オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

モンマルトルの丘で…

北村元

23/05/13












  ロンドンに滞在中、パリ日帰りに挑んだ。朝ユーレイルに乗って、目指すは久しぶりのモンマルトルの丘。
モンブランはケーキになっているが、モンマルトルというケーキは見たことがない。モンマルトルは、殉教者の丘という意味だ。紀元272年ごろ、この丘の付近で、後にフランスの守護聖人となったパリ最初の司教サン・ドニと2人の司祭が首をはねられて殉教したと伝えられている。ヤコブス・デ・ウォラギネの「黄金伝説」によれば、首をはねら

れたサン・ドニは、自らの首を抱えながら北へ数キロ歩き、息絶えたという。オイ。オイ。オイ。オジー。オジー。オジーだよね。これじゃ、ケーキにはなりにくい。

 

ピカソ、モディリアーニ、ほか貧乏画家たちがモンマルトルの「洗濯船」と呼ばれる安アパートにアトリエを構え制作活動を行った。マティスらも出入りし活発な芸術活動の拠点となったが、1914年以後は多くはモンパルナスなどへ移転した。モンマルトルは、パリ郊外の農地であり、ブドウ畑と風車がシンボルであった。丘の上には大きな女子修道院が建っていた時代もあった。今、その風情はない。ぶどう畑は消え、風車は、キャバレーのムーラン・ルージュに買い取られたかのようだ。

 

そうそう、日本にゆかりのある人がここにいた。

1534年8月15日、イグナチオ・デ・ロヨラが、バスク出身のフランシスコ・ザビエル、フランス出身のピエール・ファーヴルら6人の同志と共に、丘の中腹の聖堂で生涯を神にささげる誓いを立ててイエズス会を創設し、日本をはじめ東洋でのキリスト教の布教活動へと繋がっていった。

 

だらだら坂が続く。ユトリロがよく描いた白いサクレクール寺院が見えた。寺院から左手へ行くと、テアトル広場がある。寒い日。雨がひたぶるに降るなかを、画家たちが、似顔絵を描こうと観光客を待っている。お世辞にもうまいとは言えない絵がイーゼルにかかっている。

ここは要注意の場所だ。安い値段でもちかけて、描き終わると10倍の値段を要求する画家がいると聞いた。ぼったくりのバーみたいなものじゃないか。中には、了解をとらないうちに描きはじめる画家もいるらしい。ユトリロもそんなことをしていたのだろうか。まさかぁ!

 

声をかけられたら「俺も画家のはしくれなんだよ」と、図々しく言おうと決めていたが、こういう時に限って誰も声をかけてくれなかった。カネがないとみられたか? 君の目は正しいよ。



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