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食物の恵み


Watermelon

15/03/2010


Watermelonの恵み

爽やかな香りとシャキシャキとした歯ごたえ、乾いた喉を潤してくれる夏の風物詩、スイカ。紀元前5000年にはすでに南アフリカで栽培されており、水の入手が困難とされる砂漠地帯で人々の生活を支えてきたことが明らかにされています。近年ではその利尿作用や腎炎予防など、様々な効能が科学的にも認められ、医療現場でも活躍するようになりました。今月は私たち人類を長年に渡り支え続けてきたスイカの恵みに迫ってみましょう。

CHEERS 2009年01月号掲載

Watermelon

おいしいスイカの見分け方
緑と黒のコントラストがはっきりしているもの
叩いたときに「ポンポン」となるもの

英語でウォーターメロンと呼ばれるように、スイカは約9割が水分で、中近東や中央アジアの砂漠地帯では水の代わりとして昔から重宝されてきました。水分が多いことから栄養価が低いと思われがちですが、実はスイカにはβカロチンをはじめビタミンB1、B2、Cのビタミン類、カルシウム、リン、鉄、カリウムなどのミネラル類、シトルリンやアルギニンなど、多くの成分がバランスよく含まれています。

スイカの主な効能に利尿作用が挙げられますが、これはシトルリンというアミノ酸の一種による働きで、尿素回路を構成することが分かっています。シトルリンは1930年にスイカの果汁から発見されたことから、スイカの学名「シトルラス」にちなんで名付けられたそうです。この利尿作用により、体内で発生した老廃物や侵入した病原菌などあらゆる有害物質は水分とともに排泄され、むくみにも効果的。またカリウムとの働きで尿と一緒に余分な塩分を排泄することから、高血圧や動脈硬化、腎炎の予防効果も見込まれます。シトルリンは果肉よりも皮に多く含まれているので、炒め物や漬物にするなど、ひと工夫して無駄なく使ってみてください。皮にはその他にもコレステロールを減少させたり、血管を拡張させたりする効能があるとも言われています。

スイカに鮮やかな赤色を与えるのはトマトに含まれることでも有名なリコピン。実は生スイカにはトマトの約1.5倍、また煮詰めてエキス状にしたもの(スイカ糖)には15倍ものリコピンが含まれているのです。リコピンは高い抗酸化作用を発揮し、ガンや老化予防に効果的であるのに加え、メラニンの生成を促す物質の発生を抑制するので、美肌効果も期待できます。しかし一昔前の江戸時代には、この赤い果肉が〝気味悪い〟とされ、あまり食べられていなかったというから興味深いですよね。

最近では種を嫌がる人のため、シードレスのものが店頭によく並びますが、実はスイカの種子にも意外な効能がぎっしりと詰まっているのです。スイカの種子には、脂質やタンパク質、リノール酸、カリウムが多く含まれ、これらは夏場の栄養補強に適し、夏バテにも効果的。漢方の世界では強壮や止血、のどの痛みなどに効果的な〝薬〟として用いられ、中国でもスイカの種子は食用にされ、お酒のおつまみやお菓子、そして粉末状になった食材として料理に使われています。スイカの起源を遡っていくと、もともとは果実ではなく、種子を目的に栽培されていたことが分かり、この事実はエジプトの壁画にも描かれているようです。

水分の次にスイカの割合をしめる果糖やブドウ糖は、エネルギー転換率が早く、疲れた身体を癒す即効性があります。またカロリーも低いため、水分量とともに満腹感を与え、自然と食事量を減らしてくれるダイエットの味方です。前述したように、むくみ解消も期待できるので、スイカはダイエットのサプリメントとしても販売されるようになりました。

最後に、購入してきたスイカを切ってから、冷蔵庫でキンキンに冷やすご家庭が多いかと思いますが、実はこの行為がスイカの熟成を止めてしまうのはご存知でしょうか? 収穫後も熟成するスイカは常温で保つことで甘さも増し、カロチンやリコピンなどの栄養素が増加することも明らかになっています。スイカの栄養素を損なうことなく、ひんやりした甘いスイカを楽しむには、食べる1、2時間前に冷やすことがお勧めです。脱水症状や夏バテが多く見られるこの季節、果肉、皮、そして種子と、あますことない恵みがぎっしり詰まったスイカで乗り切りましょう!


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