爆音のデスジャズがオーストラリアで鳴り響く SOIL&"PIMP"SESSIONS | Cheers インタビュー

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国内外から722名のアーティストが集結し、音楽、ダンス、演劇、展覧会などあらゆるジャンルの芸術をシドニー各地で披露するSydney Festival 2014が現在開催中だ。そのフェス内で1月25日に予定されている『Paradiso at Town Hall』に、UKやヨーロッパで大注目を集めている6人編成の日本人ジャズバンド、「SOIL&"PIMP"SESSIONS(以下ソイル)」がゲスト出演する。来豪を目前に意気込むアジテーター“社長さん”(上記写真右から一番目)にインタビュー。

 

 

 

DJが主体であったクラブシーンにライブを持ち込んだパイオニアとして知られるソイル。初来豪直前の今の心境はどうなのだろうか。

 

オーストラリアに行くということが、仕事としてもプライベートとしても初めてなので、初めて行く街や国はワクワクするもんですね。新しい人たちと出会えるのがとっても楽しみです。特にオーストラリアはジャズシーンに関しても、とても注目されている国です。もともとジャズが凄く盛んですが、古いジャズだけでなく、新しい世代のジャズも受け入れてくれる場所で、世界的に通用している若いジャズバンドもいます。なのでオーディエンスの耳がこえていることにも期待しています。

 

 

そもそも社長さんが音楽の世界に入って仕事をするようになったきっかけは?

 

六本木のラウンジバーのようなところで私が「Soil & Hemp Sessions」というイベントを企画していて、そこに集まってきたメンバーと出会ったことが何よりのきっかけです。お互いに出会ったときに意気投合して、バンドを始めようとなったのが、プロミュージシャンとしての始まりでした。


 

ご自身の「アジテーター」というポジションの役割とは。

 

具体的には名の通り、オーディエンスをあおったり先導する役割ですね。日本で言うジャズって、ジャズクラブでシガーをくゆらせながら、ウィスキーを飲むといったパブリックイメージが強く、ダンスミュージックというよりも、難しい音楽のイメージがあります。僕らがやりたいジャズはそうではなくて、ダンスミュージックと同じように踊れたり、ロックのライブとか、それこそパンクミュージックなど、激しく情熱がほとばしるような音楽と差はなく、ライブで、スタンディングで楽しめるジャズをやりたかったんです。ステージとオーディエンスの間の壁を壊し、オーディエンスを巻き込んで一体になって音楽をやりたいというのが基本にあって、それを手助けするポジションがアジテーターですね。

  

 

グループ名の由来を教えてください。

 

「ソイル」と「ピンプ」。通常であれば絶対に組み合わされない2つの単語ですが、それは僕たちの重要な音楽のエッセンスに共通するものなんです。ソイルとは、土壌というどこか暖かいニュアンスに対して、ピンプという、国によっては放送禁止用語扱いになるような言葉ですが、陰影的で人工的で、いい捉え方をすれば、煌びやかなものという真逆の意味を指しています。ですのでひとつのバンドに相反するふたつのエッセンスが存在しているということを象徴しているわけです。

 


音楽性もさることながら、イラストやジャケットなどのビジュアルも非常に高いセンスを感じます。これはどなたが手がけていらっしゃるんでしょうか。

 

CDのジャケットやビジュアルメディアに関しては、自分たちのライブを見たことがある方や、音楽をよく熟知しているデザイナーさんたちに提案をいただいて製作しています。そういう方々と作り上げてきたものが形になっています。

 



 

海外での活躍が増えてきていますが、日本と比べてオーディエンスの反応はどうですか?

 

ここ近年では、根本的な部分でそこまで大きな差はなくなってきていると感じています。少しシャイだなとか、とてもアグレッシブだなとか、その国の国民性を感じることはありますね。ただ一方で、1回のライブだけでその国を判断しないように心がけています。それは国の個性というよりも、その町のものだったり、イベント、ライブごとでのオーディエンスの個性であって、決して全体を現すものではなく、ローカルレベルでの特徴なんだと思うようにしています。

 

 

これまで参加されたイベントやクラブで一番印象に残っているものは?

 

クロアチアに行ったときのアンコールがとても印象的でした。普通アンコールは手を叩いてくれることが多いんですが、クロアチアのイベント会場では足でストンピングを打ち鳴らしたり、ステージを叩いて激しい要求を受けたので、とても燃えましたね。

 

 

現メンバーで10周年を迎えますが、振り返って、この10周年はいかがでしたか?

 

実に濃密な10年を過ごすことができたんじゃないかなと思っています。それはソイルが日本国内だけの活動じゃなくて、世界中をツアーして回ることができていることが大きな理由です。バンドが日本国内で10年活動していると、自然と少しずつ認知されていって多方面で関係も繋がり、ライブに初めて来るお客さんの割合は少なくなっていくものです。みんなが自分たちを知ってくれているその中で盛り上げるのは、いったらそこまでハードルが高くないんですね。しかし海外を回っていると、常に100パーセント初めてのお客さんの前でやらないといけない。その人々に確実に自分たちをアピールしないといけない。もししくじったら、2度とその街に呼ばれないかもしれない。そいうった緊張感を持って挑むライブを10年間続けることができたことが、自分たちの成長の要因のひとつなんじゃないかと思います。普通ライブをするとき、様子見のところから始めるんですが、最終的に全員が立って踊っている、手を上げて拍手をしてくれるところまでもっていけたときは、とんでもなく気持ちがいいわけですよね。それが自分たちにも経験値となって成長する力がもらえているんです。

 

 

10周年アニヴァーサリーとして、ニュー・アルバム『CIRCLES』をリリースしましたが、こちらに出演するアーティストはどのように選ばれたのでしょうか?

 

基本的にはこの10年間、ライブやレコーディングなど、どこかで共演したり、お世話になったという繋がりのあったアーティストさんにお願いをしました。今回は10組までというくくりでしたので、会議を重ねて話し合いながら、泣く泣く10組の方に厳選して、お願いをさせていただきました。

 

 

椎名林檎さんとコラボレーションされていますが、どちらからのラブコールだったのですか?

 

椎名さんはデビュー前からの付き合いでして、現メンバーでの活動前から僕たちのことを応援してくれていて、僕たちがデビューしたときも「ボーカルが必要なときは、最初に私とやろうね」と言ってくれていました。ですので彼女とのコラボレーションは自然の流れでした。

 

 

ライムスターさんとの絡みも多いですね。

 

お会いする前までは、日本のヒップホップ界のレペゼンとして一方的に存じ上げていたのですが、4年前のMEET THE WORLD BEAT(大阪・FM802主催の夏フェス)の打ち上げで初共演をしました。そのフェスの裏テーマが、出演者が打ち上げで飛び入りセッションをすることだったのですが、ライムスターさんとそのステージでバッチリ何かセッションやりましょうよっていうことになりまして。自分たちが昔のファンクの曲で、「シャフト・イン・アフリカ」をレパートリーとして持っていて、ライムスターさんも「シャフト・イン・アフリカ」のブレイクビーツを使ってラップをされていたので、それをこの場で生でやろうということで、イベント関係者や出演者の前で初めてやったわけなんですね。そのセッションが自分たちにも関係者的にもすごく好評で、これはしばらく続けないといけないということになり、それ以来、FM802さん主催でツーマンをやらせてもらったり、一緒にイベントやライブをこなした流れから、今回に繋がりました。


 

今後共演したいアーティストさんはいらっしゃいますか?

 

たくさんいますね。大きなところで行くと、まだまだ雲の上の存在ですが、レディー・ガガさんやマドンナさんといった世界的な方々といつか仕事ができる日が来ればいいなと思います。

 

 

日本国内のみならず海外でも大成功を納めているソイルですが、その秘訣は?

 

成功しているかどうかというのは、自分たちではなかなか判断がつかないところなんですが、自分たちの音楽が日本語の歌ではなく、インストロメンタルということが大きなポイントだったと思います。日本語の歌よりも直感的に自分たちをアピールできたことで、サポートしてくれる人々がついてくれたんじゃないでしょうか。


 

番組出演とUKでのショーを直接オファーされ、その人気は加速する。

 

世界進出の最初の一歩は、アシッドジャズの生みの親で、Talkin' Loudレーベルを主宰するBBCのラジオDJ、ジャイルス・ピーターソンが偶然僕たちの音源を手にし、自身のBBCの番組「Worldwide」で4週に渡りオンエアしてくれたことです。彼が最初に世にソイルを紹介してくれたことがだいぶ大きな一歩だったんじゃないでしょうか。世界的には彼のフォロワーがたくさんいるので、彼が紹介する〝ニューカマーのジャズバンド〟という冠がつくだけで、だいぶスタートダッシュが強かったんじゃないかなと感謝しています。


 

海外で成功している社長さんから、これから海外で頑張ろうとしている日本人にメッセージをお願いします。

 

オーストラリアを含め海外に出ているWHや学生の方の「英語を習得したい」と思うモチベーションは基本的に凄く高いと思います。コミュニケーション能力と言うのは何よりも武器になります。海外に出るようになった初期は、通訳さんがいないとコミュニケーションが難しかったんですが、例え多少くずれた英語だとしても人を挟まず自分の言葉で伝えるということが凄く大事なことなんだと痛感しました。ですので日本人コミュニティに固まらずに、いろんな国の友達を作るのが大事なんじゃないかなと思います。そういう出会いのチャンスを逃さなければ、幅広く人生を楽しめるんじゃないでしょか?


 

最後にジャズの概念を覆すようなクールでエンターテイメント性あふれる〝爆音ジャズ〟を今回初めて見る方にコメントをお願いします。

 

僕らは初めて見るお客さんの前で演奏することが凄く好きで、もし曲を知らなかったとしても必ず楽しませる自信があるので、変な先入観を持たずに、ライブ会場に気軽に足を運んでくれたらと思います。

 

 

 

 

 

SOIL&"PIMP"SESSIONS


 

社長(アジテーター)、タブゾンビ(トランペット)、元晴(サックス)、秋田ゴールドマン(ピアノ・キーボード)、みどりん(ドラム)から成る6人組ジャズバンド。存続のジャズとは異なる「爆音ジャズ」を展開。2001年、クラブで知り合ったミュージシャンにより結成。DJが主体であったクラブシーンにライブを持ち込み、その圧倒的なパフォーマンスで大きな話題となる。2003年、現メンバーで始動し、その2年後の05年にフルアルバム『PIMP MASTER』を発表。同年、アシッドジャズの生みの親で、Talkin' Loudレーベルを主宰するジャイルス・ピーターソンが偶然音源を手にしたことをきっかけに、同氏のBBCの番組『Worldwide』で頻繁にオンエアされ、UKでもショーを展開。時を同じくして、ドイツ、カナダ、北欧などのジャズシーンで話題となり、海外ツアーを実施。英BBC RADIO1が毎年主催する"Worldwide Awards 2005"では「John Peel Play More Jazz Award」を受賞。またアワードのトラック・オブ・ザ・イヤー、セッション・オブ・ザ・イヤーの2部門にも3位にノミネートされる快挙を遂げ、一気にヨーロッパでその名が知られる存在となった。海外での成功に平行して、日本でもあらゆるフェスやイベントのヘッドライナーを務めるようになり、また槇原敬之や椎名林檎、布袋寅泰、RHYMESTERなど、多くのアーティストとのコラボレーションを実施。2012年、第1回“NISSAN PRESENTS JAZZ JAPAN AWARD 2011”にて、アルバム『MAGNETIC SOIL』が「ALBUM OF THE YEAR:NEW JAZZ部門」を受賞。2013年、現メンバーでの活動10周年を迎える。
 

 

 

 

 

CIRCLES



現メンバーの6人が揃ってから10周年を迎え、アニヴァーサリー・イヤー第3弾企画となるアルバム。全収録曲にゲストを迎えたコラボレーション楽曲で構成。ソイルの核となる“ジャズ”をキーワードにした作品。
初回限定盤:DVD付、全11曲収録。

 

 


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