Persimmon | 食物の恵み

Persimmonの恵み

秋の果物といえば、真っ先に柿を連想する日本人が多いのではないでしょうか。国果ともいわれるほど日本で愛されている柿ですが、江戸時代にヨーロッパやアメリカに渡って以来、今では世界中で人気の果実となりました。ここオーストラリアでもさかんに栽培されており、秋の気配が近づく3月頃からスーパーに顔を見せるようになります。今月は、サクっとした歯触りと甘い果肉が魅力の柿をクローズアップしてみましょう。

CHEERS 2010年07月号掲載

日本では奈良時代に登場していたとされる柿は、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」という言葉があるほど、栄養価の高い優れた果物です。原産国といわれる中国では、さらに遡ること紀元前2世紀の王家の墓から多数の干柿の種が出土しており、古代より柿が貴重な食べ物であったことが伺えます。

柿は糖質、果糖、ショ糖をバランスよく含み、優れたエネルギー源となるだけでなく、ビタミンCが豊富に含まれており、大きめの柿1個で1日のビタミンC所要量がまかなえます。美肌効果、抗酸化作用に加え、免疫力を向上させるビタミンCを効率良く摂取できることが、「柿を食べると風邪を引かない」といわれるゆえんです。また、柿はビタミンB1やB2のほか、高い抗酸化作用を持つβカロテンを豊富に含んでおり、老化防止、ガン予防、生活習慣病予防に役立ちます。さらに、βカロテンは体内に入ってから必要な分だけビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を正常に保って肌荒れを改善する機能を始め、外部からのウィルスの侵入を防いで抵抗力を高めたり、目の網膜に働きかけて疲れ目や視力の低下を防ぐ働きが期待できます。なお、柿は塩分が少ない上、体内の余分な塩分を排出して高血圧を改善する働きのあるカリウムも多く含まれているので、高血圧の人には最適な果物といえるでしょう。

そもそも柿は非常に渋いもので、果肉が柔らかくなるまで熟すのを待つか、干柿にするなど人の手で渋抜きする以外は食べることは不可能でした。現在お店に出回っている甘柿は、渋柿の突然変異で偶然生まれたものと考えられています。柿の渋味の素となっているのはタンニンと呼ばれる水溶性の高い成分で、熟柿や渋抜きした柿、甘柿では、タンニンが不溶性に変化しているために渋味を感じさせませんが、その効能は渋柿にあるタンニンと変わりません。タンニンには、血圧を下げる働きがあるほか、アルコールを肝臓で分解する時にできるアセトアルデヒトという有害物質を無害にし、アルコールそのものも体外へ排出する機能があるので、二日酔い防止に大変効果的です。特に、アセトアルデヒドを分解する酵素が不十分なために、悪酔いや二日酔いが多いといわれている東洋人にとって、柿はありがたいお酒のつまみとなりそうです。しかし、柿は消化があまり良くない果物で、体を冷やしてしまう効果もあります。また、タンニンは胃や腸の粘膜を収縮させる働きがあり便秘の原因となることもあるので、1日1個を目安に食べ過ぎにはご注意ください。

柿は比較的保存が利く果物で、冷蔵庫に入れて冷やすと食感や味が悪くなってしまうこともあり、常温で保存することをおすすめします。また、食べ頃は柿の表面全体が橙色になった時になりますので、表面の一部に緑っぽい部分が残っている場合は、そのまましばらく置いて熟成するのを待ちましょう。秋の味覚の代表である柿をオーストラリアでも存分に味わい、寒い季節に備えて医者知らずの体を手に入れてくださいね。

おいしい柿の見分け方
ヘタの形がきれいで、ヘタと果実との間に隙間がないもの
果皮にハリとツヤがあり、色が濃く均一に付いているもの

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