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インタビュー: 本田圭佑選手の元専属シェフ〝世界を旅する料理人〟沢山慶充

21/09/2019

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Apple Soup with Dill Oil ※Australia & Norway

Fennel, Tomato and Honey Vinegar Salad ※Norway

※は、その料理がインスパイアを受けた国名

7月1日、世界各地でチャリティイベントを開催しながら料理修行を積む〝旅する料理人〟沢山慶充シェフと、ニュータウンの日本食レストラン『新町』とのコラボレーションチャリティイベントが開催された。同チャリティイベントでは、北欧や中南米オセアニア特有の料理を取り入れたコースに交え、ニュータウンで人気を誇る新町のラーメンなどがもてなされた。ニュージーランドでの旅を終え、同イベントのためにシドニーへ立ち寄り、翌日からデンマークへと向かう沢山シェフ。いったいどんな人物なのだろうか。

Kingfish Ceviche ※Mexico & China

出発はオーストラリアから
北欧から中南米、アジア、オセアニアなど世界中を回り、その土地で料理を学びながら、恵まれない子供たちに対してのチャリティイベントに励む沢山シェフ。その出発点はオーストラリアだったという。
ワーキングホリデービザを取得し、26歳でシドニーにやってきた沢山シェフ。到着から1週間もしないうちに、ローカルのオーガニック・レストランにてトライアルとして入り、デザートのポジションに就くと、その2ヵ月後にはスーシェフまで登りつめた。そして仕事も安定した頃にモスマンにあるアートギャラリーで、第1回目となるチャリティイベントを開催した。しかしチャリティとしてはあまりにも少額しか集まらず、自分の力のなさを痛感したという。でもここで諦めないのが沢山シェフ。その後も経験を活かし、国内をはじめメキシコやニュージーランドでも開催し、『新町』でのイベントは今回で2回目を数える。

1度目のオーストラリアの後はノルウェーへと渡った。世界最高峰の料理コンクール「ボキューズドール」のヨーロッパ大会と世界大会で優勝したシェフがいるレストランがノルウェーにあり、24歳のころから働くために応募していたが断られていた。まずは現地の老舗レストランで経験を積もう、と起点を変えた沢山シェフ。5年後にはその念願のレストランでのポジションを獲得した。

Bringing Out the Taste of Vegetables ※New Zealand & Indonesia


本田圭佑選手との出会い
そんな矢先、メキシコへ移籍した元日本代表の本田圭佑選手が専属シェフを探しているという話が入り、ノルウェーにベースを置きながら20年ぶりのメキシコを訪れた。
本田選手とはもともと高校のときに試合で対戦をしたことがあった沢山シェフ。当時から別格であった本田選手は、その試合でも得点を量産していたという。本田選手は沢山シェフのことは覚えていなかったものの、彼を見返したい、彼の料理を作りたいという思いが通じ、数あるシェフの中から沢山シェフは見事選ばれ、本田選手との共同生活がスタートする。
もともと1ヵ月でノルウェーに戻る予定だったが、「もし残ってくれたら嬉しいけど、夢があるなら挑戦した方がいい」との、本田選手らしいリスペクトを込めた発言に対して、真剣に向き合った。

メキシコでのチャリティイベント

「明日、点決めます」
ある試合の前泊で、ふと本田選手がそう告げてきた。普段そんなことを言わなかった本田選手が珍しく予告をしたそうだ。有言実行する本田選手に思いを乗せて、彼が本当にゴールを決めたらここに残ろうと、沢山シェフは決意した。しかし、ケガ明けで臨んだ試合で、本田選手には後半の15分しか出場時間が与えられなかった。そのままロスタイムに入り、頭の中では、「戻らないといけない…」とよぎっていたが、その直後に得点を決めた。「こんなに面白い人がいるんだ、もっと知って学びたい」そう感じたシェフは数日後、「シェフとしてW杯まで専属料理人をやらせてほしい」と伝えた。ちなみに沢山シェフは本田選手の印象をこう捉えている。
「すごく優しい人で、どんなに忙しいときでも誰よりも早くトレーニングに行って、遅くまでやっている。町でサインを求められたときも絶対にことわることはなかったですね」
もちろん、メキシコ滞在中も、本来の目的である〝旅する料理人〟を忘れることはなく、休みの日には、レストランで研修をしながらお店でチャリティのイベントを行い、恵まれない子供たちに寄付を行った。

Yoshi's Take on Norwegian Fish Cream Soup ※Norway, Indonesia & Japan

沢山シェフはなぜここまで、チャリティ活動を行うのだろうか。
それを説明するには沢山シェフの生い立ちに振れる必要がある。石川県で育った沢山シェフは、小学校低学年のころ、厳しい状況下での生活を味わい、いじめも受けていたという。学校ではときどき同級生に自分のご飯を捨てられ、家に帰っても食べるものがない時期もあり、給食のトレーラー横の残飯入れのようなところから食べものを拾って食べていた時もあった。そんな中、普段は赤と緑のみを発信する家のテレビから、栄養失調で飢える北朝鮮の子供たちの映像が気まぐれに映し出された。あまりの衝撃に、「自分はまだ恵まれている」、「いつか人のために何かやりたい」という思いが芽生えるようになったという。そしていつしか、「海外に出て、困っている人を助けるようなレストランをやりたい」と、具体的な夢を描くようになっていた。
そんな沢山シェフが初めて作った料理は、「水に砂糖を混ぜたもの」。お腹がすきすぎて、目の前にあるもので作ったそうだが、当然、美味しくなかった。「いつか美味しいものを作りたい」、「どうやったら美味しい料理が作れるようになるんだろう」と言う気持ちが強くなっていった。
小学校4年生の頃に、父親のメキシコ出張に数週間ついていくことになった。料理に興味を持っていた息子に食を経験させるために、自分はサンマの缶詰を食べ、知人に息子をレストランに食べに行けるようにお願いしていた父親。その意味を小さいながらもしっかり受け止めて食べにいき、そして海外の大きさに衝撃を受け世界を意識しだした。
高校生に入ると実際に飲食店で働き始める。とある中華料理屋でお世話になった人から、17歳のバイトにまるで社員のようにいろんな仕事をやらせてもらえるのが楽しくて、夢中で仕事を覚えていった。ときには学校へ行かずに泊まり込みで一生懸命に働いたこともあったという。
境遇は厳しかったが、そのおかげで自身の中で早い段階でいろいろなことに気づけたので、全然嫌な思い出ではないという。「今思い返せばかなり恵まれた経験だった」と、その当時を振り返る。それらが彼を作ってきた経験のすべてだったのだ。

Yujin's Ramen ※Japan, Indonesia & Mongolia



ノルウェーからバリ、ニュージーランド、そして再びシドニー
本田選手との共同生活を終えるとノルウェーに戻り、そこからバリで料理の交流を行い、その後ニュージーランドへと渡る。農業とマオリの伝統的な料理「ハンギ」を学ぶことが目的だった。『シド・アット・ザ・フレンチカフェ』というレストランで働きながらハンギを学び、農業体験を通じて農家の努力などを知った。
 

今回で2度目となる『新町』でのチャリティイベント
同じ場所を選んだ理由として、2年半前と比べて、自分がどう変わったか、なにかできるか、あえて同じ場所で行うことで過去との違いを感じたかったからだという。

現在はデンマーク領、フェロー諸島の二つ星レストラン「Koks」で働いている沢山シェフ。

シドニーのフードシーン、そして未来のフードとは?
シドニーのフードシーンを断片的に見てきた沢山シェフが感じたことは、食レベルの高さに他ならない。「仕入れ値や人件費が高騰しているなかで、それでも活躍されている日本人シェフのレストランは本当に素晴らしいと思います。見えない努力があるから成り立っているところもあるかもしれませんね」。
世界の料理基準でいえば、いまはノルディックが流行の先端にいるという。世界の大会でも北欧が強く、上位を独占するなかで、沢山シェフは中南米が面白いと感じているそう。昆虫食や乾燥地帯でしかとれない食材などもあるため、これからの地球規模の環境の変化で、注目されていくという。将来的にもしお店を出すとしたら?の問いには「メキシコで挑戦したい」と答えた。食レベルや技術はまだこれからの国だが、サッカー、プロレスの次に必ず「料理」が来るほど人気の高い職業で、皆目を輝かせながら料理をし、熱があるので、ポテンシャルを感じているそうだ。

Yoshi's Style Hawkey Poki ※ Japan & New Zealand


次の目的地へ
沢山シェフが次に向かったのはデンマーク。毎回伝手もなく、自分で「面白い」と感じたところにトライアルを申し込み、了解を得た場所で働く。実際はどうなるかは行ってみないとわからないが、いつもの通り、起こった出来事に臨機応変に対応する。「毎年やり続けてきたチャリティイベントを、今後はもっと大きくできるようなシェフになりたいですね。今後も個として、シェフとして、成長しながら継続し、もっと人のためになりたい。こうして(イベントを)手伝ってくれる人を大切にしながらやっていきたいです」。謙虚な姿勢の中に揺るがない志が見える沢山シェフ。今後の活躍が楽しみでならない。

新町オーナー熊坂良太シェフ、新町ヘッドシェフのユウジンシェフ、沢山慶充シェフ

Japanese Tapas 新町
1/239 King st
Newtown, NSW 
火~日
12:00am - 2:15 pm, 
5:30pm - 9:15 pm
TEL: (02) 9557 1063
 

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