話題の日本映画をシドニーで上映 Japan Film Festival 2017 阿部サダヲさん、蒼井優さん インタビュー | Japanese Film Festival
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     彼女がその名を知らない鳥たち 

     

    阿部サダヲさん、蒼井優さん 

     

    インタビュー

     

     

    十和子も陣治も一筋縄ではいかない人物ですが、オファーが来たときはどう思われましたか?

     

    蒼井:最近は闇を抱えた女性を演じることが多いので、また闇がある役だなあと思いましたけど(笑)。監督が白石さんで共演が阿部さんと聞いて、すごく興奮しました。白石さんの映画の現場に、女性キャストでここまで関われることってあんまりないので、すぐに「やりたいです」ってお返事しました。「長い間、白石さんの現場を見られるのは嬉しいな」と思って。

     

    阿部:僕は、舞台以外でこういう役をオファーされることがなかったので、お話をいただいたときは嬉しかったですね。演じるのもすごく楽しかったです。「台詞が大阪弁じゃなかったら、もっと楽しいんだろうなあ」と思いましたけど(笑)。

     

    蒼井:(笑)大阪弁って、まほかるさんの本では大事な要素のひとつではあるんですけど、やっぱり大変でしたね。

     

    阿部:今回、一番苦労したのは方言ですね。白石監督は現場でセリフをすごく足される方なんですけど、それも大阪弁に直さなきゃいけないし。現場では、けっこういっぱいいっぱいでした。

     

    蒼井さんが十和子を演じる上で意識していたことはなんですか?

     

    蒼井:撮影に入る前は「役作り」って自分に言い聞かせて、家でだらだらしていましたね。演じながらわかることもありました。陣治とのシーンを撮影してから、水島、黒崎とのシーンを撮ったんですけど、やりながらどんどん心がすさんでいくんですよ。カッサカサになっちゃって。「ああ、十和子ってこういう感じなんだ。こんなに殺伐とした心を持って、陣治のところに帰っているんだなあ」って。あのときは、本当に早く陣治に帰ってきてほしかったです。その間、陣治は大河ドラマの撮影に行ってたから(笑)。

     

    阿部:ははははは。

     

    阿部さんはどんな役作りをされましたか?

     

    阿部:メイクさんたちがすごく汚してくれたから、僕は特に何もすることがなかったです。ネイルも汚くしてくれるし、足の指の間のゴミも、いつ映るかわからないから、毎回作っているんですよ。

     

    陣治の気持ちを作るために、意識されたことは?

     

    阿部:大阪で泊まっていたホテルの横にコロッケ屋があるんですけど、コロッケとビールを買って、近くの公園に地べたに座るっていうことをけっこうやってましたね。あと、映画の中盤で陣治が黒崎を殺したと思わせなきゃいけないので、そこらへんの表情は気を遣っていたかもしれません。要所要所で狂気的な感じを出したかったし、それをまた、監督が面白く演出するんですよ。「ジャガイモ投げてくれ」とか、「ゾンビみたいに追いかけてくれ」とか(笑)。

     

    蒼井:私は「ゾンビ映画みたいに逃げてください」と言われました(笑)。

     

    蒼井さんは、陣治を演じる阿部さんのことを現場でどのようにご覧になっていましたか?

     

    蒼井:今回、「これは初めての感覚だなあ」と思ったのは、相手役の人のことを「嫌いになろう、嫌いになろう」と思ったことなんです。「この人はゴミなんだ。すごく汚いものだ」というフィルターを自分の中で作らないと、陣治がものすごくかわいく見えてしまうんですよね。陣治がパンを足で踏んじゃったりするじゃないですか。ああいうの、私はたまらなく好きなんですよ(笑)。でも十和子にとっては、イライラする時間の積み重ねがあったわけだから、彼女の主観を持つ努力をしなくちゃいけなかった。そして、陣治への情は、最後のシーンまで取っておかなきゃいけない。それで、リハーサルや本番の前は、ずーっと「嫌い、嫌い、嫌い、嫌い」って自分に言い聞かせていました。

     

    逆に阿部さんは、どんな思いで十和子演じる蒼井さんをご覧になっていましたか?

     

    阿部:蒼井さんが、たまーに、「ものすごくかわいそうだなあ、この人」っていう表情をするんですよ。それで自然と十和子への愛情を持てたと思います。あと、あの生活感がある部屋がよかったんですよね。十和子がソファに座ってるのを見るだけで、すごく気持ちが入るというか。

     

    蒼井:美術、すごかったですよね。十和子が陣治の部屋を漁るシーンを撮っているときに、バーッと引き出し開けたら、阿部さんの学生時代の写真が出てきたりして(笑)。「どこから持ってきたんだろう?」って。

     

    阿部:あれ、「写真ください」って言われたんですよ(笑)。十和子の部屋に並んでいる本も、やっぱりかわいそうなんですよ。「痛い女が読んでる本」って感じで。

     

    蒼井:ブックカバーを自分で手作りして、手書きでタイトルが書いてあるんですよね。タイトル読むだけで、ちょっと気持ち悪くなる感じで(笑)。陣治の本棚にも「あ、こういう本を読んでいるんだ」っていう本が並んでいるし。自然にお芝居が出てくる空間を作ってくださっていました。

     

    高台でのラストシーンは、撮影の終盤に2日間で撮ったそうですね。

     

    蒼井:まさにあのシーンが撮影の一番最後でしたね。

     

    阿部:夕暮れ時を狙っていたので、全部のカットが長回しでした。

     

    蒼井:マジックタイムじゃないと、カメラが回せないんですよ。ラストカットの、十和子の顔を狙って、カメラが上から降りてくるシーンも、「あと2分!」みたいな状況でした。

     

    ラストシーン撮影時に印象に残っていることはなんですか?

     

    阿部:あのシーンが肝になることは最初からわかっていたので、気持ちが入りましたね。でも、気持ちが入ると、ちょっと大阪弁のイントネーションが変わったりするらしいんです。僕もわかってなかったんですけど。だから、「方言指導の人、頼むから近づいてこないでくれ」って思ってました(笑)。

     

    蒼井:私は映画の畑で育った人間だから、「映画の神様」みたいな、よくわからないものを信じていたりするんです。あの撮影のときは、それが降りてきていたなっていう感じがしていて。スタッフさんのテンションもピークにいっている状態で、「私は今、映画の現場でしか味わえない幸福感を味わえているんだな」って、本当に幸せな気持ちになりながら…でも、「陣治ぃ~!」って気持ちでずっと泣いていて(笑)。なんだか不思議な体験でしたね。

     

    阿部:「映画の神様」っていう話で言うと、最後、僕がバーンって飛び降りて、蒼井さんが立ち上がった瞬間に、いいタイミングで鳥が飛んでいったんですよ。まあ…カラスなんですけど(笑)。

     

    蒼井:あはははは。

     

    阿部:「みんなが名前を知ってる鳥」だったけど(笑)。いい画が撮れて、わーってみんなが盛り上がりました。

     

    映画をご覧になった感想は?

     

    蒼井:映画を観ながら、ずっと「陣治~!」って思っていました(笑)。

     

    阿部:僕は十和子が水島、黒崎とふたりでいるときの撮影を見てないじゃないですか。十和子が黒崎のDVDを見ながら寝ていて、陣治が「あ、見ちゃってる」ってスイッチを消すシーンは、撮影したときはまだ映像が流れていなかったんです。映画を観て、「俺、これ見てスイッチ消したんだ…」って、すごい笑いました。イメージビデオみたいな映像に(笑)。

     

    蒼井:監督は「普通に撮って」っておっしゃったんですけど、竹野内さんがカメラを揺らすんですよ(笑)。「月9ってこんな感じかな?」とか思いながらやっていました(笑)。

     

    阿部:あれは面白かったなあ。

     

    どういう映画になったと思いますか?

     

    阿部:不思議な気持ちにさせられました。一番最初に観たときは、大阪弁のことしか考えてなかったけど(笑)、2回目に観たときは、日本映画ではあんまり観たことのない映画だなって感じもしましたし。嫌な気持ちにもなるんですけど、でもなんか、ホッとするっていうか、スッとするっていうか…。誰しもが中に持っている気持ちが描かれていると思うんですよね。万人が愛する映画ではないかもしれないけど、ハマる人はすごくハマりそうな気もするし。そういう映画に出たいっていう気持ちもあったから、嬉しかったです。でも、どういう映画になったか?っていうと…難しいですね。

     

    蒼井:きっと、観たあとに「自分の一番そばにいる人がどういう人なのか?」っていうことを考えさせられる映画ですよね。そして、「陣治が取った行動は、愛なのか、なんなのか?」っていう。この先の十和子の人生がどうなっていくのかは、自分で演じていながらもわからないので、映画の「そのあと」も楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

     

    阿部:確かに、そういう感想を言ってくれる方が多いですね。「何日も考えてしまう」「なんか思い出しちゃう」って。

     

    蒼井:嬉しいですよね。

      

     

    プロフィール

    阿部 サダヲ / 1970年4月23日生まれ、千葉県松戸市出身の俳優、歌手。数々の舞台作品での活躍で演技力への評価を高め、舞台を中心にテレビドラマ、映画と幅広く活躍中。1992年、舞台『冬の皮』でデビュー。同年には病気で降板した温水洋一の代役として、入団から半年経たずして『演歌なアイツは夜ごと不条理な夢を見る』でドラマ及びテレビデビューを果たす。同じ大人計画の俳優らと「グループ魂」というバンドを1995年に結成し、ボーカルの「破壊」として活動。2005年には、「君にジュースを買ってあげる♥」で『第56回NHK紅白歌合戦』に出場した。2000年、大人計画のメンバーである脚本家宮藤官九郎の作品、テレビドラマ『池袋ウエストゲートパーク』に出演。以降、宮藤の作品では常連出演者となっている。2006年、テレビドラマ『医龍-Team Medical Dragon-』に、暗い過去を持つ天才麻酔科医・荒瀬門次役で出演。2007年、『舞妓Haaaan!!!』で映画初主演。この作品で、第31回日本アカデミー賞主演男優賞優秀賞を受賞。2009年には映画『なくもんか』で主演の下井草祐太役を演じた。2010年のNHKドラマ『離婚同居』で連続ドラマ初主演。2011年4月期のテレビドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ)で民放の連続ドラマ初主演。2017年には2019年NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の主演に決定している。


    蒼井 優 / 1985年8月17日生まれ、福岡県出身の女優、モデル。小学生の頃から地元のモデル事務所に所属してCMや広告に出演しており、1999年に、1万人の中からミュージカル『アニー』のポリー役に選ばれデビュー。同年夏に、オーディション情報誌『月刊デ・ビュー』(オリコン・エンタテインメント刊)の「夏の特別オーディション」企画に掲載されていたタレント募集の中から現事務所であるイトーカンパニーに応募し、以来所属している。2000年から2002年まで新潮社の雑誌『ニコラ』のレギュラーモデルを務める。2001年には、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』で映画に初出演。その後、2002年に「三井のリハウス」の10代目リハウスガールに選ばれ、2003年に『高校教師』(TBS)で初めて連続ドラマにレギュラー出演するなど、活躍の場を広げていく。2005年、7本の映画出演作が公開され、『ニライカナイからの手紙』で単独初主演を果たした。2006年、第11回釜山国際映画祭にて行われたスターサミットアジア2006に参加し、これからアジアの映画を担っていく女優として市原隼人、香椎由宇らとともにカーテンコールの1人に選ばれた。映画『鉄コン筋クリート』では声優に初挑戦。以降も女優業だけでなく劇場版アニメ『ミヨリの森』、『いけちゃんとぼく』等で声優にも挑戦している。2006年度は、映画『フラガール』などでの演技が認められ、第30回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、第49回ブルーリボン賞主演女優賞をはじめ、数多くの映画賞を総なめにした。2008年、『おせん』(日本テレビ)で連続ドラマ初主演を果たす。2010年、『龍馬伝』(NHK)のヒロインの一人、元役で大河ドラマに初出演した。

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