初めまして。僕は関西・関東での修行を得て、世界中の人に美味しいと思っていただける和食を作りたいとの思いで、昨年シドニーにやってまいりました。来豪当初は日本との違いに戸惑い、自分の出したいものとお客様が求めるものがあまりにかけ離れていることで自分自身が腐りそうになったこともありました。しかし、
先を急ぐことなく、日本人として、職人として誇りを持って出せるその日まで、これをライフワークとするつもりでオージーのお客様相手に日々奮闘中であります。
さて、読者のみなさんもオージーやその他のシェアーメイトやクラスメイトから、和食を作ってと言われて何を作ればよいか困った経験はありませんか? そんな時に役立つ、また自分で食べても美味しい、そんなレシピをプロの技を少し絡めながら紹介していきたいと思います。このレシピは全てオーストラリアで手に入る食材、そして食材を少なくして1人でもロスが出にくくなるように考えています。
第1回目は
炊き込みご飯です。なぜか、それは和食を作る上で基本の調味料をまずこれだけは揃えてほしいという意味です。あともうひとつは、なんと言っても
新生姜です。これは夏から秋になる今しか手に入りません。今の時期なら何処のスーパーでも普通に生姜の棚に並んでいると思います。古根生姜との違いは、見るからにフレッシュで、色白、ピンク色の穂先がついていたりします。味は辛味が強く、フレッシュな香りがのぼってきます。この生姜を炊き込むと、ピリッとした刺激とさわやかな香りでちょっぴり幸せになれる日本の味です。是非試してください。そして、今回は炊き込みご飯の合わせ出しを覚えてください。何にでも使えます。マッシュルーム、チキン、魚介、シーチキンやコーンバターなど何でもありだと思います。油っ気のない具材には、サラダ油などを足すとふっくら艶やかに炊き上がりますよ。
分量に関してはあくまで目安です。20ccを軽量する道具なんて持っていないでしょうし…。自分の舌で覚えてください。だしを合わせたら、スプーンで味見してください。火にかけてないのでアルコールもあり美味しくないでしょうが、炊き上がりと比べて自分の味を作りましょう。
①生姜の皮をむいて、細切りにする。
生姜の皮は大変薄いので、包丁や皮むきを使うと身を削ってしまいます。スプーンでこそげると無駄なく皮を取り除けます。当然、包丁で千切りしてもいいのですが、なるべく細い方が美味しいです。僕達は桂むきにするのですが、皮むきを使用して薄くスライスします。そして、細かかったり途中で切れてしまったのを下に敷き、上に大きいのを重ねて小口から切ればそれなりになるはずです。



②ひき肉をお湯で洗う。
ここで一手間。これは省いても良いのですが、仕上がりが違ってくるテクニックです。 ボール や器にひき肉を入れ、熱湯を注ぎ、箸で一混ぜした後ザルに上げる。これだけです。オーストラリアの肉は臭みが強いので、こうすることで余分な脂や汚れがとれるのです。
③炊飯器に米を入れ、①②を入れる。
この時決して混ぜないでください。具が下に入って米が上がると上手く炊けなくなります。
後は炊飯器に任せて完成です。
どうでしたか?簡単ですよね。これからも毎回簡単美味しいレシピを、
応用のきくテクニックを交えて紹介しながら僕自身勉強していきたいと思います。よろしくお願い致します。
大阪北新地の割烹を皮切りに、神戸のホテルを経て、テレビ、雑誌で
多数とりあげられる東京の料亭の新規オープンに携わる。
Vol.1 CHEERS2008年5月号掲載