オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

その173 さてどうする?

北山時雨

06/12/11



この1031日に世界人口が70億人に達したという。以下読売オンライン版が伝えたところによると『潘基文(バンギムン)国連事務総長は31日、記者会見で「70億人目の赤ちゃんを歓迎します」と正式発表し、その上でソマリアの飢餓やシリア・アサド政権による反体制デモ弾圧を例に挙げ、「世界はひどい矛盾に満ちている。10億人が飢餓に苦しみ、殺りくのための武器に大量の金が使われている」と強調。「我々は、70億人目の赤ちゃんのために正しいことを行う倫理的な義務を認識すべきだ」と述べ、貧困対策や国際平和に対する各国の協力を求めた』という。このオヤジは随分昔にこの欄で、世界人口が100億人になるのに何年かかるかを試算したことがあった。その当時、世界人口は60億人になったばかりで(1999年)、世界人口の平均自然増加率が17パーセント/年であった。そのため簡単な計算機で複利計算をしてみたのである。まず1・017と押し、次にXX(乗=かけるを2回)と押し、次に60と入れる。そして=(イコール)を1回押すと1年目の数字、2回で2年、3回で3年ということになり何回押せば100を越すかを数えると31回目で101・18…となり31年で100億人を越すという計算になる、ということを書いた(それを今やってみると10回=10年で70を越したのでこの計算でゆくと2009年に70億人を超してしまうので、多分自然増加率の計算基礎が変わってきたからなのだろうと理解した)。そしてその上で100億人になったとき(2030年)、地球上の人間にとって生存する上で大変なことが起きるであろうと予測したのである。


第一に食料の問題、第二に天然資源の問題、そして最後に水の問題である。まず食料の問題。これは100億人にならずとも、また国連事務総長が指摘せずともすでに現在の問題になってきている。では増加し続ける人口に対して食料生産はどのようなやり方をしてきたのかと言うと、1960年代、アメリカやヨーロッパで化学肥料を大量に使うという方法で増産を図った。水を地下から汲み上げ化学肥料をイヤというほど使えばどんな所でもどんな作物でも増産できたのである。その影響は地下水の減少と化学肥料による人体へのダメージである。昨今の食品アレルギー(乳製品、卵、ナッツ類、甲殻類水産物、菌茸類、グルテンなど)が猛威を振るっているのはこのためである。また1990年代以降、遺伝子組み換え技術によっても増産できるようになった。これはたとえれば、それまで小麦の穂に100粒の小麦が結実するのを、遺伝子情報を組み替えて150粒実らせれば50パーセントの増産が簡単にできるということである。そしてこの方法による人体へのダメージはまだはっきりとこれであると証明できているわけではない。そしてこうも指摘した。食料、それも人間の食べるものはたったの3種類しかない。それは土壌を耕して得られる「農業生産物」と、牧場で牛や羊などを飼って作る「牧畜・酪農生産物」と、海や川、湖から得てくる「水産物」である。それ以外の食料もないではない。例えば鉱業生産物である合成油脂であり人造蛋白質である。こういった食品ともいえない食品がこれからどんどん増えてゆくであろうことは容易に考えられる。


さて我々は、この3種類の食品についてどれだけ関心を持っているのだろうか。日本の食糧自給率は4041パーセントにとどまっており、先進国では最低の数字である(カロリー計算に基づく。以下同じ)。100パーセント以上の国はオーストラリア(173パーセント)、カナダ(168パーセント)、アメリカ(124パーセント)、フランス(111パーセント)で以下スペイン、ドイツ、スウェーデン、オランダ、イギリス、イタリアが82パーセントから63パーセントまでの数字である。もしも13億5000万人といわれている中国で何かが起こり、食糧生産は自国向けのみで「もう外国へは売れません」となったらどうするか、という問題は常に頭の中に入れておかなければならないだろう。実際中国という国は、ついこの前まで餓死者が出ていた国で、1949年の建国以降ようやく皆が食えるようになった国なのだ。そういった国に食料生産を任せているということ自体問題なのである。「世界第二の経済大国」などといわれて血が頭に上ったのか「農業なんてやっている暇はない、そんなものは他国に作らせればよい」といった流通の神様がいたが、結局それは大変な間違いであることが分かりかけてきたのである。工業立国であろうが、経済大国であろうが、人間は食わなければならない。一日たりといえども欠かすわけにはいかないもののひとつである。その大切なものをなぜ外国に依存しているのだろうか。やはり意識の改革が必要である。何も江戸・明治時代の食生活に戻れとは言わないが、少なくとも「残飯を捨てる」ということができるような余裕はないのだと肝に銘じるべきだろう。そして人間は弱いものだから贅沢ができないとなると不満が募るものである。しかし、我々の祖国日本という国は始めから豊かな国ではないと認識する必要がある。第一に天然資源が極めて少ない国なのである。だから東日本大震災以降、節電節電と騒いでいるが、そんなことは地震があってもなくてもこの日本では当たり前のことなのである。第二に国土の大部分が山岳地帯で、可耕地はおよそ国土の15パーセントと言われている。そして少ない耕地であるにもかかわらず、政治家のアホどもが何を考えているのか、作物を作らないほうが金になるという制度を作り、それに農業を営んでいる人たちは目をくらませてしまい、まんまとその策にのってしまったのである。もういい加減に目を覚ますときだろう。第3に、これが一番大切なのだが、日本という国の存続をどのくらいの期間であるかを想像すべきであろう。この先何年間続くのかということである。100年か500年かそれとも1000年か? これは難しい問題ではあるが、この思想がなければ何も始まらないのである。(この項続く)


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