16/12/2009
イタリアの強豪サッカーチーム、ACミランのコーチによって世界各国の有能ジュニア選手が選抜され、6月にミラノでACミラン・インターナショナル・カップが開催された。オーストラリアからは4人が選ばれ、イタリア人選手との合同チームを結成したが、なんとこの大会で見事に優勝を果たすことに。その栄えあるチームでキャプテンを務め、今回の快挙を成し遂げるキーパーソンとなったのが、11歳の比邑郁(ひゅうが)君。イギリス系オージーの父と日本人の母を持ち、5歳の頃からサッカーをはじめたという彼の元に駆けつけてインタビューを行った。
本当にエキサイティングな体験だったよ。世界の舞台で、他の国の選手から大きなモチベーションを与えられたと思う。これからどんなレベルに到達したいか、それに向けてどのぐらいの練習が必要なのかを考えるとてもいい機会になったよ。
今回はイタリア人選手との合同チームだったんだけど、どうにかまとめることができたよ。彼らにも英語は少し通じたので、ジェスチャーも交えてコミュニケイトしたんだ。約1年前から、ACミランに13年所属していたアンドレア・イカルディの下でトレーニングを積んできたおかげで、イタリア式のプレイの仕方にはなじんでいて、全く違和感はなかった。プレッシャーは全然感じなかったよ。
彼はタフで選手をプッシュしてくれるとてもいいコーチだったよ。イタリアに行った時、現地の人たちはアンドレアがオーストラリアでコーチをしていたことにとても驚いていた。彼は国民にリスペクトされているスターのような存在なんだ。そんなコーチから指導を受けたことは、とても素晴らしい経験になったと思う。イタリアはオーストラリアに比べて練習の量も質も高いものが求められる。それと、もっともっとサッカーに対する情熱が必要となってくるよ。
ボールのポゼッション(守り)の仕方が上手い。ただフィジカルな攻撃的な戦略よりも、いかにボールをキープするかが大切だと思う。
いろんなスタイルのゲームの運び方があるんだなと思った。その都度、どのように対処すべきなのか、瞬時の判断が必要だということ。
皆同じボールを追うもの同士、共感できることは多いよ。ただ、いつも僕たちオージーボーイズは、一番最初にフィールドに到着していたし、ゲームの1時間前には準備できてた。
可能であればできる限りいろんな国へ行って経験を積みたいと思っている。トレーニングの仕方も違うだろうし、きっといい刺激を受けると思う。
小さい頃、パパと出かける時は必ずサッカーボールを持って行ってたんだ。パパも趣味でサッカーをやっていたことがあって、一緒にプレイするうちに、自然に好きになっていった。
日本に行く度にトレーニングに参加することができて、とてもラッキーだと思う。日本には1年に1回行くか行かないかというところかな。日本に行くのは大好き。
サッカープレイヤーの姿勢と、コーチや周りの人たちへのリスペクト。練習の終わりには、きちんとお辞儀をしなくちゃいけなくて、僕は慣れていないから、あわてて皆のマネをしてお辞儀してた(笑)。それと、練習が始まる前に選手たちがグラウンドならしなどの準備をして、トレーニングが終わった後も自分たちですべて掃除をするのにも少し驚いたよ。オーストラリアではそういった準備、片付けはスクール側で全部行うんだ。
断然日本だよ! 日本の方が練習は厳しくて、選手のためになるから。オーストラリアはイージーゴーイングで、「失敗してもまたやればいい」という悠長な姿勢があるんだ。
今回は日本なんで気合いが入ってる。将来日本でサッカーをやりたいと思っているので僕にとってすごくいいチャンスだと思う。
どのステージも大変だった。自分のベストを見てもらいたかったから。
西野選手はプロフェッショナルで強い人だと感じた。自分自身の心構えが必要だということを学んだ。
1日1~2時間、火~土曜日までが練習で、日曜日は練習試合がある。休みは月曜日だけなんだ。
リラックスして過ごしたいところだけど、学校は普通にあるし、普段時間がないから、宿題をこの日にできるだけやってしまうようにしてる。パパと今6歳の弟のサッカーの練習にコーチとして加わることもある。だからあまりのんびりはしていないかな…。
かなり才能あるよ!体も強いし、最高の選手になるのは間違いない!
学校は大好き! 友達がいるし、一緒にサッカーができるし。勉強は正直言ってキライだね(笑)。でも、やらなきゃいけないことだから。両立できるように頑張ってる。
中村俊輔が好き。僕と同じミッドフィールダーで、キック力があるしボールの回し方が上手いから。
イギリスのスティーブン・ジェリド。ポジションはやはりミッドフィールダーで、得点率が高いし、パスが強くて的確なんだ。
絶対に日本! 以前のワールドカップで対戦した時も日本を応援していたんだ。残念ながら、あの時は実力を発揮できていなかったけど、次に対戦の機会があったらぜひ勝利をものにしてほしい!
競争率が高かった分、とっても楽しみにしているよ。この学校の卒業生は全体の40%がプロになるんだ。現時点では今だからこそできるいろんなサッカーを経験して、学校に入ったらひたすら練習に励んでいい選手になろうと思っているよ。
チーム内のギャンブルがある部分がとても面白いし、とにかくプレイするのが好き。何でも球技は大好きだけど、サッカーが一番。僕にとってはベストなスポーツだよ!
最高のクオリティのサッカープレイヤー! 日本かイギリス、もしくはヨーロッパのどこかの国で活躍できたら嬉しい!
キラキラ輝く強いまなざしで、大人顔負けのしっかりした人生観を語ってくれた比邑郁君。ずば抜けたサッカーの才能と甘いマスクを備え、堂々とした物腰にはすでに大物オーラが漂っている。サッカー以外の話では無邪気な11歳の素顔を見せる比邑郁君だが、スターとしての資質を十分に携えた彼が、プロとして世間を騒がせる未来はそう遠くはないはず。そんな彼に今から要注目だ。
ターナー比邑郁(ひゅうが)
1997年生まれ、11歳。5歳からサッカーを始め、ローカルのサッカークラブで活躍。7歳からプライベート・コーチについて、3年間のトレーニングを受ける。06年から約1年間、オーストラリアン・エリート・サッカー・フットボール・アカデミーでトレーニング。07年1月にはオーストラリアン・フットサル・クラブ・チャンピオンシップ(全国大会)で優勝。また同年ACミラン・アカデミーのトライアルに選ばれ、その後約1年間に渡って元ACミランのアンドレア・イカルディの指導を受ける。08年5月、さらにその中から4人がオーストラリア代表として抜擢され、6月ミラノで開催されたACミラン・インターナショナル・カップに参加、キャプテンとしてチームを優勝に導く。帰国後オーストラリアで行われたJリーグ湘南ベルマーレのトライアルに参加し、ファイナリストとして合格、10月に日本で行われるトライアルに参加することに。また、超難関であるオーストラリアのサッカー名門校、ウエストフィールド・スポーツに来年入学が決定している。ポジションはセントラル/攻撃派ミッドフィールダー
CHEERS 2008年9月号掲載
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