オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

The eyes have one language

北村元

23/05/13




 The eyes have one language everywhere...





今年の枯れ葉剤被害者支援ツアーに、全く枯れ葉剤被害者とは無関係の小学生の視力検査を取り入れ、ベトナム中部で、合計300名を超える生徒の視力検査をした。全員が2000年生まれだった。

写真は、ベトナム中部、クアンガイ省トゥーギア郡ギア・タン村という片田舎の診療所の軒下での検眼風景の一駒だ。1968年3月にアメリカ軍が4時間で504人のベトナム人 高齢者、婦人、子供ら村人を虐殺したソンミ村からそれほど離れていない。

静止視力の測定方法として日本で最も広く用いられている「ランドルト環」を使用した。ランドルト環とは、大きさの異なるC字型の環の開いている方向を識別する方法だが、私たちは、仲間のN医師の指示で、1枚のランドルト環を1回閉じては向きを変えて児童に見せるやり方をとった。2・5メートル離して、0・5を達成できない場合は、控え室で待機するN医師の所に送り込んだ。ランドルト環はフランスの眼科医エドマンド・ランドルト(1846-1926)が開発したものだ。

スプーンかしゃもじを用意しなかったのは大失敗だった。なんと封筒で片目を塞ぐという前代未聞の検査。ついついもう片方の目にかぶさって、M氏(写真)は、生徒から叱られたと後で苦笑いしていた。

日陰とは言え35度の真夏。立ちっぱなしの2時間だったが、子どもたちが可愛くて少しの疲れも感じなかった。受診した子どもには、首都ハノイで購入した良質のノートをひとり5冊贈呈した。そばに村のお役人が付き添い、「この人にもお礼を言いなさい」と私の方を指さし、いちいち指導するのには感服した。標題の英語は、「目は口ほどにものを言い」という積りの英語だが、目には喜びが溢れていた。日本では、お辞儀が最敬礼。ベトナムでは、左手を右手の肘に添えてノートを受け取る。酒席で、特に目上の人からビールなどを注いでもらう時もよく見られる。

生物は太古の海洋で誕生した。以来長い間に陸を住みかとする動物は、エラは肺に、ヒレは手足にと、陸上生活に適した身体に進化した。まぶたや涙腺・涙道もやはり、生物が海から陸に上がるときに作られた構造だという。

ある眼科医が書いていた。「〝涙は目の表面を潤す太古の海〟という見方もできます」と。戦争で、この子たちの澄んだ目から太古の海を流させるようなことがあっては絶対にならない。

 



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