オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

その168 三題噺

北山時雨

21/06/11


政変



クーデターのことではない(今の日本はいつクーデターが起きてもおかしくはないのだが…)。政治家どもが変なことをして、日本が変だというだけの話であるが、今に始まったことではない。6月2日と3日の霞ヶ関で起こったことは茶番といわずして何といえるのか。内閣不信任決議案が提出され、それを回避するために首相が辞めるやめないの、それを条件にして党内から協力を取り付け、それが終われば言ったの言わないのと全く馬鹿げている。田舎芝居の戯作者でも顔が赤くなるだろう。ニュースは続けて、被災者にマイクを向けていた。60歳代の男性は「ハー情けねえ」とバッサリ。また50代の女性は「怒っています、もう本当に怒っています、私たちはこんなに不便な思いをしているんです、家もないし、お金もないし、何もないんです。もう着のみ着のままなんです」と東北人には珍しく声を荒げていた。またある町長さんは首相退陣云々を聞いてポツリと「自分の仕事をしていましたから」とそれだけ。まるで吐き出すようであった。震災復興は遅れ、ニュースの画面を見る限り、道路以外は瓦礫の山である。主要道路や鉄道も再開しているのに、どうしてこれほど遅れているのか。もちろん予算が付かないうちは何もできないのであろう。しかしこの緊急事態は、多分戦争以外には考えられないのだから、政治家も官僚も最優先でやらねばならないはずだ。それなのに、応えていないどころか、全く痛みを感じていない様子ではないか。国会議員の半分は二世、三世議員だそうだ。何を勘違いしているのか知らないが、自分たちは特別であると思っているような気がする。手を汚さずに綺麗ごとだけで済まされる状況ではない。これでは日本は沈む。しかし彼らを選んだのは誰か、今以上に優秀な人材をどうやって育成できるかという問題も残る。



原発



正式には東京電力福島第一原子力発電所というが、新聞やTVニュースでは原発である。ここが3月11日以来、世界の注目の的になっている。何と言っても世界中の人たちはチェルノブイリでの原発事故と同程度あるいはそれ以上と見ているのだ。それにも関わらず東京電力にしろ政府にしろ、あるいは原子力安全委員会や保安院は何を考えているのだろう。日本人の良い面というのはたくさんあるが、その一方悪い点もあるのだ。その代表格が「わが身可愛さ」と「事大主義」である。このふたつが見え隠れする。どういうことかというと、ある組織の中で働いていると、自分の属する部署(または省、庁)がある種の家庭のようになり、他の部署は一種の敵とみなすところがある。そして秘密主義と上司に対するおべっかやゴマすりが始まる。それが横の連絡を妨げ、情報公開には程遠い意識になっていくのである。また大(大きいもの、権力のあるもの)に事(つか)えるという意識が働いてくるのである。しかし今は、事実を先入観を交えずに、客観的に情報公開する必要があるだろう。世界の報道を見ていると、日本側の発表は、被害をなるべく最小評価し、政府や電力会社の対応は誤算だらけであっても隠蔽しているのではないかという危惧の念が伝わってくる。この前の大戦で日本が滅んだのは実はこういった「わが身可愛さ」と「事大主義」ではなかったのか?





日本ではこの夏、電力不足から節電をしなければいけないと、寄ると触ると言い立て、皆でいっせいに、それも声高に、しかし遠まわしに、なおかつ強制的に「やれ!」と言っているらしい。少し前には「自粛」という言葉が同じように言われていた。ところが「自粛」では尻貧になりそうだと「自粛の自粛」と言い立て、今度は我れも我もと行楽に出かけ、ゴールデン・ウィークはどこもかしこも長蛇の列だったそうである。節電のことを言えば、日本はもう「節電」などとのんびりしたことは言っていられないはずである。やれ「クールビズ」だの「時差出勤」だのと単に目先のことにとらわれているような気がしてならない。大体「電力」はどうやってできているのかを考えれば、めったなことでは使えないはずである。日本は世界有数の富める国ではない。天然資源がほとんどない、世界でも下から何番目かの貧しい国なのである。そう認識するべきである。頭が痛くなるほどの冷房、誰もいない部屋の照明、誰も見ていないTV。これらは当然カットするべきである。「エアコン」をすべて切り扇子や団扇でやってみるべきである。大量のエアコンが切られればそれだけで街の空気は涼しくなるはずである。





人口大国



中国の人口調査の結果が発表された。それによると中国の2010年の人口は13億3972万人で、世界人口のおよそ20パーセントに上る(香港、マカオ、台湾は含まない)。ナショナル・ジオグラフィックの記事によると今年10月に世界人口は70億人に到達するという。ちなみに2位はインドで12億2千万人、3位がアメリカで3億1千万である。ここでよーく考えて欲しい。日本はこの中国から大変な量の食料を買っているのである。いや買っているのではない、作らせているのだという人もいるかもしれない。しかし、もしもあの国で何かが起きて、中国人自身にも食料が行き渡らないような状況になったら、真っ先に外国向けの食料はストップされるだろう(大体、中国人が飢えから解放されたのはそれほど昔のことではないはずだ)。それはこの前の漁船体当たり事件で見せたレアアース禁輸措置を見ればすぐに想像がつく。また四川省で起こった地震と山崩れで何千人分かのテントが必要になり、海外に支援要請をしたところそのほとんどが中国製であったというジョークのような本当の話があった。何をよーく考えるかというと、自国の食べ物は少なくとも自国生産しなければ、それは国家として一人前ではないということに気がついてほしい。政治のことも節電のこともまた食料自給のこともすべて我々の意識の転換でできることなのである。



    User comments
    Comment1    ※10文字以下
    Comment4    ※8文字以下
    Comment2    ※30文字以下
    ・コメントは全角で500文字まで。
    ・書き込みはライターの判断で削除される可能性があります。
    ・詳細はチアーズ利用規約をご覧ください。

    関連記事

    その168 三題噺

    21/06/2011

    北山時雨

    政変 クーデターのことではない(今の日本はいつクーデターが起きてもおかしくはないのだが…)。...

    カルチャー
    Banner3
    Side girl 20200116
    Side 2

    FOLLOW US

    SNSで最新情報をゲット!

    NEWSLETTER

    メールで最新情報をゲット!

    メールを登録する

    COUPON

    オトクなクーポンをゲット!

    全てのクーポンを表示