オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

カンジのLet it Rock -The Yardbirds-

バーシー

24/09/10


今回紹介するのはヤードバーズのベストアルバム、『The Best of The Yardbirds』。仮にもロック評論コラムとして、“ベスト盤”をチョイスするというのもいかがなものかという話ではる。しかし、このバンドに関してはこれで正解なのだ。このバンドは「呪われているのでは?」と思うほどに残念なロックキャリアを生きたが、一方でエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジという、いわゆる“三大ギタリスト”を産み落とした。そこにこのバンドの抱えるパラドックスと魅力がある。




ヤードバーズは、ビートルズらと同世代のビートグループとして60年代に活躍した。このバンドの最初のギタリストはあのエリック・クラプトン。1965年にはデビューアルバム「Five Live Yardbirds」を発表する。同作中の“Too Much Monkey Business”では後の彼からは想像できない、若さゆえの衝動的で猛烈なギタープレイを聴くことができる。翌1966年、初のヒットとなる「For Your Love」をリリースしたヤードバーズであったが、リアルなブルースを志向するクラプトンは、このセールスのためのポップ路線に反発し脱退。新たにクリームを結成してビッグネームとなり、ソロとしても大成功する。



そこで代わりにあのジェフ・ベックが加入、“Heart Full of Soul”などのヒット曲を生む。さらには同年にあのジミー・ペイジも参加し、ベックとペイジの豪華なツインリードギター体制が始まる。この時期の音源は少ないが、そのうちのひとつ“Stroll On”はものすごい音圧で、ハードロック、あるいはパンクロック誕生の瞬間といえるほど強烈な仕上がりになっている。しかし、その後わずか数ヶ月でベックが脱退、この体制もまた短命に終わってしまう。ベックはソロで活躍し、カリスマ・ギタリストとしての地位を不動のものとする。




1967年からは残されたジミー・ペイジがバンドを牽引し、実験的な音楽性と必殺のギターリフを武器にロック界に挑戦していくことに。しかし今度はボーカルのキース・レルフがペイジの壮大な構想を理解できずに、「へビィなギターサウンドに嫌気がさした」と脱退。これを受けて新たなバンドを求めたペイジは、ロバート・プラント、ジョン・ボーナムという凄まじいミュージシャンたちと出会い、レッド・ツェッペリンを結成。そこで持てる才能を爆発させたペイジはハードロックを生み出し、文字どおり世界を制覇してしまう…。



脱退するギタリストたちのすべてがバンド以上に巨大な存在になってしまうヤードバーズ。クラプトンやベック、ペイジに対して、その本体であったヤードバーズというバンドはどれだけ知られているのだろうか? 本来バンドの顔であったはずのキース・レルフという存在はどれだけの人に知られているのだろうか? 空前絶後の“ザ・噛ませ犬バンド”、ヤードバーズ。数奇な運命を辿ったこのバンドは、皮肉にもその複雑な経歴ゆえに多くの魅力的な曲を残している。明らかに負け組なのだが、僕はどうにもこのバンドが好きなのである。





TUNES



Too Much Monkey Business

http://www.youtube.com/watch?v=3a0wofRcG6Q

 

For Your Love

http://www.youtube.com/watch?v=Z2LSSgQMc2E&feature=related

 

Heart Full of Soul

http://www.youtube.com/watch?v=f9mQkFpkShg

 

You`re a Better Man Than I

http://www.youtube.com/watch?v=naZ7oEu9sbM&feature=related

 

Stroll On

http://www.youtube.com/watch?v=adbGT8Rg9OE&feature=related

 

Dazed and Confused

http://www.youtube.com/watch?v=58mQvW0ROag

 

Dazed and Confused (レッド・ツェッぺリン バージョン)

http://www.youtube.com/watch?v=T12wRBAhcTY&feature=related






紙のチアーズ・2010年10月号掲載

 

 

 

 

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