オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

ちょいと気になることがある

北山時雨

23/02/11


今このオヤジは日本に来ている。毎年のことであるが5週間の休みを取って、まずは日本で10日ばかりを過ごし、そしてその後は本当の休みをとるのである。そこで少しばかり久々の日本の印象を。



東京では毎日のように友人たちに会い、毎晩酒盛りである。大体が居酒屋に行く。そこで気がついたのだが、ここ10年間ほど、ほとんど食べ物や飲み物の値段が変わっていないのである。これは本当に驚きである。それは多分、不景気が続いているだけでなく、過当競争が異常に強いのだろう。どう考えても数が多い。盛り場を歩いてみればわかるが、なんと多くの食べ物屋、飲み屋があるのだろう。それも似たような店が何軒も何軒もある。友人に言わせるとちょっと流行りのものができると、あっと言う間に広がってゆくという。例えば中華のつけ麺。盛り場を一回り周ってみると本当に何軒となくある。そして皆それぞれ流行っているようなのである。日本は昔からそういう傾向があると思うのだが、それにしても極端である。右へならえと言えばあっという間に右、左と言えば左、その性向はいつまでたっても変わらないのだろう。



移動には主に電車を利用する。東京や大阪は特に公共交通機関が発達していて、どこへ行くにも便利である。さてその車内であるが、なんとほとんどの人が携帯電話に何かを打ち込んでいる。老も若も男も女も皆真剣に、小さなディスプレイを覗き込み、これまた小さなキーパッド相手に指を動かしているのである。その顔を良く見ると皆目が寄っているのである。それはそうであろう。あの微小な画面を見ているのだから仕方がないのであるが、このままいくと日本人の大半が寄り目になるのではないだろうか。余計なお世話でなく、本当に心配になってしまう。携帯電話は次の世代にもその次の世代にも引き継がれてゆくことだろう。そうしたら本当に日本人の大部分が寄り目になるのではないだろうか。まことに心配である。



また気がついたことで昔から変わっていないのが例の案内放送というか、おせっかい放送である。駅の構内、空港内、町の中、デパート…。いわく「電車が到着します。危険ですので黄色い線まで下がってお待ちください」「駆け込み乗車は危険ですのでおやめください」「エスカレーターでは必ずお子様の手を握ってお乗りください」「携帯電話の使用は他のお客様の迷惑になりますのでご遠慮ください」云々。全くうるさくてかなわない。それもテープ放送なので、何度も何度も限りなくやっている。友人に聞くとあれは自己防御のためらしい。駆け込み乗車をしようとして滑って転んで大ケガをしたと訴えられるのを避けるために流していると言うのだ。考えられないことだが、本当にそういって訴える人が稀にいるというのである。日本もアメリカ並みに訴訟世界になったかと喜んではいけない。こういったおせっかい放送がはびこると言うことは、自己責任という観念が薄められてきた証拠なのではないだろうか。あるいは何でもかんでも人のせいにしたがるということになるのではないか。おせっかい放送、それもテープ放送はもうやめたほうが良い。第一うるさい。やかましいと言ったほうがよい。そしてみっともない。日本の良さが大量に失われていく様な気がする。



ときあたかも旧正月にあたっていた。そのためか中国から大量の旅行客が来日していた。札幌の街中で聞こえてくる音は圧倒的に中国語であった。彼らは団体で動きながら、声高に、傍若無人にそしてパワフルに行動していた。特にお土産屋のあたりは黒山と言ってよいほどに群れて、ワイワイガヤガヤそれこそ大騒ぎである。そして大きな段ボール箱を紐でくくって持って歩くのである。それは良い。お土産はじゃんじゃん買ってほしい。地元が潤う。このご時勢に景気よく買ってくれるのだから大歓迎である。しかしながらその無礼ぶりはちょっと腹がたつ。数をかさにきて道路を横に広がって歩くのである。こっちがまっすぐ歩いてゆくとぶつかってくるのである。特に子供がひどい。体重を乗せた体をまともにぶつけてくるのである。親も子も何も気にせず、それこそ無視である。確かに中国は人口が多い。しかしそれでも歩いている人間同士がラグビーのようにぶつかっているのだろうか。そこでふと思い出すのが悪評高かった日本人ツアーである。40年ほど昔、日本は海外旅行ブームであった。このオヤジは添乗員として何度もヨーロッパにグループツアーを率いて行った。30人、40人というグループを連れてゆくのである。ロンドン、パリ、マドリード、ジュネーブ、ローマ、アテネ…そういった有名観光地をめぐって歩くのである。であるからホテルでもレストランでもお土産屋でも群れて行動をすることになる。札幌のあの中国人と全く変わらないことをやっていたのである。当時から大変不評であった。眉をしかめる人が多かったように思う。「傍若無人」「無礼」「我が物顔」といった言葉で評された。しかし程度の問題で言えばあの中国人ほどのひどさはなかったように思う。道行く人に体ごとぶつかってゆくようなことはなかった。もしぶつかったら少しは「失礼」とか「ごめん」とかは言ったはずである。ちょっとは「礼」と言うものは知っていたのである。その違いは大きいように思う。日本人は中国人や韓国人とは違うのである。日本人はその三者のうちもっとも緊張型である。他者を一番気にする傾向である。群れの中で自分の位置をいつも考えている方である。だからどうという結論は出したくないのであるが、札幌の街中で見たあの中国人グループを観察していて、昔々のことを思い出したのである。

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