オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」
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Cheers インタビュー


朝食の王様

09/12/2010


“世界一の朝食を作る男”として、いまや多くのハリウッドスターを魅了するビル・グレンジャー氏。ニューヨクタイムズで絶賛された、雲のようにフワフワなスクランブルエッグをはじめ、あのレオナルド・ディカプリオが撮影中に虜になり、通いつめたというリコッタホットケーキなど、オーストラリアのブランチカルチャーに火を付けた男としても知られる。日本にも店舗を持つ“ビルズ”。実はそのルーツは、我が国『日本』にあるのだという。将来は日本食レストランをオープンしたいという夢を持つ、日本を心から愛するセレブシェフに、その思いを語っていただいた。

 

1993年ダーリングハースト店、1996年サリーヒルズ店、2005年ウラーラ店に続き、2008年には待望の海外店舗を鎌倉・七里ガ浜に、そして今年は横浜・赤レンガ倉庫にもオープンされましたが、初の海外出店になぜ日本を選ばれたのでしょうか?

それは日本を心から愛しているからです。 実は、19才のときに1年ほど日本で生活をしていたんです。当時はアートスチューデンドとして滞在していて、料理ともまだ出会ってなかったのですが、日本の食文化をはじめ、伝統や芸術など、日本のカルチャー全般に惚れたんです。特に日本人の食に対する誇りや愛情に衝撃を受けましたね。日本で受けたインスピレーションが、ビルズのコンセプトに深くか関わっているのはたしかです。 

そのビルズのコンセプトとは?

 『シンプル』。素材を生かすため、調理法はなるべくシンプルに、それが僕の料理に対するこだわりなんです。寿司や刺身など、素材そのものを楽しむ、そういった料理が僕は好きなんです。日本食にはそういったものが多いですよね。

鎌倉店、そして横浜店、ともに評判を博しているとうかがいました。

おかげさまで毎日が満席、大成功です! ビルズのコンセプトが日本で受け入れられるのか、それがオープン当初一番心配していたことなんです。だから日本の方々が行列を作って待っている姿、心から料理を楽しんでいる姿を見ると、とてもうれしく思います。実は来年のロンドン店オープンに続き、日本で3店目をオープンする予定なんです。

日本のどこにオープンされる予定ですか?

それはまだ秘密です。正確に言えば、まだロケーションを探索中なんです(笑)。

ところで、ビルズ・ジャパンのメニューはオーストラリアと同じなのでしょうか?

まったく一緒です。オーストラリアのビルズをそっくりそのまま日本で再現する。これが当初からの目的だったんです。日本人の舌に合わせて料理を調節するのではなく、オーストラリアの味を、日本の方に食べていただきたい。第1店舗目に七里ガ浜を選んだのも、目の前に広がる海が、日本人が想像する〝オーストラリア〟に一番近いのではないかと思ったからです。おっと、僕今小さなウソをつきました…。ビルズ・ジャパンのメニューから、〝ポレッジ〟と〝ミューズリー〟※は外したんです。その食感は、日本人には受け入れがたい、一説には〝家畜の餌のようだ〟…と聞いたので(笑)。たしかに、日本食にはない食感ですよね。 

食材の仕入れ先や、水や気温、環境の違いなど、日本でビルズを再現するのは大変でしたか?

初めは食材の仕入れに苦労しました。日本、とくに鎌倉は食材の宝庫ですが、リコッタチーズなど、特定の食材に関しては、僕が求めるものがなく、いちから自分たちで作っていました。現在は農家の方に特別に作っていただいているのですが…。でも試行錯誤を重ねながら新しいことにチャレンジするのは大好きです。

大の日本食好きと聞きましたが、どういったものが好物ですか?

寿司や刺身はもちろん、串焼き、そば、お好み焼き、焼きうどん…。とにかく何でも食べられます。欧米の人は、日本食というと、寿司、刺身、照り焼きなど、定番のものばかりオーダーしがちですが、日本食はもっと奥が深いと思います。現在はロンドンで暮らしているのですが、外食はほとんどが日本食ですし、シドニーで暮らしているときは、ニュートラルベイの『新ばし』によく足を運びます。

ご自宅では日本食を料理されることはありますか?

もちろん! 日本食はシンプル、かつヘルシー。そして家族皆が喜んでくれるんです。先日も牛丼、おひたし、味噌汁が評判でした。おひたしのダシはインスタントですが…(笑)。

10月にリリースされたレシピ本『ビルズ・ベイシック』には、卵を用いた、世界各国の朝食について触れていましたが、和朝食の定番である卵焼きや生卵は試されたことはありますか?

卵焼きは大好物です! 生卵? それは試してみないと! ジャパニーズ・ブレックファーストは、栄養バランスが素晴らしい。とくに塩鮭やシラスが好きですね。納豆も食べられるようになりました。納豆にマスタード、はまりますね!

ところで、レシピ本にはビルさんのスクランブルエッグが載っていなかったのですが、やはり秘密なのでしょうか…?

卵2つに生クリーム90 ml、バター…(レシピは下記を参照)。レシピは皆とシェアするためにあるんです。ぜひ載せてください! ポイントはあまりかき混ぜないこと。木ベラを使って、優しく外側から中心に折りたたむように調理することです。スクランブルエッグだけど、〝スクランブル〟しないことです(笑)。

朝食の王様と言われるビルさんですが、朝はシリアルで済ませる、という日もあるのでしょうか?

あははは。娘がときどき食べるので、食糧棚に常備されていますが、僕の家庭では、どんなに忙しくても、朝食を作る時間、そして食べる時間はしっかり設けているんです。シリアルはどちらかというとホリデー中など、特別なときだけに食べる許可を与えています(笑)。そのため子供たちは〝ホリデーシリアル〟と呼んでいるんですよ。

朝食は3食の中でも一番外されやすい食事でありますが、朝食をスキップしがちな方に何かアドバイスはありますか?

ヨーグルトを冷蔵庫に常備し、ブルーベリーやイチゴなどのベリー類と食す。空腹のまま1日をスタートするよりも、断然良いのではないでしょうか。これに片手一杯のナッツ類があればパーフェクト。プロテインは〝食べ過ぎ〟を予防するのに大切ですからね。

ビルさんにとって料理で最も大切な3つの要素を教えてください。

新鮮な食材、シンプルな調理法、そして味見です。新鮮な食材を生かすためには、シンプルな調理法でないといけないのです。そして何を料理しようと、味見は忘れないでほしい。味覚は人それぞれ違いますし、日(体調)によって変わるものです。僕の〝塩ひとつまみ〟や〝レモンひと絞り〟はあなたの感覚と違うはず。だから皆さんも色々と試しながら、料理を楽しんでほしいです。

オーストラリアでは、多くの日本人がシェフやキッチンハンドとして働いていますが、そういった方々がこの国で成功するため、何かアドバイスはありますか?

まずはキッチンで不自由しないためにも、英語をしっかりと勉強してほしいです。そして自分の力を過小評価せず、恥ずかしがらず、積極的に'チーム'に参加することです。たとえ皿洗いとして雇われていても、「野菜を切らせてください」とか、「皿洗い以外に何かさせてください」と自分を売り込むことです。日本人のシェフやキッチンハンドは皆礼儀正しく、謙虚で、とても熱心に働いてくれます。世界一ですね。ジャパニーズシェフはいつでもビルズにウェルカムですよ。

職を希望する日本人から応募が殺到してしまいますよ…。

キッチンが全員日本人でも良いと思うくらいです。どしどし応募してください(笑)。将来日本食レストランをオープンする、というのも僕のひとつの夢ですから。

最後に、チアーズ読者にメッセージをお願いします。

日本が僕をインスパイアしたように、オーストラリアも皆さんの人生にあらゆる刺激を与え、新たな道や発見に繋がることを祈ります。オーストラリアを存分にエンジョイし、そしてぜひビルズに遊びに来てくださいね!

Bill Granger
メルボルン出身。美術生時代、アルバイトをきっかけに料理に目覚める。若干23歳でビルズ1号店をオープン。その後国内に全3店舗、日本に2店舗とビジネスを広げ、2011年にはロンドン、そして日本で3号店をオープン予定。テレビ番組、レシピ本など、幅広く活躍。
オフィシャルHP:http://www.bills.com.au


 

CHEERS 2010年12月号掲載


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