21/12/2022
55歳から日本地図を作り始めた偉人・伊能忠敬の秘話を追っていくストーリー。チアーズ12月号では中西監督へのインタビューを決行。そして、この映画の制作秘話をお届け!
Q:「大河への道」をみて、学生時代、歴史の教科書に出てきた「伊能忠敬」の功績をあらためてよく知ることができました。数多く存在する偉人の中から今作品で伊能忠敬をピックアップしたのはなぜでしょうか?
この映画は元々立川志の輔師匠の落語「大河への道」を映画にしたいという中井貴一さんの企画から始まっています。ですので、この質問は原作者の志の輔師匠にしていただくのが一番いいのですが、師匠は地図の完成年と伊能忠敬の没年に3年のズレがあるのに着目し、偉人の陰に隠れている、名もなき人たちの苦労、努力、心意気にスポットを当てることができると考えられたのではないか、と私は勝手に推察しています。私がこの企画に一番惹かれたのもその点でした。
Q: 現代の大河制作と過去の地図作りと、作品を作り上げるという情熱に感銘しました。監督が今作品で最も情熱を注いだ部分はどこでしょうか?
色々あるのですが、一番ということで言えば、俳優さんたちのお芝居をいかに的確にとらえるか、ということでしょうか。コメディということもあって、積極的にアドリブも取り入れて、生き生きとしたお芝居を撮影することを心掛けました。これだけバラエティに富んだ、芸達者な方々が集まってくださったので、それぞれの一番いいところをしっかり画面に収めることができ、撮影していて、とても楽しかったです。
Q:現代と過去の一人二役の役柄がどちらの時代にも絶妙にマッチしていましたが、このキャスティングはどのように決めていったのでしょうか?
プロデューサーや脚本家と相談しながら、決めていきました。全体のバランスを考えながら、一人二役両方の役柄、存在感、演技力などをさまざまな角度から総合的に判断して、キャスティングしました。色々な方の知恵を借りて、本当に素晴らしいキャストが 集まってくださったと思っています。
Q:今作品を見て、とても勇気をもらい、自分自身に喝を入れることができました。今作品から最も伝えたいメッセージとは?
伊能忠敬は調べてみると、なかなか奥の深い人物で、本当にドラマになっておかしくない偉人です。その偉業は本当に尊いものですが、まさに劇中で橋爪功さん演じる加藤が言っているように、その陰には同じように苦労し、努力し、泣いたり、笑ったり、怒ったりしながら、一生懸命頑張っていた、名もない人たちがいて、そのおかげでその偉業が成り立ったんだということを、その生き様こそが本当に尊いものなんだということを感じてもらえれば、とてもうれしいです。
Q:ズバリ、次の映画の企画、ご予定はありますでしょうか?
現在、新たな企画を検討中です。今度はコメディ要素のまったくないシリアスな内容のものになるかもしれませんが、こうして色々なタイプの作品に挑戦できるのは、監督としてとてもやりがいのあることだと感じています。
中西健二監督のプロフィール
映画監督・脚本家 1961年 大阪府出身。東京大学卒業後、数々の作品の助監督を務め、「青い鳥」(2008)で監督デビュー。「花のあと」(2009)、「二度目の夏、二度と会えない君」(2017)など、時代劇からファンタジーまで幅広い作品を手掛ける。
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