オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

カンジのLet it Rock -The Jam-

バーシー

01/10/10


御年52になったポール・ウェラーが今年4月にアルバム「Wake Up the Nation」を発表し、全英2位を獲得した。年齢を重ねるほどに魅力を増すような渋いルックスで、変わらずリッケンバッカーを弾くその姿は、男性陣に理想の“オヤジ像”を見せつける。



その内容は変質しながらも、ここまで崩れることなく“かっこよさ”を維持する人というのも稀有だと思う。また、衝動をインスピレーションの糧とするパンクの宿命でもあるのだろうが、老成したオリジナルパンク世代の活躍というものがほとんど皆無である中、ウェラーが実に頼もしい存在感を示していることは特筆すべきことだろう。




現在の姿からは想像し難いが、彼はあるバンドのフロントマンとして、ロンドンパンクの狂宴に立ち会った人であった。そのバンドの名は、ザ・ジャム。狂騒の77年、細身のスーツをまとい、リッケンバッカーをかき鳴らす少年ポールは、18歳であった。



フーやキンクスを敬愛するモッズ少年であった彼は、同世代のセックス・ピストルズやクラッシュに影響を受け、R&Bを汗だくになって激しく演奏し始めた。そうして生まれたのがジャムのデビュー作『In the City / 1977年発表』である。



向こう見ずで、ときに未熟さも感じさせる十代の視点により描かれた楽曲たちは、真っ直ぐ過ぎる瞳で前を見据えるように、ラフでソリッドな音の塊と一緒にレコードに閉じこめられている。青春そのもののようなポップさは永遠に色褪せない躍動感を持っており、それがこの作品を男女の隔たりなく支持され続ける名盤にしている。




一瞬で昇華するように消えていくバンドも多かった当時のシーンにあって、ジャムは音楽的な成長を続け、82年に解散するまで6枚のスタジオアルバムを発表し、そのうちの4枚を全英トップテンに送りこんだ。近年の彼のアルバムには、オアシス、ブラー、マイ・ブラッディ・バレンタインなどのメンバーが参加しているし、ストーン・ローゼズやリバティーンズのメンバーはジャムをフェイバリットバンドの筆頭に挙げている。



UKロックの各時代を築いてきたこれらのグループが声を揃えてリスペクトしていることからも、ジャムというバンドの存在の大きさをうかがい知ることができるだろう。ちなみにだが日本ではミッシェル・ガン・エレファントが、ジャムを真似てステージ衣装を白シャツと黒のスーツで揃えたというほどの影響を受けている。“ジャムにはずれなし”なわけだが、まずはこの青く輝くデビュー作『In the City』から聴いてみてほしい。





TUNES



In The City

http://www.youtube.com/watch?v=5ipGhzrIi3s&feature=related

 

Slow Down

http://www.youtube.com/watch?v=vPzbc1uUcXA&feature=related



Takin` My Love

http://www.youtube.com/watch?v=vYkhCH4wv4o&feature=related

 


紙のチアーズ・2010年9月号掲載


 

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