハマり始めていますか?

 

レッズとして他のチームと戦っていますが、その前にここ(チーム内)でも戦っているという印象ですね。

 

3月27日に3試合ぶりの試合に参加されています。ハイランダースにはスーパーラグビーのパイオニアの田中史郎選手がいて、非常に注目を浴びた一戦となりましたが、振り返っていかがでしたでしょうか?

 

出場機会がどうしても少ない状況だったんですけど、あの試合は20分くらい出れましたし、前年度のチャンピオンのチームと試合ができたこと、そしてホームで勝つことができたことは非常にいい思い出になりました。

 

21日にいよいよサンウルフルズとの試合が行われますが、今の心境をお聞かせください。

 

当日は日本から多くのファンの方が来てくださるそうで、自分自身も試合に出たいという気持ちはあります。ただラグビーをきっかけにせっかくオーストラリアまで足を運んでくださるのなら、ラグビーだけではなく、観光の面でも素晴らしい国ですから、この街のいろんな場所を見ていただいて、日本とは違う文化を感じて楽しんでいただければなと思います。

 

五郎丸選手がブリスベンに来ていることで、日本に住んでいる方にも、ブリスベンという町が浸透していってるように思います。

 

でもやっぱりシドニーのイメージが強いですからね。ブリスベンも素晴らしいところなんで、ぜひ知ってもらえれば。普段、家の近所とかで日本人にほとんど会わないんですよね。

 

福岡出身ということですが、今回の熊本震災を受けてどのように感じていますか?

 

実際に僕が目で見ているわけではないんですけど、東北のときと同じショックを受けた印象がありますね。僕自身も九州で産まれた人間なので。一日も早い復興を願っています。

 

3.11のさいには、釜石で復興祈願をこめて、釜石シーウェイブスと試合をされていますね。

 

そうですね、復興ということで釜石に一試合しに行きました。今回も、もちろん行きたいという気持ちはありますが、いまはこういう状況でなかなか難しくて。タイミングが合えばぜひ行きたいと思っています。

 

3ヵ月を振り返って印象的だった出来事はありますか?

 

メンバーから外れたことですね。でもネガティブに捉えていません。

 

3歳でみやけヤングラガーズに入っていますが、そもそもラグビーを始めたきっかけは? おじいちゃんの影響も大きかったのですか?

 

親が好きだったので、兄弟みんなで同じタイミングで始めました。おじいちゃんは、ラグビーというよりスポーツが好きでしたね。

 

中学校まではサッカーとラグビー両方に打ち込んでいらしたそうですが、どの時点でラグビー選手を意識しだしましたか?

 

高校に行ってからですかね。高校ラグビーで初めて自分が全国レベルに立てるということがわかって、そこからです。

 

フルバックを意識されたのはいつ頃からでしょうか? また、他のポジションに興味を持ったことは?

 

中学ではフルバックというポジションはなかったので、高校からフルバックをやりました。他のポジションに興味はなかったですね。

 

佐賀工ラグビー部では恩師の小城先生と巡り会っていますね。

 

ずっと父親みたいな感じでした。僕は福岡から佐賀に来て兄と同じ寮に下宿して同じ学校に通っていたんですが、小城先生はラグビー以外にも人生のことなど、練習が終わった後に色々僕らの前で話してくれるんです。それが、すごくためになることが多くて、今でもベースになっていますね。

 

その頃に一度ブリスベンに来ていますね。

 

高校三年生のときですね。ホームステイしていたと思います。そこがどこだったのか、いまドライブして探しているんですけどね。よくホームステイ先の子供とバスケットボールをして遊んでました。

 

そのときに言葉が違ってもスポーツで仲良くなれるということを感じたと伺いました。

 

まあそれだけでスポーツ選手になったというわけではないですけど、プロを目指すひとつのきっかけにはなりましたね。

 

五郎丸選手がキッカーとして成長していくきっかけとなったのが、ジョニー・ウィルキンソン選手のキッククリニックだったとお伺いしたんですが、具体的にどのような心境の変化があったのでしょうか。

 

世界のトップでやってる選手でさえも、これだけキックに対してこだわって練習しているんだなと肌で感じました。自分もそうしていかないといけないと刺激をもらった感じです。

 

大学卒業後にヤマハ発動機ジュビロに入られるわけですが、しばらくして、会社の経営問題などからチームの不調が続き、成果をあげられないことが続いたようですが、それまでトップとしてプレーしてきた五郎丸選手にとって、歯がゆい思いはありましたか?

 

実際プロでもトップチームでやりたいとそのとき思っていれば、そのままできたかもしれないですけど。違う世界と言うか、優勝していなかったチームで一緒に成長していく道を大学のときに決断しましたので。

 

一時期はトップリーグから降格問題まで行ってしまったヤマハ発動機ジュビロが、2015年の第52回日本ラグビーフットボール選手権大会において初優勝を果たしています。ラグビー活動縮小などで少ない選手数で戦ってきた経緯を経ての優勝はどう感じましたか?

 

活動縮小したためにチームを離れた選手もいましたし、自分も含めてプロだった選手が社員になったり。ギリギリの中でチームを存続させていかなければならなかったですし。本当に色々な大変な思いをしました。それがあったからこそ、他のチームより優勝した喜びが大きかったと思います。

 

2019年にはW杯が日本で開催されます。そして2020年にはオリンピックも控えています。五郎丸選手は今年で30歳を迎えるわけですが今後の展望は?

 

神のみぞ知るという感じですかね。

 

オーストラリアで生活している日本人には言葉の壁などになかで頑張っていて、自分の姿を五郎丸選手に重ね合わせて共感する方が多いと思いますが、そんなファンにコメントをお願いします。

 

あんまり人に合わせすぎる必要はないということですかね。自分らしくいられればそれでいいと思うんです。オーストラリアですから英語がわかればもちろんいいと思いますけど。オーストラリア人は日本語が話せないから日本人が英語を話すというか。われわれの方が上に立つくらいの気持ちで考えてたらいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

五郎丸歩

1986年3月1日 福岡県福岡市に生まれる。
3歳の時に兄弟と、みやけヤングランガーズでラグビーを始める。筑紫丘ジュニアラグビースクール、佐賀工高校に進学。高校2年、3年と連続で花園準優勝、国体では優勝を果たす。2005年、早稲田大学在学中の2年生の時に日本代表デビュー。2008年ヤマハ発動機とプロ契約を果たす。2011年、2012年度トップリーグ得点王、ベストキッカーを受賞。2015ー2016年シーズンまで5年連続5回のベストフィフティーンを受賞。同じ年、トップリーグ史上2人目となるリーグ通算1000得点で、特別賞も受賞。2016年2月よりオーストラリアのクイーンズランド・レッズでプレー中。

 

 

 

 


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