Mushroom | 食物の恵み

Mushroomの恵み

煮る、蒸す、炒める、揚げる…。どんなふうにも手軽に調理ができ、その方法や味付け次第で和風にも洋風にも中華にも変身してしまう、何かと便利なキノコ。その種類は世界で1万を超えるとされ、食用が可能とされるものはこれまでに約1000種類が確認されていると言われています。椎茸やエノキ、まつたけなど、日本では色々な種類のキノコが店頭に並び、季節を問わず食卓を彩っていますね。今月は日本の食卓に欠かせないキノコ類の隠れた恵みに迫ってみましょう。

CHEERS 2008年12月号掲載

Mushroom

おいしいキノコの見分け方
弾力があり湿っぽくないもの
傘や軸が固いもの

私たちが普段何気なく食べているキノコ。実は植物ではなく、菌類、いわゆる微生物の仲間であることを皆さんはご存じでしょうか? キノコの本体は細長い糸状の細胞が多数一列に繋がった菌糸と呼ばれるもので、普段はその状態で木や土壌に存在するため、私たちの目に触れることはありません。しかし、温度や水分など、ある環境条件が整うと変化が起こり、子実体が作り上げられていきます。肉眼で見ることのできる大きさの子実体こそが、我々の知るキノコなのです。

日本ではコロンとした形のキノコ、「つくりたけ」を一般的に'マッシュルーム'と呼びますが、英語では食用可能なキノコ全般を'マッシュルーム'と呼ぶため、フルーツマーケットでは'シイタケ・マッシュルーム'や'エノキ・マッシュルーム'などとよく表記されています。ちなみに食用できない、いわゆる毒キノコはトウド・ストゥールと呼ばれています。

キノコは野菜ではないものの、一般成分は食物繊維やビタミンB、ビタミンD2、ミネラルなど、野菜によく似ていることが分かります。特にビタミンB群のB1やB2、ナイアシン、葉酸を豊富に含み、これらはエネルギーの供給や体の老廃物の代謝、神経を正常に保つなど、健康に生きていくために必要な効能を多く持ち合わせます。

カルシウムの吸収をよくし、丈夫な骨や歯の形成に携わり、女性に多い骨粗しょう症の防止にも役立つビタミンD2。実はビタミンD2を豊富に含む食品は比較的限られており、野菜や肉類にはほとんど見ることがありません。しかし、ほとんどのキノコ類には100グラム中1~2.5マイクログラムのビタミンD2が含まれており、これは人間が1日に必要な量の5割を占める、とても貴重な食材でもあります。また椎茸は太陽光線に当たるとビタミンD2になるエルゴステロールという成分を含むため、紫外線を浴び'干し椎茸'となることで、ビタミンD2の含量が数十倍に跳ね上がることも立証されています。一度増えたビタミンD2が分解することはなかなかないので、正しく保存すれば、長期間その効能を保つことができます。

キノコは成分の約90%が水分のため、100グラムあたり20キロカロリーと、非常に低カロリー。「きのこダイエット」と言われるくらい、ダイエットには優れた食材です。また腸内の老廃物を排せつする食物繊維を多量に含むため、便秘や大腸ガンの予防、美容にも最適。さらに、キノコにはβグルカンと呼ばれる多糖体の食物繊維が含まれ、これらが人間の免疫力を高め、坑ガン作用もあることも明らかにされています。既に医療の現場では、レンチナン(シイタケ)、クレスチン(カワラタケ)、シゾフィラン(スエヒロタケ)などの制ガン剤が活用されています。

オーストラリアでは近年、椎茸をはじめ、エノキやしめじ、エリンギなど、様々なキノコが店頭に並ぶようになりました。炊き込みごはんやパスタなど、色々なキノコを料理に活かし、その恵みを最大限にいかしてみてくださいね。


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