オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」

世界最長の恐竜の通り道の化石が危い

北村元

27/05/13









西オーストラリア州のブルームは十九世紀後半に南洋真珠の養殖で栄えた頃から、日本や中国、マレーシア、中東の人々が財をなそうと集まり、国際的な町として発展した。だから町の道路標識には、英語、マレー語、中国語、日本語、アラビックとマルチリンガルで書かれている。明治時代には真珠採りの技術を伝えるために日本から多くの潜水夫が移住し、現在日本人墓地に七百七基九百十九名の潜水夫の慰霊がある。

 

ブルームは州総督のフレデリック・N・ブルーム卿に因んで名付けられた。「私の名に因んだこの町は、三つの墓の中の住人が住むだけのダミーの町のままになりそうだ」と、かつて彼は書いた。ブルームの人口は、推定で昨年の暮で一万三千人を超す。なんと、先の読めなかった総督だこと。

 

消すに消せない史実もある。一九四二年三月三日、九機の軍国日本の零戦がブルームの町を攻撃した。攻撃は零戦による地上掃射で、爆弾は投下されなかった。

 

そのブルームの海岸には、世界最長の恐竜の通り道あり、一億三千万年前干潟を歩いた時に作られた恐竜足跡の化石が三千有余遺されている。ガス精製工場と港湾施設の建設計画が調印され、化石の保存が危険にさらされている。ブルームが中国向けの大量の液化天然ガスの積出港として地理的好位置にあるからだ。

 

恐竜の通り道にどんな化石があるのか?

 

ディプロドクス(ジュラ紀の竜脚形類。尾をムチのように振るっていた)、ブラキオサウルス(ベルリンのフンボルト博物館にある中生代ジュラ紀後期〈一万五千年前〉のブラキオサウルスで、頭は十二メートルの高さ、肩までの高さは六メートル、全長は二十二メートルもある。ニューヨーク自然史博物館のコルバート氏はその体重を七十八トンと計算した)、ムッタブラサウルス(鳥脚類に属す四足、時には二足歩行の草食恐竜 の一種。白亜紀前期に生息)、この他に数種類の大きな肉食動物を含む合計十五種類の恐竜の化石の足跡は、ブルーム周辺のキンバリー海岸に沿って八十キロメートルにも伸びている。世界に稀有の化石の宝庫なのだ。

 

クイーンズランド大学古生物学者のソールズベリー博士は、「オーストラリアの他のどこにも記録のない恐竜の足跡の化石がここにはたくさんある。そして、竜脚類足の化石は、世界のどこと比べても最大のものだ。足跡の化石が海岸にそって長く連続しているという点で、重要性がある…両足の化石をみつければ、それをたどっていけるのだ」と声を大にして訴える。

 

八十六人の科学者が署名した州政府への意見書に、政治家はどう答えるのだろうか? 

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