81年間の世界記録を破ったマラソンスイマー TAMMY VAN WISSE | Cheers インタビュー
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    自然がもたらすチャレンジが大好き

    海川湖などの大自然の中を25キロ以上泳ぐマラソンスイム。海流、水温、潮流、天候とすべてが常に変動、そしてときには予測もできない展開をみせるマザーネイチャーとの戦い。レース中は足をつくこと、ボートに触れることは許されず、想像を絶するような体力と忍耐が必要とされるスポーツだ。今月のインタビューはそんな過酷な競技に次から次へと挑み、現在6つの世界記録所持者であるマラソンスイマー、タミー・ヴァン・ヴィッセ選手、7月には81年間破られることがなかった世界記録を更新。チアーズ編集部は新たな記録を築き帰国した同選手をキャッチ。彼女の驚くほどの耐久力、モチベーション、そしてチャレンジャー精神に迫ってみた。

    11歳で水泳を始め、見る見るうちに上達したタミー選手。たった1年という期間でジュニア代表となり、16歳までにビクトリア州大会の100m、200m、400mで金メダルを獲得。水泳の血筋を持って生まれたと注目を浴びた。しかしこの時期を境にタイムがなかなか伸びなくなり、オーストラリア代表のチャンスもあと少しのところで逃してしまったという。「悔しかった」と語るタミー選手は新たなことにチャレンジしようとライフセイビングに目を向けた。そして泳ぐ距離が1.2キロ、5キロ、20キロと、どんどん長くなるに連れてタイムもおもしろいほど伸び、オープンウォーターでのチャレンジにも魅了されていった。 18歳でマラソンスイマー選手としてスカウトをされ、やっと「自分の道」を見つけられたという。

    81年間記録を持ちつづけたガートルード・エダール選手はタミー選手の憧れとうかがいましたが、今回のレースはどのような気持ちで挑まれたのですか?

    「今回挑戦したニューヨークシティ~サンディーフックはガートルードに敬意をあらわすために挑戦しました。悲しいことに彼女の様に偉大な選手も時間が経てば忘れられてしまいます。私のヒーローでもあった彼女を若い世代の人に知ってもらいたい気持ちも強くありました」

    ガートルード選手は1921年から1925年の間に29個の米記録と世界記録を築いたアメリカの英雄的スイマーでもあるが、「女性とスポーツ」という歴史に革命を起こした人物でもあった。スポーツは長年男性を主流としたものであり、女性が平等な権利でスポーツに参加することができるようになったのは最近のこと。実際に第一回のアテネオリンピックの女性参加者はゼロ。マラソンスイム、まして男性と一緒になって競技に参加するのは好ましくないものだとされた時代に現役として過ごしたガートルード選手は女性として初めてドーバー海峡を横断するなど、歴史に残る人物。ガートルード選手は3年前98歳で亡くなっている。

    ガートルード選手のどのようなところに引かれたのですか?

    「ガートルードは一人の選手として、一人の女性として、とても輝いた人でした。彼女の決断力や何事にも冷静に、積極的に取り組んでいく精神の強さに魅せられました。水泳はもちろん、生きていく中で彼女は私の中で大きな存在でもあり目標でもありました」

    タミー選手は憧れであったガートルード選手と面会することはできなかったものの、彼女の家族との面会に成功。タミー選手の挑戦を暖かく、そして積極的にサポートしてくれたという。「ガートルードの親戚が5名もボートに乗ってくれて5時間ずっと応援を続けてくれました。ゴール地点では他の親戚が大拍手で歓迎してくれました。私が自分勝手に挑戦したことに対してこれほど喜んでいただけることはとてもありがたく、感動するものでもありました」

    5時間以上も泳ぐことは一般の人にとって想像しがたいのですが、レース中は常に集中しているのですか?

    「いいえ、そうできればいいのですが・・・(笑)オープンウォーターという過酷な環境で長時間泳ぐことは体力的に応えることはもちろんのこと、精神的にもアップダウンが激しいのです。ネガティブなことが頭をよぎることは度々あるのですが、それを早く切り替えないと占領されてしまうので、なるべくポジティブなことを考えるようにしています」

    レース前に気持ちを高める音楽を聴くというタミーさん。刺激のある歌詞やアップテンポなロックを選び、それをもとにイメージトレーニングをし、レース中頭の中でくり返すという。タミー選手のお気に入りはShannon Nollの「Lift」や「Shine」。「音楽には本当に救われていますよ。でもそれ以上に私に欠かせないのがサポートスタッフです。ホワイトボードにタイムやペースを記してくれる他に、ちょっとしたジョークや絵を書いてくれます。ユーモア溢れるスタッフですよ。彼らがいるからこそ数々の記録を更新することができました

    レースの準備にはどれくらいかかりましたか?

    「実際に泳ぐのは数時間ですが、計画や準備などには約半年かかりました。体力作りは言うまでもありませんが、マラソンスイムで重要なのは水や潮、波の状況、天候など、その泳ぐ環境を知り尽くすことです。環境を把握し、泳ぐスピード、ドリンクを飲むタイミングなど、すべてを計算してレースに挑んでいます。自然との戦いですからもちろん全てが予想どおり進まないことも少なくありません。けれども中途半端な気持ちで挑むと必ず負けてしまいます。でも私はそんな自然がもたらすチャレンジが大好きです」

    自然との戦いとなると、やはり危険度も相当あると思いますが、今回のレースにはどのような危険がありましたか?

    「とにかく潮が早かったため、泳ぐペースもそれに合わせないといけなく、今回は本当に体力との戦いでした」

    水温はどうでしたか?

    「今回のレースは水温は温かいほうで問題はありませんでしたが、泳ぐ環境によっては水温こそが命取りになることもあります。私はそれで一度マラソンスイムに挑戦した弟を亡くしそうになりました」

    冷水でレースに挑戦する際には低体温を防止するために脂肪をつけることが重要らしいく、1999年に挑んだスコットランドのロッホネス横断には15キロも増量。しかし9時間6分経て、ゴールした段階で13キロも減量。自然がいかに過酷かということを物語るものだ。場所によっては、サメや蛇もいれば水質などで発生する病気もある。自然には計り知れない危険もあるが、「それらをひとつ一つ制覇していくことが大好きなんです」と語るタミー選手。

    たくさんの危険が常にあるマラソンスイムの何に引かれるのですか?

    「私は子供の頃からチャレンジャーで、目標に向かって突き進むことを生きがいと感じてきました。泳ぐこともそうですが、泳ぐ環境をリサーチすることが趣味でもあります。自分で計画したチャレンジに挑み、自然と一体化し、そして成功させる。とても気持ちいいことです」

    次はどこに挑戦するのですか?

    「今の段階で次の計画はまだありませんが、アジアも含んで挑戦したい場所はたくさんあります。ポケットには常に世界地図があり暇があれば眺めています(笑)」

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