オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

カンジのLet it Rock -T.REX-

バーシー

02/04/10




今回ご紹介するのはグラムロックを代表するバンド、T・REXの2ndアルバム『Electric Warrior / 1971年発表』。グラムロックは70年代初期のUKにおいて、化粧をし、きらびやかな衣装をまとったミュージシャンたちが、glamorous(魅惑的)なロックを展開することで形作られたもの。同シーンには、デビッド・ボウイやロキシー・ミュージックなど、後の音楽界にジャンルを越えた影響を及ぼすことになるミュージシャンが数多く存在した。日本のロックバンドでは、ザ・イエローモンキーがグラムロックの強い影響を独自に消化しながら、そのあるべきかっこよさを継承していたように思う。



そんなグラム・シーンを牽引していたのがT・REXであった。浦沢直樹氏のマンガ「20世紀少年」の冒頭で、主人公のケンヂが学校の昼休みにかけた曲「20th Century Boy / 1973年発表」がまさにこのバンドの曲。ちなみにこの曲はT・REXが1972年の末に初のジャパン・ツアーを行った際、東京の東芝EMIスタジオで録音されたものだ。同曲のような分厚いディストーションで展開されるストレートなサウンドもT・REXの魅力のひとつなのだが、アルバム「Electric Warrior」はむしろ対極とも言えるアコースティック楽器とクリアなエレクトリック・サウンドによって成り立っている。



そこにある世界は、どこまでもポップであり、また、どこまでも深い。同バンドの中心人物であるマーク・ボランが60年代後期に演奏していたサイケ・フォークのカルト的な陰のある妖しさ、これに対して同じくマーク・ボランが70年代に入って取り入れたエレクトリック・サウンドとゴールドやラメによって彩られた大げさなまでのポップネス。これらが渾然一体となった瞬間に生じた、新しく、そして妖しく輝く音楽世界こそが「Electric Warrior」の魅力ではないかと思う。



冒頭の「Mambo Sun」「Cosmic Dancer」「Jeepster」から始まり、代表曲のひとつである「Get It On」、美しすぎるアコースティック曲「Girl」「Life’s a Gas」、そしてパンク、ラップからアンビエントの要素までが詰まった最終曲「Rip Off」まで、とにかく全編がかっこいい曲で埋められている。ぜひ一度、このロック史上の名盤を体験していただきたい。




輝ける60年代の終焉、ビートルズの解散、ヒッピー文化の後退。そんな時代に生まれた「Electric Warrior」は、UKヒットチャートの1位を7週連続で獲得。T・REXはビートルズを失ったUKの音楽ファンによって一躍、“新時代の子”として祭り上げられた。そんなT・REX、そしてマーク・ボランはどのように新時代を生き抜いていったのか?その話はまた、次の機会にでも。





TUNES





 

20th Century Boy(アルバム未収録)

http://www.youtube.com/watch?v=qpmU4xnmxlQ&feature=related





紙のチアーズ・2009年10月掲載



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