Wakame | 食物の恵み

Wakameの恵み

日本最古の歌集である万葉集に度々登場することからも、昔から日本人にとって大切な食材であったことが伺えるワカメ。実は、海藻類を日常的に食に取り入れてきた国は、世界中を見渡しても日本と韓国以外はほとんどないようです。しかし近年、この海藻類が特に東洋人の体にとって重要な役割を果たすことがわかってきています。今月は、体内の毒素を排出して心身をフレッシュに保ってくれる、ワカメの恵みをお届けします。

CHEERS 2009年07月号掲載

Wakame

おいしいワカメの見分け方
黒っぽい緑色で、厚みがあり弾力性に富んだもの
乾燥の場合、くずれていないもの

「海の有機野菜」といわれるワカメは、日本では遡ること縄文時代から食されてきた、私たちにとってなじみ深い海藻です。近頃有機野菜がもてはやされるのは、野菜の栄養価が低下してきているためですが、これは、農薬や科学肥料を大量に使用した結果、大地の栄養が貧弱になってきたことに起因しています。しかし、海で育つワカメの場合はどうでしょうか。現在食卓に運ばれるワカメはほとんどが養殖ですが、人の手を介するのは始めの種付けのみで、その後は海で天然のものと同じ条件で育ちます。もちろん農薬や化学肥料とは無縁のワカメは、ヨウ素、カルシウム、カリウム、亜鉛などの海洋ミネラル成分を始め、カロチン、ビタミンC、ビタミンB群を有機野菜並にたっぷりと含み、安心して毎日口に運ぶことができる貴重な食材なのです。

カロリーがほとんどなく、それでいて栄養素が豊富なワカメは、ダイエット食品としても注目を浴びています。ワカメには乾燥したもので約40%と食物繊維が豊富に含まれており、満腹感をもたらすと同時に、便秘を解消して新陳代謝を活発にしてくれます。さらに食物繊維には、体脂肪の燃焼を促進する働きのほか、小腸での糖分や脂肪の吸収を抑制、そして血糖値の急激な上昇を防いで脂肪合成を抑制する機能があります。また、ワカメに含まれるミネラル成分であるヨウ素は基礎代謝を活発にし、甲状腺ホルモンに作用して精神を安定させてくれます。ダイエット中に不足しがちなミネラルやビタミンをたっぷり含んでいる点も、ワカメがダイエット食として優れているゆえんです。ただし、ワカメだけを食べていては、人体の組織を維持する成分に欠け、エネルギー成分も不足してしまいますので、あくまでもバランスの良い食事の中で取り入れることを心がけましょう。

ワカメには独特のヌルヌル感がありますが、この〝ぬめり〟の正体は繊維の80%を占める水溶性のアルギン酸です。このアルギン酸は、食物中の塩分と結びついて塩分を体外に排出する働きをし、高血圧を予防してくれます。このことから、塩分の高めなみそ汁にワカメという組み合わせは古くからの日本人の知恵だったことがわかります。また、アルギン酸には、血液中のコレストロールを減らすことから成人病を防ぐ効果があると同時に、環境汚染物質であるダイオキシンを始め、ストロンチウムやカドミウムなどの有害物質を体外に排泄する機能があることも注目すべき点です。人体汚染が進む現代人にこそ、ワカメは重要な役割を担う食品といえるでしょう。さらに、現代人にとって見逃せない成分で、多糖類のひとつ、フコダインも豊富に含まれ、体内のリンパ球を活性化させて免疫力を向上し、胃炎や胃潰瘍の予防・修復をする働きや、肝機能の向上、ガン細胞を死滅させる効果があることがわかっています。

古代中国より伝わり、日本独自にアレンジされた食の知恵のひとつに、5色の食材を揃えるのが体に良いという考え方があります。5色の中には黒が含まれますが、これは日本では海藻、黒豆、黒ゴマなどを指します。黒の食材が持つ食物繊維は、西洋人に比べてずっと長い東洋人の腸をきれいにする必要不可欠な存在なのです。西洋式の食事の中では、黒の食材はほとんど見当たらず、アジア人にとっては食物繊維が不足しがちなことを覚えておきましょう。そして、乾燥したものが出回っていることから海外でも購入しやすく、幅広い料理に活用できるワカメをぜひ食卓に取り入れてみてくださいね。乾燥ワカメは水に長時間漬け過ぎないようにし、戻した後は熱湯をかけてから水にさらすと色が冴え渡り、歯ざわりもよくなりますよ!


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