ローカルミュージックシーンに眠れる才能を発掘 Fishing FISHING | Cheers インタビュー

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「シドニーなんて田舎」と日頃思われている方、ジ・エンドです。在豪している日本人の方にもっとシドニーのローカルシーンを肌で感じてほしいというお節介な思いで始まったこのコーナー。メジャーどころからアンダーグラウンドまで活気あふれたローカルミュージックシーンをご紹介します。第3回を迎える今回 は、周りがすぐにも踊りだしたくなるようなシドニーのパーティミュージックメーカー『FISHING』。大学の勉強中に気が散って、PCを使い遊び半分で作った音楽がすべての始まりだと言う。そんな遊び心たっぷりの音楽を、ツアーを通しオーストラリア全土に伝えてきた彼らに話を聞いてみた。

初めまして。『FISHING』の曲「Oooo」をある音楽ブログで聴いてから、ずっとお会いしてみたかったんです。最近はどんな活動をしているんですか?

Russell Fitzgibbon(以下R):11月からずっとオーストラリアをツアーで回ってたんだ。『Jinja Safari』というバンドとのツアーで5ヵ所、それから『John Steel Singers』というバンドとは13ヵ所回ったよ。
Doug Wright(以下D):毎日移動で忙しかったけど、全部クリスマス前に終わり、今はようやく落ち着いた感じかな。他のバンドとツアーするのは初めてだったからすごく楽しくて。最後の方はみんな仲良くなって、大家族と一緒に旅行してるみたいだった。 R:『FISHING』は元々、大学の勉強が嫌だった僕、適当にPCで遊びながら作っていた音楽が始まりなんだ。自分のベッドルームで創ったものを、今は大勢の観客の前で演奏するとは想像もしてなかったね。

それが『FISHING』の始まりですか? 遊びが仕事になったのですね。

R:そう、夢のようだよ。2009年末ぐらいから僕がPCで適当に作曲してて。それまでエレクトロニカの様なことはしたことがなかったんだけど、ダグはいつも僕らの別のバンド『We Say Bamboulee』をプロデュースしてたから、助けてくれるようになって。当時僕が創っていたものは全部インストゥルメンタルで、彼が入ってからはボーカルを入れたりと変化が出てくるようになったかな。
D:デュオになったのは主にライブが目的。元々ロックバンドにいてライブの楽しさを知っていたから、この新しいプロジェクトでもライブがしたかったんだ。
R:今ライブでやっている楽曲はひとりじゃできなかった。もちろん、DJみたいに既に録音されているものを演奏することはできるけど、それはやりたくないしね。でも2人でやれば、その場のステージでできることがたくさん増えるんだ。

ライブのセットアップはどんなものなのですか?

R:ダグはMPCをギターペダルに通してビートを作り、僕はPCとMPDを連結してエイブルトンを使い、ビート以外を担当している。既に録音された短いループやBGMを使うのはなるべく避けて、全部その場で演奏してるんだ。だからミスもあるけど、その場で編曲も可能なんだ。
しかし、そのミスがその夜だけの特別バージョンにもなるということですね。 D:そうそう。それにビートを実際にその場で作れば、観客もどんなサンプルを起動させているのがわかるし、レコーディングのように完璧なタイミングでできないから、若干緩めでノリやすいと思うよ。

曲作りはどうでしょうか。新しい楽曲はありますか?

R:僕が『FISHING』の作曲をする時は、「よし、作曲するぞ」なんて姿勢は全くない。僕ら2人とも常にPCで遊んでるし、そのお陰で曲も自然と生まれてくる。一晩で作ったビートが数週間後には曲になってることもありえるんだ。

曲作りにはいつもどのくらいの時間をかけるんですか?

D:30分(爆)。
R:でも、曲の核となる部分の70%は、最初の30分でできあがっていると思う。
D:僕は集中力が切れるのが本当に早いから、1曲に30分費やしたら後はラッセルに任せてしまうよ(爆)。

リミックスもよくやっていらっしゃいますよね? これは他のバンドからリクエストされたものなんですか?

R:そう、知り合いのバンドに頼まれたものばかりだよ。ステムと呼ばれる曲中の楽器が別々に収納されているファイルをもらってやるんだ。『Alpine』、『Jinja Safari』は終えて、『Jonothan Boulet』は近々リリースすると思う。

『Guerre』とは親しい仲なのですか? マイスペースで見た限りでは、一緒に曲を書いてましたよね?

D:あぁ、『Guerre』ね。いい仲間だよ。フランス語で「戦争」という意味なんだって。
R:彼はもともとカナダ出身で、最近シドニーに移住したんだけど、ある時インターネットで彼の曲を発見して、一気にファンになってしまった。一緒にライブをしようと誘ったのがきっかけで仲良くなったんだ。インターネットで発見した人と実際出会うって不思議な感覚だよね。
D:仲良くなって一緒に「Boyfriend」という曲も書いた。たぶん君がマイスペースで見たのもそれだね。インターネットを中心としたコミュニティが今すごく大きくなってる。音楽ブログの数は増え続けてるし、インターネットで宣伝を済ませてしまうバンドも少なくない。でもその代わり、コミュニティとしてはすごく結束されていると思う。「Life Aquatic」という音楽ブログが今お気に入りで、僕らはもちろん、他にも『Guerre』や『Jinja Safari』など今が旬のアーティストたちがアップされるんだ。僕らもその一部であれてうれしいよ。

2011年の抱負はありますか?

D:アルバムを制作すること。それが間違いなく一番の目的かな。
R:そうだね、そのためにも曲を書き続けることが目標だね。
D:制作が終わっているEPの発表にも向けてライブを計画中だから、みんなにも遊びに来て欲しいな。

FISHING
軽快なサーフロックを持ち味にしてシドニー音楽シーンを沸騰させていた『We Say Bamboulee』のサイドプロジェクトである『FISHING』。ビート担当のダグと楽器担当のラッセルの2人で2009年から活動開始。『Alpine』や『Jinja Safari』など名の高いインディーズバンドのリミックスも手掛ける。また、インターネットでの存在感も強く「Pitchfork」や「Life Aquatic」でも紹介されている。おそよ2ヵ月に渡ったナショナルツアーを終えて、現在は自身のEP発表に向けて計画を進めている。


 

CHEERS 2011年2月号掲載


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