北村元
26/06/13
青天の霹靂とは…青く晴れ渡った空に突然激しい雷鳴が起こることから、予期しない突発的な事が起こることをいう。由来は、中国南宋の詩人、陸游(りくゆう)の詩『九月四日鶏未だ鳴かず起きて作る』の中で、病床に伏していた陸游が、突然起き上がり、筆を走らせた勢いを雷に喩えたもので、筆勢の激しさを表して言った言葉。
私にとっての青天の霹靂は、一九八九年一月ニューヨークに出張中の真夜中に、本社から電話があって、三月からバンコク支局に赴任してほしいという外報部長の人事の内示だった。以来それほど驚くことはなかった。
ところが、人心乱れる二一世紀。この三年間は、青天の霹靂が常態化した。
民主党は二〇〇九年八月の衆院総選挙で圧勝。民主党代表・鳩山由紀夫が第九三代首相に就任した。ルーピーと呼ばれ、なんとも変な首相だった。が一年もしないうちに沖縄の米軍普天間基地問題の大迷走、自らの「政治とカネ」の問題で混乱した責任をとって「職をひかせていただく」と述べた。
ついで、「イラ菅」菅直人の登場である。東日本大震災の前に、無能力政権を露呈。二年連続で青天の霹靂は続いた。民主党第三代首相の野田佳彦によるいきなり解散は当然としても、この極みに、暴走老人が走りはじめた。これまた、私にとっての青天の霹靂にほかならない。
石原慎太郎である。彼は、最初に都知事選に出馬した際、当時七一歳の美濃部亮吉を追い落とそうとして「もう新旧交代の時期じゃありませんか、美濃部さんのように前頭葉の退化した六十、七十の老人に政治を任せる時代は終わったんじゃないですか」と発言している。いまの石原は、齢(よわい)八〇。すでに自分の言ったことは忘却の彼方なのだろう。民主で苦労し、暴走老人で危険な思いをすべきではない。ここは有権者が、賢明なる知恵を湧き出して考えるべきだ。
そして、新聞で、<いつまでも残って消えぬ鳩の糞>といわれてきた元首相・ルーピー鳩山由紀夫の政界引退。<うるさくて電池抜かれた鳩時計>となって、青天の霹靂は追加された。
これだけ青天の霹靂が多いと、青天の辟易(へきえき)と言葉を変えなくてはなるまい。二〇一三年からは、はるかにまともな日本国に戻ってもらいたい。ひたすら耐えている原発被害者と震災被災者が大安心と大希望を取り戻せる政治環境にしようではないか。少なくとも希望の持てる新年を迎えるべきだ。(敬称略)
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