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Cheers インタビュー


お金に働いてもらう生き方を説く!

諸星きぼう

22/03/2011

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大学を卒業された後にメガバンクに就職され、投資の世界に入ったとお聞きしておりますが、まず投資の世界に入られたきっかけなどがあれば教えてください。

父が中学校の教師で、40代前半から癌を患い長い闘病生活をしていました。そんな父を支える母がお金のやり繰りに苦労しながら兄弟を大学に行かせてくれる姿を見て、お金に苦労する生活だけはしたくないという思いが強くありました。大学時代に読んでいた本で「米国債トレーダー」という仕事が「手に職をつけることができ、成功報酬をボーナスという形でもらえ、億を超える年収を獲得できる可能性がある」ということを知り、影響を受け、この仕事に就きたいという希望を持ち、大学卒業時に日本のメガバンクに勤めました。そしてイギリスに出向になりまして、しばらくはイギリスにおりました。

投資というと失敗されている方の話も聞くので、怖いものだと思っている方もいると思うのですが、諸星さんも失敗されたことがあるのですか?

大きな失敗としては銀行員1年目のまだ支店勤務の時に、つまりマーケットについて素人だったのに、バブル崩壊で、株取引で億の借金をしました。

1年目に億の借金ですか! 怖いという気持ちはなかったのですか?

怖いという気持ちも何も、その頃はお金をかければかけるだけ多くなって返ってくると思ってましたので、両親の家を担保にお金を借り、そしてそのお金を担保にお金を借りたりして、レバレッジをかなり効かせてリスクの高い投資をしたのですが、バブルが崩壊してしまったんです。

その時に投資を辞めようとは思わなかったのですか?

取り戻すことを考え、必死に投資の勉強をして、特殊な方法を使い、3年でその借金を取り戻しました。投資を始めたころは世の中の動きを何もわかっていなかったので、このような失敗をしてしまいましたが、今であれば失敗はしません。

3年で億の借金を取り戻されたというのは素晴らしいですね。そのような失敗もされながら、外資系銀行に勤められた後に独立し、株式会社アイディール・ジャパンを立ち上げ、投資教育と投資コンサルティングを行われていらっしゃるのですよね。その投資教育の一環で、インベストメント・サロンを主催されていらっしゃって、「楽しく」・「自由」・「豊か」というキーワードをもとに活動されていらっしゃるそうですが、そのキーワードを軸に活動されるようになった経緯を教えて頂けますか?

独立した当初はそういったキーワードを考えていることはなく、ちょうどITバブルの頃で、稼ぐ前にお金が入ってくるような時代でしたので、2~3年はお金を追い求めていました。ところがある日、インフルエンザにかかり、40度を超える熱を出しながら事務所で唸っていた時があったのです。

40度を超える熱ですか。

ええ、その時にある友人が事務所に訪ねて来てくれて、この本の内容が役に立つからということで、中村天風氏の『君に成功を送る』という本をプレゼントしてくれました。

あの盛田和夫さんや松下幸之助さんらが感銘を受けた本ですね。

その本の中で僕の生き方に影響を与えたのが、「自分の思い通りの人生を生きる」ということでした。それは何歳からでも始められる。そして、もうひとつが「幸せな人生を生きる」ということでした。「幸せとは?」という話は、女性だったら一度は考えたことがあると思いますが、仕事に熱中しているエリートサラリーマンになると、そういった「今、君しあわせ?」といった発想をしたことがない方が多いと思うんです。僕も考えたことはありませんでした。しかし、その本の中では「皆、幸せになりたいと思っている」ということが書いてあり、そして幸せになるにはどうしたらいいか、ということが書いてありました。どうしたら、幸せになると思われますか?

うーん…そうですね。自分の人生にミッションを持ってそれに向かって生きていくってことでしょうか?

中村天風氏の答えはシンプルで、「人に好かれること」だと書いてあったのです。それじゃあ、どうしたら人に好かれるかと思いますか?

ええ…どうしたらいいんでしょうか?

「その人がして欲しいことをしてあげる」と書いてありました。ただ学生時代は出る釘は打たれるという状態で、腕1本で数字とか、客観的に示せるもので勝負をしたいと考えていました。トレーダーになろうと決めた理由に、自分の腕で稼げる職業であり、自分で稼げば人は関係ないという思いもありました。でも本当は心の奥で皆、人に好かれたいと思っているはずなんですよね。人に好かれるというのは、自分がいつも楽しくいれて、心が幸せになり、様々なことがやれたりということに繋がるのですが、思い通りの人生を生きようと思った時に、必ず人の助けが必要になる。それには好かれる必要があると思いました。そして、人生の転機が訪れた時に、自分の幸せとは何かを考えて、「楽しく」、「自由」、「豊か」をキーワードにやってきました。そしてそれをオーストラリアを通して伝えていくことを目的として、“オーストラリア大地のめぐみ倶楽部”を設立しました。これは、楽しく自由に豊かな人生を送っていこうという倶楽部です。

どうしてオーストラリアでそのような倶楽部を始めようと思われたのですか?

実はロンドンに駐在になり、その時に気候が寒くて仕事を辞めようと思うくらい寒いのか嫌で、東京に帰りたいと考えていました。ロンドンは6、7月が最高の気候ですが、オーストラリアを調べてみたら天候も温暖で、ロンドンの6、7月の気候が場所によっては10ヵ月ぐらい続くので、そんなところは天国だと思ったという単純な理由です。

皆さん、オーストラリアに来られた理由に気候を挙げられます(笑)。

ただ、こういう考え方で会を設立しやってきて、皆さん理念としては賛同してくださるのですが、忙しく働かれていて。例えばですが、好きな時間に起きてテニスをしたいと思ったり、突然新鮮な魚が食べたくなって北海道へ行こうと考えたりしても、実際はなかなか一緒に行ってくれる人はいない。ひとりで自由人生活をしていてもつまらないので、仲間が欲しいなと思ったのですが、皆さんが豊かにならないと仲間が得られない状況なんだと気付きました。「豊か」というと、もちろん精神的な豊さという意味もありますが、僕はお坊さんでもないですし、精神的に豊かであれば清貧でも幸せというのは、僕らのような凡人には難しいと考えたのです。そこで、物質的な豊かさも得て、心の豊かさも得られればいいと思い、始めたのがインベストメントサロンになります。

そういう面白い経緯があったんですね(笑)。ところで、オーストラリアでは若い方も日常的に株を買ったりと、日本よりも投資に関して積極的だと思うのですが、オーストラリア人は日本人より投資力があると思われますか?

僕がオーストラリアで調査をした結果では、オーストラリア人も日本人も投資の枠で考えるとあまり変わらないですね。世界で考えても、根本的に投資力を持った国民というのは実はいないと思います。 日本では、投資=金儲けと世間一般に広がっていて、売るサイドだけが儲けるようになっているイメージがあります。最近ではFX(外貨為替保証金取引)があり、個人投資家革命が起こり、投資の環境が整ってきたと言われていますが、FXが博打の道具のように使われてメディアもそれを仰ぎたてる。こういう行き当たりばったりで儲けた(という?)人の本や情報で儲けようとしても、それは無理なのです。中には才能のある人が、千人や1万人にひとりぐらいいて、本当に儲けた人もいるとは思いますが…投資には欠かせない能力が3つあるんです。そして僕はそれを投資の心・技・体と呼んでるんですが…何だと思いますか?

投資の知識、心理学とかですか?

そうですね。まず、皆さんが思い浮かべるのは、投資のノウハウとか、経験という「知識」面。それだけで成功すると思っていらっしゃる方も多いです。でも他にも2つあります。2つ目は「マネー・マネジメント」。しかしこの2つに長けているはずのプロ中のプロである欧米金融機関やヘッジファンドが、相場で最終的に大損をして終ることもあるのです。それはなぜかと言うと、3つ目の「心」に問題があるからなのです。それは表面的なことではなく、無意識という潜在意識に関与します。この潜在意識を含む「心」を投資の重大要素として語られている書籍はあまりなく、心理学という面から述べられているものはあるのですが、僕もそれを今研究しています。

知識やマネー・マネジメント力だけではなくて、無意識も投資力の一部といういうことですね。

この「心」という部分は、知識で知ったからといってすぐには発揮しません。練習や経験が必要です。そして僕はこの「心」の部分を「投資EQ」と名づけて、セミナーなどを通して投資で成功するために必要な3つの力を高めるお手伝いをしていますが、これらを高めていくのは難しいんですね。そこで大切なのが、自分は何のためにやっているのかという目的意識や、自分の中で続けていくときに原点に戻れる一本の柱のようなものの存在です。

原点と言ってもいい一本の柱。すなわち、この3つの中でまずは「心」からスタートするべきだということですか?

そうですね。今回出した「お金は週末に稼ぎなさい」という本では、投資の基本的知識をまず網羅する形で書いてありますが、どこが他の本と違うのかというと、「自分がどう生きるのか」というのが初めにあって投資をすることが書いてある。つまり、自分はどう生きたいのかという夢や目標があり、そのために必要なお金はいくらだという具体的な数字目標が立ち、その数字目標から自分が投資できる金額を逆算し、何%の年率で回して行けばいいのかという数字を出す。そしてそれを年率で回すためにはどれくらいのリスクをとらなければならないのかということを確認し、それだけのリスクをとることができるのか、できないのかというプロセスで投資をしていくということが書かれています。

とても具体的ですね。

ええ、ほとんどの人は明確な目標もなく、どれくらいお金が欲しいのかと尋ねると多くあればあるだけいいといった答え方をする。つまり具体的な数字がないのです。

諸星さんは他の方のお金の運用を代行されたりもしているのですか?

僕は基本的に皆さんのお金の運用はせず、投資の仕方を教えています。皆さんには自分でやることを嫌がっていては駄目だとお話ししています。なぜかと言うと、世の中には善人説とか善悪説などというのがありますが、特にお金の世界では、悪人化してしまう方が多くいるのです。お金を見ると人が変わってしまう。投資アドバイザーも、最初はお客様にリターンがあって喜んでもらって自分も嬉しいという感じで始めるのですが、いつの間にか自分の利益を考えてしまうようになり、そういった投資を勧めてしまう方もいます。もちろん、全員がという話ではないのですが。なので、こういう現状も含めて自分がわかる範囲で自分で投資力をつけていくのがいいと思うのです。さらに言うならば、ファンドは買うなとアドバイスしたいです。なぜかというと、0.98の30乗をしてもらったらわかります。ファンドを買うとこれだけのお金を人に渡すことになるのです。何もしなくてもこれだけのお金が減ることになる、つまり複利の効果というのが働くのです。投資をする時にはコストをかけてはいけません。

この新しい本に、こういった具体的な内容も書いてあるんですか?

そうですね。この本は皆さんのバイブルとして使って頂ければと思い書いていますので、自分が昨年の1年間、インベストメントサロンで教えてきた内容も80%ほど入れて、まず前半の半分には投資を始める前にやっておかなければならないこととして、基本的なワークの話もしています。後半は投資の初心者の方には少し難しく感じる内容ですが、基本書としてお役に立てると思います。

この諸星さんのお話を聞かれて、投資をしてみようと思われる投資初心者の方も多くいらっしゃると思いますが、これから投資を始める方へのアドバイスなどがあればお願いします。

まずは自分の投資スタイルを知ることが大切です。農耕型の方もいらっしゃれば、狩猟型の方もいらっしゃいます。狩猟型の方が農耕型の投資をしてしまうと、やはりどこかで狩猟型の投資をしてしまい失敗したりします。どの世界もそうですがプロがいるということを知っておく必要があると思います。例えば、ボクシングという競技でイメージしていただくと、リングの中にはプロのボクサーが戦っている状態なのです。何も装備をせずに素人がそのリングに上がるという行為は、ノックアウトどころの話でなくて、下手をすれば死んでしまうでしょう。投資の世界も一緒で、そういうことをイメージしながら準備をすることが大切です。ただ、準備ばかりしていて時間という一番貴重な資源を失ってしまわないようにもしなければなりませんが。

昨年の10月に2冊目の本も出版されて、投資教育事業に既に奮闘されていらっしゃっている諸星さんですが、最後に今後の活動の展望について教えていただけますか?

日本の世の中はこのままでは危ないと考えています。まだ実際にあまり変わっていませんが、投資教育を通し、日本を救おうということをミッションに掲げて、これからも活動を続けていきたいと思います。そして、その活動の中に投資協会というものがありまして、そこで今年は投資認定プログラムを準備しています。この投資認定プログラムというのは個人投資家のためのプログラムで、投資の先生を作ることを目的としていて、認定された先生がまた生徒に投資を教えていくという形で、投資ということをもっと広めて行きたいと思っています。

諸星きぼう
株式会社アイディール・ジャパン代表取締役社長
投資教育家 / (社)証券アナリスト協会検定会員
1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンで、デリバティブ・トレーディングを実践、金融最先端に身を置き、世界をつぶさに見てきた。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため、投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメントサロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営。資産数十億円以上のクライアントを何人も持ち、投資アドバイスを行っている。DANと呼ばれ、1年の半分近くは海外で過ごし、「楽しく」「自由」に生きて、「豊か」になることを自ら実践し、そうした生き方を皆ができるように、「お金に働いてもらう」方法を説いている。著書に「お金は週末に殖やしなさい」(2010/10)、「大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術」(2009/3)がある。


 

CHEERS 2011年4月号掲載

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