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世界に本物の「グリーンティー文化」を創造し続ける日本茶のイノベーター 前田園 

代表取締役社長 前田 拓 氏

08/12/2011

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この夏、アメリカで不動の人気を誇る前田園のアイスクリームがついにオーストラリアに上陸した。日本産100%の抹茶をたっぷりと使用し「本物」の品質にこだわった抹茶アイスクリームは、アメリカを訪れたオージーから「オーストラリアではどこで買えるのか」と問い合わせをさせるほどの確かなクオリティ。しかしその背景には、長崎でお茶の老舗、前田園を営む親のもとに育ち、80年代に単身渡米、「グリーンティー」という言葉すら知られていなかった当時から自身で行商をはじめ、「本物の日本茶を海外の日常生活の中にも広めたい」と勢いのある事業展開を続けてきた前田園CEO、前田拓氏の存在があった。現在、海外で日本産100%にこだわって販売する日本茶メーカーとしては27年間という最長期間のビジネスを続ける、唯一の存在だ。アメリカで培ってきたその実績をもとに、ついに大陸を飛び越えてオーストラリアでも販売を開始する前田氏に、これまでの成功の軌跡と今後の意気込みを聞いた。

前田園は1984年にアメリカで設立されますが、設立までの背景について教えてください。

テキサスの大学に留学していた頃、アメリカ人の家庭にホームステイしていたんです。私は実家がお茶屋なので、一般のアメリカ人家庭の食生活の中に日本茶が入ったらどうだろう?と想像しました。でも80年当時のアメリカ、中でもテキサスの人たちは「グリーンティー」という言葉自体を知らなかったし、「緑色の飲み物なんて考えられない」と。それなら、自分が日本茶のイノベーションを起こしてやろう、と考え始めました。

設立当初はどのような商品から販売し始めたのですか? また当時のアメリカでは日本茶など広く受け入れられていたのでしょうか。

まずは、日本産100パーセントのお茶を輸入し、アメリカ人の嗜好を知るために自分自身で試飲販売をした後、西海岸と東海岸に設けた直営店や全米のスーパーマーケットで販売しました。ちょうどその頃、テレビ番組「将軍」が人気になって日本ブームが起き、日本レストランが増え、日本茶も知られるようになってきて。でも、レストランで味わうだけでなく、もっとアメリカ人の日常に浸透させたい、と思っていました。

現在アメリカでは、特に「抹茶アイスクリームのトップメーカー」として前田園の名が知られていますが、アイスクリームに着目し、力を入れていこうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

アメリカ各地のレストランへお茶の販売に出向く中で口にした当時のグリーンティーアイスクリームが、人工的な色や味をつけたもので、〝これをグリーンティーと思われては大変だ〟と思ったんです。それなら日本茶のプロである自分が、本物の抹茶アイスを作れば、お茶を美味しく入れるのは難しいアメリカ人にも手軽にお茶の美味しさを味わってもらえるんじゃないか、と。本物の抹茶アイスにアメリカ人が親しめば、アイスクリームの消費量は日本とアメリカでは桁違いですから、それと同時にグリーンティー自体の認知度も格段に上がるはずだと考えました。

その後、トップメーカーとなるまでの軌跡を教えてください。

最初は現地の工場で委託製造を開始しましたが、その後、自分たちで品質管理を行うべく自社工場を作りました。お茶で〝二番煎じ〟といいますが、第二段の商品以降も質が良くないと、看板商品の評判も落としてしまいますよね。だから、前田園のお茶のブランドを守るためにも、質には徹底的にこだわりました。結果として、日本の抹茶を贅沢に使用した今までにないグリーンティーアイスはアメリカ各地のレストランで取り扱っていただける大ヒット商品になりました。

前田園では理念として、武道などで使われる「守破離」を掲げていますが、どのような思いが込められていますか? 前田さんご自身の言葉で教えてください。

まず「守」は、愚直なまでに守ることですね。ひたむきさ、自ら汗をかいて動くこと。すべてにおける基本、土台というイメージです。「破」は、パワー。体ごとぶつかる、考えぬき悩みぬいてブレイクスルー、そういった基本だけにとどまらない勢いです。最後に「離」。これは「守」で伝統や守るべきものを大切にしつつも、自分の切り口で、オリジナリティを創造してゆくこと、英語でいえば"MY WAY"や"ONLY ONE"に当たると思います。本物の品質を愚直に守りながら、体当たりで革新を続けていこうという思いです。

現在、アメリカだけでなくカナダや中南米でも評判を集めていると伺いました。何ヵ国に展開され、また、各国での反応はどのようなものですか?

おかげさまで徐々に取り扱い国が増えてきています。お茶商品で北米、欧州、ロシア、中東、南米など20ヵ国以上、輸送が難しいアイスクリームで10ヵ国くらいでしょうか。当社モットーである"Authentic&Traditional"を一貫して実践してきた結果として、商品自体がもつ力でお客様に良さを分かっていただくことができ、クチコミでファンが増えているのはありがたいことです。

アメリカでは20年近い実績がある前田園の抹茶アイスが、今回初めてオーストラリアで販売開始となりましたが、その背景を聞かせてください。

オーストラリアからアメリカ各地を訪れ当社のグリーンティーアイスクリームを食べた人たちから、「オーストラリアのどこで買えるのか、食べられるのか」という問い合わせをたくさん頂いたんです。ヨーロッパやアジア各地からも同じような声を頂いていたこともあり、アメリカで長年親しまれてきた前田園のグリーンティーアイスクリームはグローバルに愛されると確信し、乳製品生産国・オーストラリアの豊富で美味しいミルクで当社商品を作ろう、と。

アメリカと比較して、オーストラリアで何か違いを感じることがありましたか?

街の活気、ビジネスの勢いや元気な雰囲気がすごいですね。こちらも気持ちがよくなります。アメリカ以上におおらかで、余裕を感じますね。ぜひもっともっと訪問するつもりです。

〝お茶屋さんの抹茶アイス〟として、他社の抹茶アイスと比較しての特長や、込められた思いがあれば教えてください。

それは、品質ですね。当社の抹茶アイスクリームは、本来の抹茶の味わいを最大限に引き出して、かつ抹茶だけのすっきりした緑色で、〝本物〟にこだわっています。人工的に色や味をつけた商品とは根本的に異なるのが、皆さんの舌でも感じていただけるはず。でも一方で、抹茶が勝ちすぎると苦味が残ってしまいデザートでなくなるので、抹茶の割合もポイントです。オーストラリアは、一人当たりのアイスクリーム消費量が日本人の3倍近くのアイスクリーム消費超大国ですから、アメリカ人同様に500ミリリットルカップをひとりで平らげることも想定に入れた最適の抹茶のバランスにしています。

現在は抹茶や黒ゴマ、マンゴーを始め9つのフレーバーで展開されているとのことですが、これらの味はどのようにチョイスしたのでしょうか?

デザートは〝新しい味覚〟の発見も楽しみなものです。そのフレーバーの名前を見ただけ、聞いただけで、「どんな味だろう」「食べてみたい」と好奇心や食欲をそそるもの、エキゾチックなイメージや、ヘルシーなイメージ…。いつも、遊び心を感じさせるラインナップで楽しんでもらおうと思って開発をしています。これからもバリエーションを増やしていきたいです。

10月初旬にはゴールドコーストやブリスベンで試食販売を実施されたとのことですが、当日の反応はいかがでしたか?

反応は非常に良かったです。さすがアイスクリーム消費超大国! 皆さんすぐに躊躇なく口に運んで、それから味を厳しく吟味している感じでした。舌が肥えていますね。そのうえで、どなたからもにっこり「美味しい!」と言っていただいて、自信を持つことができました。

読者の方々は原材料にも関心があると思うのですが、仕入先や品質について教えていただけますか?

抹茶はもちろん100パーセント日本産のALL NATURALです。それ以外も、美味しいものの豊富な国なので、最大限にオーストラリア産の品質のよいものにこだわりました。もちろんミルクはオーストラリア乳、それにマンゴーもオーストラリア産の高品質なケンジントン・マンゴーを使用して、品質管理を徹底した豪州国内の工場で生産しています。

前田園のアイスクリームはオーストラリア内のどこで買うことができますか?

すでに多くの日系、中国系スーパーや日本食レストランでメニューとして扱っていただいていますし、今後もっとお取扱いいただけるレストランや小売店さんが増えるとありがたいですね。

日本茶やもちアイスなど、その他の前田園の商品も、オーストラリアで買えるようになりますか?

日本茶商品はすでに日系や中国系のスーパーさんで取り扱いを始めていただいています。もしお店で見当たらなければ、お店の方に「前田園のお茶は? 抹茶アイスは?」と聞いてみてください。これからの新商品もぜひお楽しみに。

チアーズ読者の方々に熱いメッセージをお願いします!

アメリカでは20年支持され続けている前田園のアイスクリーム、オーストラリアでは、まだブランドとして馴染みがないかもしれませんが、ぜひ一度試してもらえたら嬉しいです。アメリカでは発売当初、売り切れ続出でお客様にご迷惑をかけてしまったので、オーストラリアでは準備万端のつもりです。でもせっかくお店にいらっしゃって、もし売切れの場合はご容赦ください。すでに良い評判をいただいています。自信をもってお届けするオーストラリア産の第一弾、抹茶・黒ごま・マンゴージェラートのトリオを、どうぞお楽しみください。

前田 拓(まえだ たく)
1956年、長崎市生まれ。慶応大学卒業、東テキサス州立大学留学。28歳の3月に脱藩した坂本龍馬にあやかり、同じく28歳の1984年3月、脱サラ・脱日本、単身渡米し、起業。全米に日本茶の販売網を確立後、89年にはLAで海外初の日本茶専門店を開店。96年には海外初の日系アイスクリーム製造会社を設立し、「質」にこだわった抹茶アイスクリームの自社製造を始める。2000年、LAに世界初の日本茶カフェ「Green Tea Terrace」をオープン。一貫して本物の品質にこだわりつつも、独創的かつ先進的なアイデアで事業展開を進め、「21世紀型グリーンティーのある生活シーンの創造」を目指す。米国在住。


 

CHEERS 2011年12月号掲載

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