オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

カンジのLet it Rock -The Ramones-

バーシー

22/09/10


今回紹介するのはラモーンズの1stアルバム、「Ramones(邦題:ラモーンズの激情)/1976年発表」。“パンクを作ったのは誰か?”という質問に答えるのは容易なことではないが、もしも“3秒で答えろ”と言われたなら、「ロンドンのセックス・ピストルズ、そしてニューヨークのラモーンズ」と返すだろう。いや、むしろラモーンズの名を先に挙げるべきであろうか。ピストルズのパンクがより概念的なものであったことを考えれば、その後の“パンクロック”という音楽ジャンルを作ったのはラモーンズの方だといえる。




シンプルで、キャッチーで、速くて、2分足らずで終了するラモーンズの曲は、いわゆるパンクソングの型を作った。そして彼らがした最大の発明とは、“ギターソロを一切排除したこと”だと僕は思っている。いくらパンクといっても、いまどきのバンドはギターソロくらいこなすが、ラモーンズのこの1stアルバムには本当にそれが一切見つからないのである。というか彼らの全キャリアを見ても、それらしきものはほとんどないと言っていい。つまり、ギターのジョニーは単純にガチでギターソロが弾けないのである。歌のない間奏の部分でも延々とコードをかき鳴らしているだけなのである。



パンクが市民権を得た現在でも恥ずかしいそんな行為を、彼はまだパンクが存在せず、ロックがテクニック志向の絶頂を迎えていた70年代中盤にやってしまった。しかし、その誰にでもできそうで誰もやりたがらなかった発明に、当時の大げさなロックに辟易していた若者たちは熱狂した。そんな彼らの姿はなぜか、かっこよく映った。そんな彼らをかっこ悪いとは誰も思わなかった。彼らを見て、多くの音楽ファンがギターを手にし、自分でバンドをやり出した。ロックの価値観そのものを、汚い格好をしたこの4人が変えてしまったのだ。




しかし、彼らを熱狂とともに迎え入れたのは、パンク・センセーション勃発前夜のイギリスであり、地元アメリカではほとんど誰も見向きもしなかった。クズなはずなのになぜかかっこよく映った彼らの演奏は、アメリカに帰るとやはりただのクズでしかなかった。ホームであるアメリカにパンクを受け入れる土壌はまだなかったのである。



その後、長い時間を経て、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ニルヴァーナ、グリーン・デイ、ストロークスなどが時代とともに現れ、アメリカのロックシーンを築いてきた。これら最重要バンドたちのすべてが、申し合わせたかのようにラモーンズからの影響を公言しているというのは何とも面白い。今そこにあるメインストリームは、社会から受け入れられなかったはみ出し者たち4人が、超低予算で作ったこの一枚のアルバムから始まっている








TUNES



Blitzcrieg Bop

 http://www.youtube.com/watch?v=TYh1lRR1m6Y&feature=related

 


Chainsaw

http://www.youtube.com/watch?v=ry-tCDeRJzo&feature=related

 

Havana Affair

http://www.youtube.com/watch?v=D4lFyxs-SBo&feature=related

 


Listen To My Heart

http://www.youtube.com/watch?v=1MqKDA3cE5M&feature=related

 

Today Your Love, Tomorrow The World

http://www.youtube.com/watch?v=z6Xae9jsqxU&feature=related





※紙のチアーズ・2010年3月号掲載


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