進化し続けるクリエイター・ユニット スポンテニア シドニーに上陸 スポンテニア | Cheers インタビュー

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2007年、Def TechのMicroが設立したレーベル『PRIMARY COLOR RECORDZ』よりデビューを果たした『Spontania』。MassattackとTarantulaのふたりからなるクリエイターユニットが、“フィーチャリング”という概念を日本に定着させたのは記憶に新しい。しかし、彼らが求めたのはさらなる進化。「セツナ系、泣きうたというジャンルに縛られず、もっと自由奔放に、化学反応の面白さやワクワクを味わいたい」、「音楽を聴く楽しさ。その感覚を、もっと広めたい」そんな思いを表現するため、ヴォーカリストに次世代のディーバ、Kaoriを招き、新生『スポンテニア』を起動させた。そんな彼らが、去る4月3日(日)に、オーストラリアツアーを行い、シドニーのパビリオンホテルで開催された『International Asian Artists』に登場、そのサウンドとパフォーマンスを披露した。無事にライブを終えた彼らに今回はスポンテニアの成り立ちから今後の活動を伺った。

初めてのシドニーと伺いましたがいかがでしたか?

Tarantula(以下T):シドニーはとても良かったんですけど、ツアーの関係で1日しか滞在できず、これからすぐゴールドコーストに行くので、シドニーシドニーできなかったのがちょっと残念でしたね。イベンターの方に、オペラハウスとかいわゆる観光スポットには連れて行ってもらったんですけど、裏の裏までシドニーを見てみたかったですよ。 Kaori(以下K):私は10年前に高校の修学旅行でケアンズに訪れて以来、久々の来豪だったのですが、シドニーは全然イメージが違って。もっとナチュラルな感じかなと思っていたけど、住んでいる方もイケイケで、建物もレトロで可愛くて、世界中の町並みが集まっているような感覚でした。滞在したホテルもパリにいた頃泊まっていた建物に似ていて、住んでいる女性もみんなキレイ。一度は住んでみたい街だなって思いました。 Massattack(以下M):先日のライブ後にニュートラルベイで朝方まで飲んだのですが、頑張って今朝起きて、マネージャーとKaoriと強行でボンダイビーチに行きました。海に入って波にのまれて、Kaoriの水着が取れたりして(笑)。外は激寒でしたけど海の中はかなり温かかったですよ。シドニーの印象は、人々に感謝が溢れているなと思いました。感謝を忘れると成長が止まるって、尊敬している人物に以前教わったことを思い出しましたが、これだけ経済的にも人間性も元気なのは、無意識にそういう感謝の気持ちが町全体に溢れているのかもしれないですね。

シドニーでのライブは楽しめましたか?

K:楽しかったです。日本人のパワーはすごいですね。逆にパワーをもらった感じで、またやりたいなと思いました。 M:震災が起きて、帰国されている方もいると思うんですが、ここシドニーで一生懸命やっている、元気な人を見たら嬉しくなりました。日本と同じように悲しまれるのではなく、元気な人には元気でいてもらいたいですね。そのパワーをシェアして頂けて、それを日本に持ち帰れるのが嬉しかったです。

Spontaniaの結成についてですが、MassattackさんとTarantulaさんが出会ったのはどこで、いつ頃ですか?

T:もともとは高校留学先の同級生だったんですよ。マサチューセッツ州の田舎の学校だったんですけど、出会った頃はお互い個人レベルで音楽が好きだった程度で、まさか一緒に音楽をやるとは考えもしませんでした。 M:僕が留学をして初めて学校を見に行った日だったんですが、英語が全く喋れない状態でとても不安で。アメリカ人の先生に連れられて、スーツケースを押しながら寮を探していた時に、「日本の方ですか。スーツケース押します」って声をかけてくれたのがTarantulaだったんです。

その後どのような経緯で日本で活躍されるようになったのでしょう?

T:それからニューヨークに移ってふたりで『Hi-Timez』を結成してからは、ニューヨークで活動したいと強く思っていたんですが、僕らがとてもお世話になったDJ MASTERKEYさんのアルバムに、JUJUと一緒に歌った曲が収録されたことや、丁度その頃に911もあって、日本に活動の拠点を移そうと思ったのがきっかけでした。

今まで数多くフィーチャリングをされてきて、2010年からKaoriさんをメンバーに選ばれたのはどういった理由からですか? 今までのフィーチャリングとの違いはありますか?

T:フィーチャリングとは明確に違いましたね。フィーチャリングの場合は、1曲単位でのことで一期一会なので、それが発展して「アルバム作ろうよ」とはならなくて。もちろん、その知らない相手との化学反応も面白いんだけど。アルバム1枚単位で、スポンテニアの世界観を魅せるためには、やっぱり男女固定のコンビネーションで、お互いの気持ちを、現在進行形で歌えることが大事かなって思ったんです。不思議とKaoriとはそれまで一緒に仕事をしたことがなくて。音楽以外ではプライベートやなんかですごくリンクしていたんだけど、それが逆に良かったのかもしれないですね。 M:3人になった今の方がダンスチューンとかラブソングを表現しやすくなったと感じています。

音楽制作においてインスピレーションはどこから得られますか?

T:いつもですね。こうやって話してる時でも感じることがあるし。音楽やっている人間は皆さんそうだと思うんですが、いつでもインスピレーションを受けていると思うんです。結局出てくる言葉のすべては自分の経験からで、自分が知らない言葉を使って歌や歌詞を作れない、歌い手ってごまかせれないじゃないですか。ラブソングでもいっぱい失恋している人の方がやっぱりリアリティのある歌詞が書けるし、夏の歌でも、山で育っている人よりも海で育った人の方がより臨場感が多く伝えられると思いませんか? 常日頃感じてる偽りのないリアリティがそのまま音楽になっているといった感じですかね。

3人にとって音楽制作、活動はどのような意味を持っていますか?

M:僕個人で言うと、音楽活動って言うのはひとつのツールなんですよ。こうして人と出会うことができたり、楽しい話で盛り上がったり、オーストラリアに来るチャンスをもらえたり。そして最終的に僕自身や周りの人が元気になる何かを起こしてくれる、ワクワクするためのツールです。「いきる」って呼吸することだけが「生きる」ではなく、「活きる」も本当の意味での「いきる」だと思うんです。そういう活動っていう意味での温かい「活きる」を皆でシェアしていく。ダンスでも何でも、頭良かったら学者でもよかったんですが、たまたま僕らはその活動が音楽だったんだと思います。

『Spontania』から『スポンテニア』へ、カタカナにした理由はなんですか?

M:イベンターさんが読めないというパターンは多かったですね(笑)。「次はー…スポンタニアさんです」になっちゃうわけですよ。あとは「スパンコールのJUJUのやついいよねー」とか。それとキルビルみたいな世界、西洋人から見たカタカナのカッコ良さ、フォントのデザインの美しさを生かしてみたくて。シドニーを歩いているとオモシロTシャツを着ている人もいるじゃないですか。〝シンジュクク〟とか、思わずつっこみたくなるような。そういった日本語のクールなイメージを大切にしたいと思いました。

昨年6月2日に新生スポンテニアとしての第1弾シングル「JAM」がリリースされました。今までのセツナ系のイメージとは違い、ダンスチューンに仕上がっていますが。

T:今までのラブソング路線で皆と一緒じゃ飽きちゃうという思いはありました。「君のすべてに」がある程度売れて、評価してくれる方も増えた一方で、女性と男性がやるアーティストもすごく増えて。

確かに増えましたね。フィーチャリングという概念を日本に持ち込んだと言うイメージがありますよね。

T:そう言ってくださるのはありがたいんですが、それだけだと自分たちも結局飽きちゃうし。'ラブソング'で評価されて、ラブソングを期待されるのは嬉しいですが、ラブソングでだけじゃないよというところも見せないと、アーティストとしてやっぱり先がないんじゃないかなと思いました。

Kaoriさんから見て、お2人の印象は、参加される前と後とでは変わりましたか?

K:基本彼らは出会った頃からぶれないので、私はそこをリスペクトしているんです。「『JAM』でダンスチューンに変えましたね」って皆さんよく言われるんですけど、私は彼らの曲を『Hi-Timez』の頃から聴いていて、昔からイケイケだったし、野生的だったし、そういうところがすごく好きだったんです。だから『JAM』をリリースした時もリスペクトできたんですよ。売れる路線、フィーチャリング、ラブソング、そこから飛び出して『JAM』を創った彼らを見て、すごく彼ららしいと思いました。人としても音楽としてもひとりのファンだったので、そのぶれないままでいてくれる彼らに参加できる私はすごく幸せだと思いました。

日本で成功されているアーティストとして、今回の震災をどのように受け止めていますか? 多くの人々に影響を与えられる立場で、今後なにか復興に向けて活動される予定ですか?

T:逆に震災だからとそれに特化してやるのは僕は違うのかなと思っています。メッセージを発信している立場として、普段から責任を持ってやらないといけないと思うし。それを覚悟できていないんだったら歌っちゃいけないのかなと思うんですよ。少なくとも音楽をやっている人間は、人をからかうような歌を歌っていない。元気のもとになってほしい、曲を聴いてポジティブな気持ちになってもらえることを大切に心がけてやっているので、それを曲げずにぶれずに、与えられた環境に感謝して、今やれることを一生懸命やっていこうと思います。それに震災のために創った曲も確かにいいのかもしれないけど、今まで創った曲を聴いて、元気が出た、頑張ろうって思ってくれたならやっぱり創り手として嬉しいですね。

今回ライブで歌った新曲について、どのような思いで制作されたのか聴かせてください。

T:去年あまりラブソングを打ち出していなかったので、今までサポートしてくれた方を、安心させたいというか、〝スポンテニアのラブソングはいいな〟と再確認していただけたらという思いで創りました。「ちゃんとそういうこともしますよ」っていう意思表示でもあるし、原点回帰という意味もありました。 M:切ないラブソングばかりではなく、ハッピーになれるラブソングも創ってみたかった。切ないものや未練引きずってだらだらではなくて、〝少し前に出れるかもしれない〟といような、ポジティブで温かいラブソングを創りたくて今回こういった形になったんだと思います。

2011年、今後のスポンテニアはどのように進化していきますか?

M:東京ドームでライブをしたいと漠然の思いもありますが、聴き手が勇気を持てる、ハッピーになれる曲を生み出していくスポンテニアでありたいと思います。昨日のライブのように、聴き手の笑顔を感じれるような空気が出せればいいですね。〝笑顔が幸せの結果ではなく、幸せの根源なんだ〟ということを今回のライブで改めて実感しました。そういうことをお客さんともっと感じあえたらいいですね。

シドニーで頑張って何かを成し遂げようとしている人が多いと思うのですが、そういった方にアドバイスをお願いします。

T:僕とMassattackも、もともと海外にいたので皆さんの気持ちにリンクする部分はあると思うのですが、やっぱり〝場所ではなく、何をしているか〟だと思うんです。オーストラリアやアメリカでハクを付けるためだけにいるのではなくて、明確に自分の目標が分かっている人だけが成功するんだと思います。ノリで成功しちゃう人はいないと思うし。僕らも何者でもなかった頃に〝音楽やりたいんだよね〟〝絶対音楽で食っていく〟と熱く皆に宣言していた頃がありました。その時に真剣に聞いていてくれた人は、僕らの名前がある程度有名になった時に、「本当に良かったね」と言ってくれるし、そういう時に支えてくれた人って今でも繋がっています。話半分で聞いていた人は今そこまで付き合っていないと思うんだけど、不思議と同じような熱を持った人と繋がっていくみたいですね。周りに流されず、明確に自分の目標を持って頑張ってほしいと思います。オーストラリアってすごく住みやすい国なので、それだけで満足しないで、諦めないでやっていけばきっと何か掴めると思います。

最後に、シドニーに住むファンに一言お願いします。

T::ライブに来てくれた方本当にありがとうございました。当たり前なんでしょうけど、「この町が好きなんだ」というのが皆さんから伝わったし、穏やかな方が多かったと思います。東京と比べるととてもフレンドリーでギスギスしていない。ブリスベンのイベンターの方の言葉ですが「日本だと目が合うと『なんだよ』ってなるけど、オーストラリアで目が合うと『元気?』になる。それでオーストラリアにずっといるんですよね」っていういい話を聞きました。今回もスポンテニアをフレンドリーに温かく迎えてくれたと感じました。近くて遠い国、ここオーストラリアは、オセアニアだけどどこかヨーロッパで、アメリカっぽいけどハワイっぽいし。そういう色々な世界の要素を持った場所で吸収したものを日本に持って帰ってくる人が増えたら、また日本もより良くなると思います。 M:シドニーにいる日本人には、どんどんシーンを盛り上げてもらいたいですね。タクシーを乗っていても、街中で話してても、今震災のことで色んな国の人が心配してくれていると思うんです。とてもありがたいことなんだけど、だからこそシドニーの日本人は頑張れって思う。活動して元気にやってますっていう姿を発信してほしい。それが日本にいる僕らにも伝わると嬉しいし、また行こう、行きたいって思わせてくれるから。振り返ることなく、前に前に進んで行ってほしいです。

スポンテニア プロフィール
2007年、Microが設立したレーベルPRIMARY COLOR RECORDZよりデビューしたSpontania。MassattackとTarantulaの2人からなるクリエイターユニットは、Featuringという概念を日本に定着させ、リリース楽曲の総ダウンロード数500万突破という偉業を成し遂げた。2010年にヴォーカリストとして次世代のディーバとして脚光を浴びるシンガー、Kaoriが電撃加入し、新プロジェクト「スポンテニア」を起動させた。彼女の伸びやかな歌声と、エレガントでどこか天真爛漫なその存在感が、MassattackとTarantulaのクリエイションと共鳴して生まれるサウンドは、スピード感がありながらも自然と引き込まれるキャッチーさを合わせ持っている。予測不能。アジアをはじめ、世界で支持される音。彼らの口からは、そんな言葉があふれてくる。そう、枠など最初から存在しない。三人三様の個性が、ときにぶつかり合い、ときに融合しながら、まったく新しいサウンドとパフォーマンスを生み出していく。


 

CHEERS 2011年6月号掲載


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