オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

ぶらり 空中散歩

北村元

27/05/13












 マリーバ(QLD)浮いているという体感。
周りは空気だけ。

空気だけがあって、なにも遮っていない。

地面から離れることが、こんなにも気持ちが良いなんて。

踊りたくなるほど爽快だ。

(「クレィドゥ・ザ・スカイ」より)

 

人は、昔から高みを目指してきた。それは、空間的にも、精神的にも。人間の腕に翼のようなものをつけて、鳥と同じように羽ばたいて飛行しようとする試みは、ヨーロッパ各国で幾多の人が挑戦したが、いずれも失敗に終わった。

 

かの偉大なレオナルド・ダ・ビンチは、さすがに人間の腕の筋力では、飛行は不可能であることを見抜き、しかし、大空の飛行を確信して、グライダーやパラシュート、ヘリコプターなどの原型のスケッチを残している。

 

でも、ついに、フランスのリヨンの南方の町、アノネーで製紙業者の息子に生まれたモンゴルフィエ兄弟が夢を叶えた。幼い頃から紙に親しんでいた兄弟は、焚き火をした際に発生する煙を紙袋に溜めると、紙袋が浮かび上がることに気がついた。袋を大きくすれば、人も浮かび上がることができるのではないかと考えるようになった。

 

兄弟は、一七八二年十二月には、絹製の袋を高度二百五〇メートルまで上昇させることに成功した。

一七八三年六月五日、彼らはアノネーでリンネル製の袋を使って最初の公開飛行を行った。袋は二千メートルまで上昇し、二キロの距離を約十分に渡って滞空した。 この日が熱気球の記念日になった。今年も、まもなく熱気球の日を迎える。

 

兄弟の実験はルイ十六世の興味を引き、一七八三年九月十九日、ベルサイユ宮殿前広場の王の眼前で、まさに〝天覧実験〟が行われた。この時、兄弟は王から有人飛行の許可をもらうために、ヒツジ、アヒル、ニワトリを気球に吊り下げた籠に入れた。動物たちが生きていれば、上空でも酸素がなくならないとわかるからである。実験は成功し、二人はルイ十六世から勲章を与えられた。

 

一七八三年十一月二十一日、最初の有人飛行が行われた。当初は死刑囚を乗せる予定だったが、フランソワ・ダルランド侯爵ら二人が「囚人たちに歴史的な栄誉を与えるわけにいかない」と志願した。二人を乗せた気球は百メートルまで上昇し、パリ上空の九キロの距離を二十五分間飛行した。

 

ケアンズの西のマリーバ。早朝の静寂(しじま)を破るガスの音を発し、私の乗る熱気球は雲を抜けると、まぶしい朝日を一身にあびながらゆったりと高みに上昇して行った。



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