Cherry | 食物の恵み

Cherryの恵み

ジュエリーのように美しい透明感を放つことから"果物の宝石"と称されるサクランボ。日本では栽培に手間がかかるため高値で取引されることもあり、高価なイメージがありますが、その一粒の中に含まれる効能の素晴しさは驚きにも値します。今年3月、アメリカで研究報告された薬にも勝るその効能は、今や世界中から注目を集めています。今月は、その小さな果物の宝石に秘められたサクランボのチカラに迫ってみましょう。

CHEERS 2009年12月号掲載

Cherry

おいしいサクランボの見分け方
軸が緑色でしっかりしているもの
実が丸くて、張りとツヤがあるもの

桜を愛でる風習や山形ブランドが有名なことから、日本の果物として認識している方も多いサクランボですが、現在広く知られているタイプの原産地は、トルコの黒海沿岸であり、明治の初めに苗木が持ち込まれたのが日本での栽培の始まりです。ここNSW州ではシドニーから南西へ380キロメートル内陸に入ったヤングが産地として有名で、まもなくベストシーズンに突入します。

サクランボには体質改善に有効な成分がバランスよく含まれています。サクランボの主成分は糖質で、甘酸っぱい上品な味わいが特徴。このほのかな甘さのもとはソルビトールという成分で、砂糖の60%程度の甘味度があり、お菓子の天然甘味料としても使用されます。水に溶けると吸熱反応を起すのでヒンヤリした冷感があり、清涼感が舌を楽しませてくれます。さらに虫歯の根源となる活動を抑制するため虫歯予防にも効果的なほか、便通の改善にも期待ができます。一方、爽やかな酸味は、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸によるもので、これらの成分は疲労回復や食欲増進、血行促進、冷え性などに働きます。また美容に効果的なビタミンCをはじめ、貧血に有効な鉄分も他の果物に比べて多く含まれています。

従来知られてきたこれらの効能に加えて今年3月、高い鎮痛作用が含まれていることが科学的に裏付けられました。オレゴン・H&S大学のスポーツ医学医師、ケリー博士の発表によれば、成分に含まれるアントシアニンの一種であるシアニジンが、炎症反応を強く抑制し、線維筋痛症(全身に激しい痛みを伴う病)をはじめ、心臓病や関節炎など、あらゆる体の痛みを和らげる働きがあることを明らかにしています。また、ちょうど同じ頃、シアトルのスポーツ医学会議では、臨床実験の結果からチェリージュースに一定の鎮痛作用があることを認め、長距離走選手に対して、筋肉炎症を抑える薬物の代わりに、アレルギーや腎障害などの副作用の少ないチェリージュースの飲用を推奨していました。果実を20~25個程度か、チェリージュース1杯分を摂ることで一般的な筋肉痛の症状にも有効とされています。

鎮痛作用に加え、痛風予防にも効果的であることがカルフォルニア大学デービス校の研究者たちによって報告されています。体内の尿酸値を減らすことが痛風予防において重要なポイントですが、臨床実験の結果、サクランボが体内の尿酸値を激減させることがわかっています。

シーズンになるとオーストラリアのマーケットには、モンモラシー、モレロ、ノーススターなどバラエティ豊かな品種が並びます。中でも注目したいのが、癌細胞に働きかける成分ペリリルアルコールを含んでいる品種、モンモラシーです。この成分を含んだサクランボは、全ての癌に対して発癌率を下げる働きがあり、他の抗癌成分に比べて5倍以上の可能性で癌腫瘍を小さくすることが明らかになっおり、乳癌をはじめ、前立腺癌、子宮癌などの治療にも既に効果をあげています。サクランボの爽やかな味わいと、その類稀なる効能を享受できる季節は限られています。オーストラリア産ならではの大自然の恵みと甘酸っぱい初夏の味わいをぜひ、お楽しみください。


ページトップへ