オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

カンジのLet it Rock Velvet Underground

バーシー

29/01/10


今回ご紹介するのはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1stアルバム、『The Velvet Underground and Nico/1967年発表』。アンディ・ウォーホールの手によるバナナが印象的なジャケットのデザインはよく知られているのではないだろうか。



ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(以下ヴェルヴェッツ)は1960`s後半に活躍したグループながら、パンクのルーツとして語り継がれているバンドである。とは言っても、そこにはいわゆる“高速でぶっとばすストレートなロック”は一切ないし、それを期待して入手すると100%裏切られることになるので気をつけていただきたい。そこにあるのは精神的な、姿勢としての“パンク”である。そして個人的にはそれがパンクにとって何よりも大事なことだと思っている。



アメリカでルー・リードらによって結成されたヴェルヴェッツはいわゆる前衛音楽を行うバンドであった。音楽は既成のものにとらわれず、ギターやクラシック楽器を用いてノイズに近い音やフィードバックを奏でるなど、実験的な試みを随所で行っている。また、歌のテーマとしては、ドラッグ、売春、性的倒錯など社会の暗部に存在するものを取り上げて歌詞にしていった。



同アルバム4曲目の「Venus in Furs」はSMをテーマにしたものであり、“僕は暗闇の中でひざまずき、光輝く皮のブーツにキスをし、女王のムチを味わう”といった、まぁ、なんとも形容のしがたいリリックを聴くことができる。7曲目の「Heroin」などはまさに身も蓋もないタイトルなのだが同バンドの代表曲の1つであり、その醒めた旋律は、音楽として、芸術としてとんでもなく美しいものとなっている。



そんな異形のアルバムはアンディ・ウォーホールのプロデュースということもあり一部で話題を呼びながらも、歌詞の内容などのためレコード店やラジオ、音楽雑誌から締め出しをくらい、売上チャートは最高でも全米171位と商業的には惨たんたる結果に終わった。それでもヴェルヴェッツは商業主義に媚を売ることはなく、正当な評価を受けることなく数枚のアルバムを発表し、解散することとなった。そんな異端の音楽集団ヴェルヴェッツも70年代以降のルー・リードのソロ活動での成功とともに、徐々にその凄さを認知されるようになっていった。



現在ではローリングストーン誌などのメジャーな音楽雑誌が行う“歴史に残る名盤ランキング”で、同アルバムが常に上位に挙げられるというのだから面白い。デビューアルバムでSMソングを歌っていたやつらの作品が、ビートルズやボブ・ディランと並んで「ロックの芸術性を高めた」と大絶賛されることになるのだから、まったくもって人生ってのはどう転がっていくかわからないものだ。





TUNES



I`m waiting for the man

http://www.youtube.com/watch?v=hugY9CwhfzE



Venus in furs

http://www.youtube.com/watch?v=AwzaifhSw2c&feature=fvw



Sunday morning

http://www.youtube.com/watch?v=0cWzxJvgWc8&feature=fvw



Femme fatale

http://www.youtube.com/watch?v=FjjDmX9Tkss&feature=related



Heroin

http://www.youtube.com/watch?v=nJNMnBhf-Ds&feature=related





※紙のチアーズ・2009年8月号掲載


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