水泳界期待の星と熱血コーチ 松尾亜美X鬼頭亮介 | Cheers インタビュー
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    4年に一度開かれるジュニアの国際スポーツ大会パシフィック・スクール・ゲームの競泳部門で、見事に200メートル自由形のNSW州チーム代表選手となった12歳の松尾亜美ちゃん。年に数回行われる州大会で数々のメダルを獲得、大会新記録を打ち出すこともあった彼女が、環太平洋エリアの国々が参加する国際大会にいよいよ進出する。一方、2000年シドニーオリンピックを生で観戦した感動を胸に、コーチとして8年間水泳に情熱を注いできた、本誌コラムでもおなじみの鬼頭亮介さん。11月末スタートの国際大会を前に、水泳界期待の星、亜美ちゃんとそんな彼女を温かく見守る鬼頭コーチにその心境を伺った。

    各競泳種目2位までが参加できるパシフィック・スクール・ゲームの選考会で、NSW州チーム代表選手となり、さらにリレーチームの一員にも選ばれたそうですね。今大会はオーストラリア・キャンベラで開催されるようですが、試合に向けて今の心境はいかがでしょう?

    亜美:実は狙っていた種目でアクシデントがあって、もうダメかなと思っていたから、最終的に代表入りして本当に嬉しかった。でも国際大会出場が決まった200メートル自由形では、私の最大のライバル選手であるエマが1位で、私が2位だったの。今度の大会で、彼女には絶対に勝ちたいと思ってる!
    鬼頭:亜美は本当に本番に強いんです。今回のように番狂わせのことも多いので、見ている僕はハラハラしますけどね(笑)。でも最終的に勝利をもぎ取る強さは素晴らしいと思います。それと、彼女は試合に行くと必ず人の輪の中心にいるんです。ライバル選手のエマを始め、本当に誰とでも仲良くなれて、本番前にリラックスする空気を作るのが上手いんですよ。今大会でもすごく期待しています。学校がベースになっている大会なので、僕は選手の側につくことはできないですが、彼女は自分できちんと調整できるタイプなので、僕がつきっきりじゃなくても大丈夫だと思います。
    亜美:以前キャンベラの試合に参加したことがあって、今度の大会で使うプールでは泳いだ経験があるの。その分緊張しないで試合に臨めると思う。

    狙っていた種目でのアクシデントとは?

    亜美:本命だと狙っていた50メートル自由形で、まさかのフライングをして失格してしまったの。今まで水泳をやってきてフライングは初めてだった。すごく落ち込んだけど、終わっちゃったことはくよくよ考えても仕方ない。翌日の試合で気持ちを切り替えて臨んだのが、200メートル自由形。大会出場が決まった瞬間、信じられない思いだった!
    鬼頭:今回アクシデントがあって長距離の種目で選ばれたことは、亜美にとってかえって良かったと思っています。今まで得意としていた短距離は、結構運も関係してくるんですよ。でも距離が長い場合、ちゃんと実力がある子が勝つ。半端な練習だといいタイムが出ないんですね。これで勝てる種目の幅が広がったことは非常に喜ばしいことです。

    国際大会へ向けて、どのような練習を重ねてきましたか?体力づくりは?

    鬼頭:自分の部屋で隠れて補強練習(腕立て、腹筋など)をしているらしい?
    亜美:みんながいるところでやるのは恥ずかしいから。
    鬼頭:日本の代表選手達が合宿でこちらに来た時に、亜美は彼らの陸上トレーニングをしっかり見ていて、それを参考にしているみたいなんです。アテネオリンピックで銅メダルを獲得した中西悠子さんもいらしたんですが、亜美は自分から話しかけて仲良くなったんですね。彼女の泳ぎ方、トレーニングの仕方もかなりよく見ていたと思いますよ。
    亜美:悠子さんは練習で絶対に手を抜かないし、ギブアップしない。そんな姿勢を見てすごく勉強になった。

    亜美ちゃんの得意種目はバタフライと自由形ということですが、その他の種目でもトップ10内に入る実力をお持ちのようですね。コーチへの質問ですが、彼女がそれほどまでにスイマーとして優れているのはどうしてだと思われますか?

    鬼頭:やっぱり性格だと思います。自分に自信を持っていて、負けず嫌いなんです。練習は、僕が特に何も言わなくても常に1番頑張っていますね。それには彼女のご両親が水泳に関して干渉しすぎず、適度な距離でサポートをされていることが重要なポイントになっていると思います。本人に〝やらされている〟感が全くなくて、のびのびと水泳をしているんですね。

    今後に向けて課題がありましたら教えてください。

    亜美:スピードと練習量のアップ。スピードを出すには、もっと背が伸びてほしい!
    鬼頭:成長するに従って、どうしても体格の面でオージーの子たちが有利になってくるんです。今は気持ちで勝てるけれど、そのうち圧倒されると思うので、やっぱり背は伸びてほしいですね。あとは、〝いかに自分を信じていけるか〟という精神面が大事になると思います。それと、技術面では、スタート、ターン後の潜水動作をもっと磨く必要がありますね。

    本番に強い亜美ちゃんですが、プレシャーの中で自分らしい水泳をするのに必要なことは?

    亜美:あまり深く考えないことかな。考えすぎるとパニックになってしまうから。
    鬼頭:彼女は、レース前に打ち合わせした通りにしっかり泳いでくれますね。普段の練習がきちんとできている証拠です。そして何よりも、親のためや周りのためでなく、〝自分のため〟に楽しんで泳いでいるのだと思います。

    鬼頭さんにお聞きしますが、水泳コーチとしてやりがいを感じる時は?

    鬼頭:やはり大会で結果が現れた時ですね。選手が自己のベスト記録を出した時は本当に嬉しいですが、今では亜美を始めメダルがとれる選手がいるので、もっと欲が出てきました(笑)。でも練習では落ち込んでばかりですよ。子供相手というのは非常に難しくて、自分で満足いく指導ができたと思う日は週1回ぐらいなんです。

    亜美ちゃんは、そんなコーチをどう思いますか? 指導の仕方など、普段思っていることをこの場でぜひ話してください。

    亜美:普段は優しくて面白いのに、怒ると本当に怖い(笑)。
    鬼頭:そうかなあ?(笑)でも亜美はいつもちゃんと練習しているから僕は怒らないじゃない?
    亜美:練習をサボっている子が個人的に怒られているのを見ると可哀想で…。
    鬼頭:う~ん、怒らなかったらその子のためにならないからね。でも今度からあまり怖くなり過ぎないように気をつけます。

    亜美ちゃんが目標とする水泳選手はいますか?

    亜美:オーストラリア人では、世界記録保持者であり、北京オリンピックではバタフライで金メダルを獲得したリビー・トリケット選手。日本人では中西悠子選手。彼女は背が小さいのに、世界の舞台で戦えるのはすごいと思う。

    お2人にとって水泳の魅力とは何ですか?

    亜美:私は海の動物が好きで、特にイルカが大好き。水と縁を感じるの。あと、基本的に個人スポーツだから、勝った時は表彰台に1人で乗ることができるのが嬉しい(笑)。
    鬼頭:練習するうちに人格を築けるスポーツだと思います。自分との戦いなので、あきらめない精神が強く鍛えられるところが魅力だと思います。

    将来の目標を教えてください!

    亜美:オリンピックスイマーになること!!
    鬼頭:僕なりの〝亜美プラン〟があります。来年にはナショナル大会の出場権を得て、次の年には同大会で決勝進出、その翌年には優勝。そして2012年にはオリンピック選考会に出てほしいですね! プラン通りにいけば、オリンピックは現実になると思います。そして僕の夢もオリンピックにコーチとして出場することです。それには亜美と一緒に自分自身のステップアップも必然ですね!


    良い水泳選手を育てたい一心で、愛情をたっぷり注いで指導に励む鬼頭コーチと、自らには厳しい練習を課しながらも他の選手にまで気を回す思いやりのある亜美ちゃん。オーストラリアののびのびした環境で、自分のために泳ぐ強い意志と、日本人独特の真面目さを合わせもつ期待の水泳少女は、彼女に自らの夢をかけるコーチと共に、今日も目標に向かって邁進する。

     

    松尾 亜美

    1996年生まれ、12歳。幼少からシドニー日本人会水泳部、カーライル・スイミング・クラブに所属。2006年スイミング・クラブの選手コースに入会後、年に2回行われる2つの州大会で数々のメダル獲得や大会新記録を達成する(※)。今年11月に開催されるジュニア国際大会、パシフィック・スクール・ゲームの選考会で、200メートル自由形のNSW州代表選手、またリレーチームの一員に選ばれる。得意種目はバタフライと自由形。
    ※メトロポリタン・チャンピオンシップスでは金メダル7個(うち2個は大会新記録)、銀メダル1個、銅メダル2個を獲得。ステイト・エイジ・チャンピオンシップスでは金メダル1個(大会新記録)、銀メダル4個、銅メダル7個を獲得している。

    鬼頭 亮介

    1975年生まれ、33歳。大学卒業後、IT企業に勤めるも、2000年にWHビザで来豪。シドニーオリンピックを生で観戦後、当初は指導者の資格がない状態でカーライル・スイミング・クラブで水泳コーチを始める。熱心な指導を続け、2003年には優秀な被雇用者に贈られるエンプロイー・オブ・ザイヤー、その1年後には水泳指導者資格、オーストスイム主催のルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。その後、水泳コーチとして永住権を取得。現在はカーライルクラブ・キラニーハイツ支店のヘッドコーチを務める。










    CHEERS 2008年11月号掲載

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