オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

カンジのLet it Rock -The Libertines-

バーシー

03/07/10


今回紹介するのはリバティーンズの1stアルバム、『Up The Bracket / 2002年発売』。2009年1128日、リバティーンズのフロントマンであったピート・ドハーティがドイツで行われた音楽フェスにおいて、ナチス・ドイツ時代の国歌を歌い、ひと悶着起こしたというニュースが流れた。トラブルメーカーであるピートは今さらながらどうしようもないと思うし、ナチスをジョークのネタとして使うことの是非をここで論じるつもりはないが、何かUKミュージシャン特有の、特にロンドンパンク世代直結の“愛すべきひねくれ”に正直ニヤリとさせられた。



リバティーンズは、
2000年代初頭にストロークスやホワイト・ストライプスらの活動によって世界的な流れとして起こった「ロックンロール・リバイバル」の中でイギリスから登場した。そして彼らは当時の多くのバンドの中でもある種別格といえる存在感と影響力を示していたように思う。




しかし「ロックンロール・リバイバル」というネーミングも考えてみれば間抜けというか、そのまますぎて悲しくさえある。“ロック自体”がリバイバルしなければならないほど、ロックは死に体だということなのか? この復興運動の後もニューウェイブやポスト・パンクのリバイバル的な動きで数々の人気バンドが世に出てはいるが、6070年代のロック黄金期にあったような“変革”はそこに存在するのだろうか?  もうすぐ2010年代を迎えるにあたり、今リスナーはロックとどう向きあうべきなのか? 70年代終盤、セックス・ピストルズは「ロックは死んだ」と言い残して刹那に消えていったが、今こうして80年代以降のロック界を振り返ると、その言葉を否定できない現実があるようにも思えてくる。




とは言え、この2000年代初頭に現れたバンドたちがかっこいいのは確かで、リバティーンズの作品も理屈抜きで人の心や感情を揺さぶるものを持っていた。アンプ直結に違いないギターサウンドで、ソロ演奏のほとんどない、粗く、汚らしく、美しい楽曲たちが奏でられている。まったく嘘のない、愛すべき情けない姿で。彼らの音楽がどのジャンルに組みこまれているのか知らないが、そこには純然たるUKパンクの姿がある。同アルバムのプロデューサーがロンドンパンクの伝説的バンド、クラッシュのミック・ジョーンズだというのだからもう何も言うことはないだろう。




久しぶりにこの作品を聴いてみて、「こんなにかっこよく、何も変わらずに心と体を揺り動かしてくれるのだから、むずかしく考える必要もないか」とも思ったが、さて2010年代にはどんなロックの未来が待ち受けているのだろうか。





TUNES





Time For Heroes

http://www.youtube.com/watch?v=VwhHdeHJ1Yk



Boys In The Band

http://www.youtube.com/watch?v=7xg5MAQ3dAU&feature=related



Horrorshow

http://www.youtube.com/watch?v=VTb0958ayVI&feature=related



What a Waster

http://www.youtube.com/watch?v=Qs4DgqlIzXI&feature=related





紙のチアーズ・2010年1月号掲載

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