フレンチシェフ / 水産物仲買人 犬飼 春信 / 石井 誠人 | Cheers インタビュー
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    犬飼 春信
    「人と人の出会いが重要で、人は人を支え、人は人を呼ぶ」

    石井 誠人
    「どんなことに対しても一番大切なことは愛を込めること」

    今やオーストラリアのみならず世界から脚光を浴びている日本人シェフ犬飼春信氏と、シドニーの日本食レストランにとって、無くてはならない存在で、そのシェフの仕事を裏から支える若き魚介類仲買人の石井誠人氏。今後のオーストラリア食文化を牽引し、クリエイトして行くこと間違いない両氏にスポットを当て、お届けしよう。

    世界の舞台へと邁進する
    誇り高きフレンチシェフ


    犬飼春信
    長野県松本市出身 1967年4月24日生まれ


    高校卒業後、大阪の辻調理師専門学校に入学。東京ヒルトンホテルで1年、浦安シェラトンホテルで3年間修行を積む。91年渡豪。フランス人シェフのモーリス氏の下、フランス料理の基本を学び2年間、ビルソン氏のホテルインターコンチネンタルで1年間働きオーストラリアの料理を学ぶ。94年東京恵比寿にオープンするタイユバン・ロビュッション・シャトーレストランでモーリス氏の下、3年間働く。97年再渡豪し、アンパーサンド・レストランで初めてヘッドシェフとして2年間、99年レストランVIIに移りヘッドシェフとして2年間。ここでベスト・ニュー・レストラン賞の栄誉を受ける。03年より、現職であるガリレオレストランで総料理長。04、05年Good Food Guideワンハット受賞。さらに05年、Restaurant of the Year at the 2006 Australian Hotel Association (NSW)受賞。現在に至る。

    若さと情熱あふれる
    新進気鋭のシーフード仲買人


    石井誠人
    鹿児島県出身 1975年4月22日生まれ


    1998年、ワーキングホリデーで来豪し、シドニーの日本食品業者に就職。和食素材をレストランなどに提供し、同時に営業もこなす。きっちり2年間勤めた後に、00年、現亮亭の店主である堀井氏とともに豪和フーズ設立。買い付け、営業、販売、そして経営実務についても勉強する機会が増える。魚についても、品質が良いか・悪いか?目利きの能力が身につく。また、経営者の1人として、会社運営に着手。魚だけではなく、肉も扱える業者として成長を遂げる。05年、香港の日本食卸業入社。同年再来豪し、経営者としてWELLSTONE SEAFOODS設立。今後のビジネスプランとして、魚の小売店出店など、業務拡大を狙う。

    オーストラリアの食材。魚介類について

    石井 魚、肉、野菜、全て良い線いっていると思います。

    犬飼 でも、実際使える食材は少ないかな。

    石井 専門なので、魚について言わせてもらえば、実は種類豊富で様々な用途、例えば、生、煮る、焼く、蒸すに応じて使える。しかし、安定供給ができないため、メニューへの反映が難しいのが現状だと思います。そして、仕入先がフィッシュマーケットのみで、各レストランに提供する魚の種類が一緒になり、品質も変わらないんですよ。

    犬飼 そう。それは、つまりシェフの腕次第ということになる。味に関していえば、日本には日本のおいしい魚があるし、オーストラリアにも日本に負けない魚は多い。但し、オーストラリアの問題は、漁師による魚の扱いや処理が下手なこと。

    石井 そうなんですよ。良い魚が上がっても、身が割れていたり、血が回っていたりする。

    犬飼 しかし、10年前に比べれば、かなり良くなったのではないかな。

    石井 要因としては日本への輸入が増え、オーストラリア国内でも漁師達が日本人シェフやサプライヤーから勉強して、レベルが上がった。売れる魚についても勉強している。そのおかげというか、そのせいというか・・・値段が上がっている。特にマグロなんて、ここ数年で価格が急騰しています。漁獲量や実際マグロが減っているという要因もありますがね。

    犬飼 そう。値段の上がり方はすごいですね。

    石井 それと、最近はニュージーランドの魚のレベルが劇的にあがっている。環境などの要因から、元々漁港の国としての潜在能力を持っていたが、日本への輸出が成功し養殖も盛んに行なわれています。

    犬飼 実際、日本にはどんな魚を輸出しているの?

    石井 代表的なものを挙げると、まずはミナミマグロ。続いて、(ロブスター、エビ類、カキ、鯛〔タイ〕)など広範囲ですね。ちなみに、みんな知っての通り、肉の日本への輸出も相当多い。

    オーストラリアの肉について

    犬飼 肉は日本の場合、ブランド化が進んで、完全に品質重視。確かに脂が乗ってうまいが、実は個人的に最近のオーストラリアの肉は好きになってきた。炭で上手にグリルすれば、肉本来の旨みを出せる。

    石井 それはシェフの腕ですね。 犬飼 しかし、肉の質が上がっているのは確かなこと。オーストラリア産の和牛などは、キレイにサシも入り、レベルも上がっている。

    石井 その分、肉の値段も上がっていますね。しかし、食材のレベルが上がると、シェフの腕が下がる可能性はありますね(笑)食材がいいと、料理に手をかけなくても美味いのは当然ですから。

    犬飼 食材の美味さがまともに反映される料理に関してはそうだね。確かにいい素材は美味い料理の前提だけど、洋食に関していえば、あまり関係ないかな。結局腕がないと厳しい。

    オーストラリアの野菜について

    石井 確かに食材を知ることが前提ですね。ちなみに、オーストラリアは野菜の種類が比較的多い。しかし、和食にとって必要な野菜は少ないかな。

    犬飼 そもそも和食の店でふんだんに野菜を使っている店が少ないと思う。基本的には京野菜など、和の野菜を使うわけで、その絶対的に数が少ない。しかし、最近オーストラリアでは、日本野菜を作っている農家もあるね。

    石井 和食のシェフも、オーストラリアの豊富な種類の野菜を使えばいいと思う。和食がヘルシーということであれば、もっと様々な野菜を使ってもオモシロイと思う。

    犬飼 そうだね。オーストラリアの野菜は甘くて美味い物が多い。フレンチをやっている私にとっては大変重宝する。値段も日本に比べたらかなり安い。

    石井 最近、FUSION料理という概念が増え、食材も増えているが、見た目重視の料理が多い。しかし、野菜を上手に使うことによってもっと幅が広がるのではないか。

    犬飼 いろんな料理をミックスさせた感じだけど、コースで頼むと味が濃い料理の後に薄い料理が出てきたりで、つまり前の味が残っているのに次の料理を出されても…と思うことが多々ある。もうちょっと気を使ってもいいと思う。

    石井 その点、犬飼さんの料理って「ハート」が伝わる料理なんですよね。一生懸命腕をふるってくれてるんだな、と感じる料理なんですよ。客にために考え、努力している姿が料理に出てきますよ。例えば、コースなんかで説明すると、アミューズ・ブッシュやオードブルから始まってデザートまで疲れることなくエンジョイできるんですよ。サプライヤーの目線から見ても、素材を大切に使ってくれているのがよく分かるので、すごく嬉しいことです。

    サプライヤーからシェフに対して要望

    石井 大前提は、レストランに食べに来てくれるお客様に喜んでもらえること。これは、僕にとっても、シェフにとっても同じ大きな目標だと思うんですよ。僕自身がレストランの方に支えられていて、そして、僕も支えていける関係でありたいですね。それと、シェフの方々にオーストラリアの食材を使って、「シドニーロール」を創って欲しいんですよ。そして、シドニーから世界へ羽ばたくシェフや料理がもっと増えてくればと思います。オーストラリアの食文化はもっともっと発展していけばと願います。

    犬飼 うん、そうだね。それが大前提にあって、仕事しているわけで・・・。シェフにとってサプライヤーも同じ目標に向っている仲間だからね。

    なぜ今の仕事に?

    犬飼 僕は自然に囲まれて生活してたんですよ。家でも野菜など作っていて、山に入れば山菜やきのこ、川には魚。自然の恵みそのものの環境で生活していたんですよ。自分でも料理を作るようになり、シェフになろうと決め、かっこいいイメージがあった洋食を選んだ(笑)

    石井 僕の場合、やっぱり、食べることが好きなので、食に携わる仕事をしたいと考えていました。そもそも、小さい頃から食にうるさく、親が作る料理にも文句をつけていましたね。料理するのも好きで、様々な食材に触れ、それを持って帰って実際自分でも作ってみます。美味いと思うものは薦められるし、シェフに任せれば、自分が作った料理より、もっと美味い料理にしてくれるわけで、それを食べるときはサプライヤーとして嬉しい瞬間ですね。そして、いろんな国の料理を食べることができるこの国がいいですね。しかも、その国の人々が作る本場に近い料理をね。これが日本だったら、日本人に合う各国料理みたいな感じで、根源みたいなものは分からない。この国の食文化はもっともっと向上していくとも思っていますよ。

    今現在までの足跡

    犬飼「特に努力をしている気は無いんだけど・・・努力というより、好きだからこそ熱意があふれてくる。そして、頑張っている姿は見てくれている」

    石井「僕に厳しくしてくれたシェフの方々は「恩師」みたいな感じですね。今の僕があるのは、あの時厳しくしてくれた人たちの愛情のおかげだって」

    犬飼 実は今年でシェフ歴20年になるんですよ。初めは大阪の専門学校で3畳の寮に入り、厳しい環境の中で勉強していた。東京での就職が決まり、最初は掃除や雑務に追われて、いわゆる当時言われていた3K(キツイ、キタナイ、キケン)の仕事ばっかりだった。そんな厳しい日々を送っていたある時、「今は雑用のような仕事を続けてキツイと思う。でも、きちっとやっていれば、人は絶対に見てる!」と、ある人に言われ、その言葉が励みになり、信じて、なりふり構わず頑張った。その姿を本当に見ていてくれて、認めてくれるようになりましたね。その後、ディズニーランド近くのシェラトンがオープンするからと誘われ、大きなチャンスを得て、どんどんレベルアップしていきました。特に努力をしている気は無いんだけど・・・努力というより、好きだからこそ熱意があふれてくる。苦労しても努力しているとは思いませんね。

    石井 僕は小僧時代にシェフの方々にいびられ、怒られ、悔しく厳しい毎日を過ごしていましたね。絶対に見返してやる!認められるサプライヤーになる!って思いながらやっていました。今、思うことは、僕に厳しくしてくれたシェフの方々は「恩師」みたいな感じですね。今の僕があるのは、あの時厳しくしてくれた人たちの愛情のおかげだって。そして、料理を知るために、シドニーにある、ほとんどの日本食レストランへ食べに行きましたね。そもそも食べるのが好きなのと、やっぱり自分のスキルアップのためにも必要なことだと思い、これは今でも続けています。

    どんなコンセプトで仕事しているのか

    犬飼「起きているときは当然だけど、夢の中でも仕事していますよ。妥協するのが絶対に嫌で、自分の舌の感覚を信じ、美味しいと思える一点に集中している」

    石井「シェフの方々が求める素材はそれぞれの好みや個性があるので、そのニーズに100%答えること」

    犬飼 楽しく、ワクワク、ドキドキ(笑)でもね、本当にすごく考える。やっぱり、お客様に喜んでもらいたいから。そして笑顔をみたいから。それを思うといろんな料理が浮かんでくる。これは、料理を創る全般にあてはまる。コースの一品一品についても、最初の料理は食欲を増進させる味付けをしたり、薄い味付けで入ったり、例を挙げればきりが無いが、とにかく気を使って厨房に立っている。

    石井 例えば和食の場合、どうやって作っているのか予想がつくが、僕が思う犬飼さんの仕事って、それが全く分からないがすごいんですよ。何を使っているのかも分からない。あたりまえだけど、素人では絶対表現できない料理なんですよ。

    犬飼 食材によっては、生が美味いもの、火を入れればさらに美味くなるもの、香りに関してもそうだしね。一本調子の調理方法より、それぞれの素材を活かして、いろいろ試してみて、素材ひとつひとつの個性を引き出してあげたい。完成させていく行程もすごく楽しい。そして、とにかく食べることが重要。

    石井 そうですね。シェフの世界もそうですが、我々も同じで、食べないと分からないし、いい素材の提供は絶対できない。

    犬飼 基本はいろんな料理を食べる。そして美味しい料理を食べないと、おいしい料理は創れない。そして、お客様の声を聞くこと。

    石井 それは重要ですね。ダメならダメと言ってもらえれば、次はどうすればと考える。その点では、自分はシェフやレストランの方々、お客様に育ててもらっていると思っています。

    犬飼 そうだね。シェフにとっても、お客様の意見はすごく重要。それと、スタイルの問題なんだけど、僕の場合、シェフが書いた本やレシピは一切見ない。そういうのを見てしまうと、コピー料理を作っているようで、それは絶対できない。僕の教科書は料理のクラシックな古典本で、それがベースになっている。基礎があってからこそのオリジナルだからね。いろいろ食べて、これとこれを合わせると、この味になるという何百通りもの組み合わせが身体に染み付き、身体で覚えている。そして、起きているときは当然だけど、夢の中でも仕事していますよ。妥協するのが絶対に嫌で、自分の舌の感覚を信じ、美味しいと思える一点に集中している。自分の技術が確立してくれば、次は人を育てることが重要。部下に対しては、まずは味をみろ!を徹底し、素材の管理を厳しく徹底し、身なりをきちんとすることを徹底している。

    石井 僕自身の仕事のコンセプトしては、まず、食べることが大好きなんですよ。自分が率直に食べたいなと思う魚を提供します。当然、自分で食べ無いなぁと思うものは出せないですよね。特に、お客様から特別オーダーなどをいただいたときなどは、普段より気を使いますね。シェフの方も勝負をかけていると思うし、「特別」を頼まれているわけですからね。シェフに対しては、美味い料理にしてくれるのが一番嬉しいですね。そして、シェフの方々が求める素材はそれぞれの好みや個性があるので、そのニーズに100%答えることですね。

    犬飼 石井君はね、いろんな所に卸してるでしょう。ただでさえ食べるのが好きな上に、自分が卸している魚が、どのように出てくるかが楽しみなんだよな。

    石井 そうですね。レストランには相当行きますよ。スタッフにも、とにかく食べに行け!自分が卸している魚がどうやって出てくるか見て勉強しろ!と指導していますよ。実はね、よくいろんな人から電話が来るんですよ。その内容というのが、「レストラン行きたいんだけど、どこがいい?」って。だから、「今日は○○レストランにいい魚が入ったよ」と説明するんですよ。ココだけの話、正直言って、自分が食べに行きたいレストランに、自分が食べたい魚を卸して、食べに行ったりもしますよ(笑)

    今後の目標と最後に一言

    犬飼「シェフ歴20年経った今、やっと『自分の料理』を作れるようになった。他のシェフが作れないオリジナルの料理を提供して、お客様に満足していただきたい」

    石井「僕自身がレストランの方々に支えられていています。そして、僕もレストランの方々を支えていける・・・そんな関係でありたい。形成していきたいと思っています」

    犬飼 やはり、自分の店を開店すること。そして、他のシェフが作れないオリジナルの料理を提供して、お客様に満足していただきたいですね。コピーじゃ絶対ダメ。シェフ歴20年経った今、やっと「自分の料理」を作れるようになった。20代の頃は有名シェフの下で、死にもの狂いで必死。30代で人の料理を創れるようになり、35歳くらいから、やっと自分の料理ができてきました。今は強くそれを実感し、とにかく発想が変わってきましたね。そして、僕らの仕事って、勤務時間が長いし、夜はほとんど仕事。家族が支えてくれてるって思いますね。妻とは結婚して15年になりますが、妻がしっかり家を守ってくれているおかげで、仕事に打ち込める環境ができ、新しい料理をクリエイトできます。それに、妻が料理について厳しく言ってくれますね。専門的には分からないけど、美味いか不味いかを本音ではっきり言ってくれます。感謝しています。

    石井 目標というより、絶対実現させることなんですが、数ヶ月中に魚の小売店をシドニー北部のノースブリッジ(North Bridge)に出店します。これは、僕がずっと思っていたことで、シドニーで安心して刺身に使える魚を売っている店が無い。そこで、オーストラリアやニュージーランドの様々な魚介類を提供し、調理方法や扱い方などもアドバイスしていければと思っています。犬飼さんも先ほど述べたように、僕の妻も僕の仕事を理解してくれ支えてくれています。子供や家を守ってくれる妻のおかげで、自分の理想を追って仕事ができ、実現できると思うんですよ。お客様に対しても、僕自身がレストランの方々に支えられていています。そして、僕もレストランの方々を支えていける、そんな関係でありたい、形成していきたいと思っています。どんなことに対しても、一番大事なのは「愛を込める」ことだと思います。

    犬飼 僕は出会いに恵まれていると思うんですよ。出会い運が良いんだと思います。一品一品、料理にはシェフやサプライヤーだけではなく、食材ひとつひとつに、ものすごい多くの人々が関わっている。その人々の期待に応え、料理を創って行ければいいと思います。「人は人を支え、人は人を呼ぶという」ということを大切に邁進して行きたいですね。

    April 2007 RHYTHM 掲載

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