オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

その174 さてどうする?(2)

北山時雨

20/12/11


前回、世界人口が100億人になったとき、人間が生存する上で大変に困難なことが起きるであろうこと、それは食糧の問題であり、天然資源の問題であり、そして最後に水の問題であると指摘した。そしてこれらの問題を考えるうえで一番大切なことは、日本という国があと何年間存続できるか、あるいは存続させられるかということを腹に叩き込んでおかないといけないとも指摘した。そして第一の問題である食糧については100パーセントの自国生産ができるように全国民の意識を変えることが必要である。農業従事者が働いて甲斐のある農業政策を作り上げなければいけない。それにはバカな政治家を選ばないことが重要なのだ。本音と建前を使い分け、自らの地位のみに汲々としているような政治家はもう要らないのである。利権と利益団体に振り回されているような政治屋はもう不要なのである。たとえ食糧生産を外国に委託する場合でも厳しい生産管理をすること。そのためにはやはり上手な外交が必要になってくる。本当の政治が今ほど必要になっているときもないのではないか。

次に天然資源の問題である。100億人にならずとも70億人になった現在、すでに問題が発生している。それも巨大な問題が。温室効果ガスが地球の温暖化に拍車をかけているという。その温室効果ガスというのは主に二酸化炭素であるとされている。「されている」というのは、現時点で温暖化の主原因は二酸化炭素であると、誰もはっきりと因果関係を証明できていないからである。では大気中の二酸化酸素濃度はどれくらいかというと、1800年までの1000年間は横ばいで0・028パーセントであったが、1960年の時点で0・032パーセントになっていたというのである。そして今後年間0・0002~3パーセント増加すると見られている。であるから、これ以上大気中に二酸化炭素を放出するのを抑えようではないかというのが今の世界の流れなのである。しかし誰がどうやって?というのが大問題なのだ。



問題は温暖化だけではない。現代生活は電力というものなしでは到底考えられないものになっている。見回してみれば、我々の周りには、家庭でもオフィスでも、あるいは社会全体が電力で動いているものばかりがそろっているではないか。ここまできてしまったのは誰のせいでもない。我々がそれを望んだからなのだが、もうそろそろ望むことをやめなければいけないときが来たように思う。化石燃料である石炭、石油、天然ガスは絶対量が決まっていて、将来必ず枯渇する。だからと言って全面的に原子力発電に移行するにはあまりにもリスクが大きすぎる。福島からの教訓を考えると、今のところそれがいつになるかはただ我々の使い方ひとつにかかっているのである。

そして思いを馳せれば、空調の利いた快適な空間で電気・電子製品に囲まれ、食べるものに困らず、ひねればお湯も水も気ままに使え、夜でさえ本が読める明るい贅沢な生活を送っているのは、70億人のうちせいぜい20パーセント程度であるのだ。その20パーセントの人間が世界中の天然資源の80パーセントを消費しているのである。これは考えてもよいことではないだろうか。



特に日本は資源が極めて少ない国である。その国の人間が無駄と使い捨てをやめ、いかに持続可能な方法で生き延びるかを考えるのは当然のことなのである。日本人が得意の知恵を働かすときが今なのだと思う。世界に率先して知恵を絞ればよいのだ。日本という国は神話時代を含めておよそ2670余年の間、おおよそのところ何事もなく平坦に、おとなしく、そして幸せなことに国が滅亡の危機に直面するような目にあまり遭っていない。ここで急いで付け加えなければならないのは、大陸で唐という大帝国が出現し急いで律令国家を作らざるを得なかったときと、蒙古来襲のときと、黒船来航後大急ぎで近代国家を作り上げた明治維新のときと、太平洋戦争のときだけが例外であるということだ。これらの外圧から、国家というものを外の世界とすり合わせることで自らを変えていったのである。しかしそれら外圧対策の時期をトータルしてもせいぜい50年か、長くても100年はなかったのではないか。それ以外のおっとりとした時期の方が圧倒的に長く、概して云えば日本はのんびりやってきたといえるであろう。今ここで腹をくくっておかねばならないというのは、現在我が祖国日本はいまだかつてない国難に直面しているように思うからである。



さて今年も押し詰まった。思えば本紙が出る前、12月8日は真珠湾攻撃からちょうど70年という日であった。また1931年の満州事変からは80年である。先にも述べたが、概して穏やかな日本の歴史の中で、この終戦までの15年は唯一の汚点である。2600年の歴史の中で、誠に口惜しいことながらこの15年は嵐が吹き荒れたのである。本来の穏やかで勤勉で正直で潔い日本がこの時期ばかりは人が違ったようになってしまったのである。それもこれもタチの悪い政治家と軍人たちのなせる業であった。しかし誰がそれを選んだのかを考えると暗然とせざるを得ないのである。諸君どうか良い年を迎えたまえ。(この項続く)

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