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「ものづくり」のわくわく感をプラレールの大型インスタレーションで伝えるアートユニット

パラモデル

12/09/2013

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アジア・太平洋地域で注目を浴びているビジュアル・アーティストの作品を紹介する「アジア太平洋現代美術トリエンナーレ」が、来年4月14日までの予定で、ブリスベンのクイーンズランド州立美術館・現代美術館で開催されている。この展覧会は、同美術館の主催で3年に一度開催されているもので、第7回目となる今回は、急速に進む都市化と人々の移動や通商などをテーマに、27カ国から、ベテラン、新人も合わせて75人/組が招かれた。日本からは、岩崎貴宏氏、柏木知子氏、高嶺格氏、林泰彦氏と中野祐介氏の2人からなるアート・ユニットのパラモデルが参加している。このうち、プラレールや塩ビ管を展示室内中に張り巡らしたインスタレーション制作で知られるパラモデルの林泰彦氏に、会期前の準備期間中にお話をうかがった。

 

 

パラモデルの作品について、どんな作品を作っているのかを教えてください。

 

一言でいうと、現代美術の作品を作っています。絵画も手がければ、彫刻作品も作りますし、インスタレーションもあります。パラモデルの作品として一番知られているのは、おもちゃや日用品を使ったインスタレーションだと思います。※インスタレーションとは、室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、場所や空間全体を作品として体験させる芸術

 

 

 

APT7に展示中のプラレールを使った作品  写真提供:John Pryke

 

 

今回のAPT7では、何を展示されますか?

 

今回は、プラレールを使った作品と、オーストラリアの塩ビ管を使った作品を中心に、平面作品や、小さいオブジェとかいろいろあって、盛りだくさんの展示になります。

※アジア太平洋現代美術トリエンナーレ(The 7th Asia Pacific Triennial of Contemporary ArtAPT7)

 

 

パラモデルについて教えてください。

 

メンバーは、僕と中野の2人です。中野は、もともと同じ大学にいました。僕の卒業制作で参加型の映像インスタレーションを製作することになり、何か一緒にやってみようかという軽いのりで、その卒業制作に参加した4人の中に中野がいました。パラモデルというユニットとして2人で活動を始めたのは、2001年です。

ユニットではありますが、別々に制作することもあり、そういったことも含めて活動形態にしては、あまりきっちり限定しないで制作しています。素材も、今使っている材料が手に入らなくなれば、また別のもので対応していくでしょうし、今は、プラレールの印象が強いですが、いずれ変わっていく可能性もあると思います。

 

 

プラレールを使い始めたきっかけを教えてください。

 

おもちゃが単純に好きで、ミニカーなどを素材に使い始めたのがきっかけです。卒業制作で映像作品を作ったんですが、その中で飛行機とか小さな車とかを使ったんですね。制作中に、子供の頃のおもちゃ、おもちゃで遊んだ頃の体験が元になっているなあと気づいて、それでは一度、もっと直接的におもちゃを使って作品を作ってみようと思ったのがきっかけです。

映像作品の制作にはすごい時間がかかるんです。1作仕上げるのに、1年、2年ぐらいかかります。とても長い映像を制作しているときに、頭の中で物事がどんどん動いて、もうちょっと別のこういう作品を作りたい、もっと直接おもちゃを作品にしてしまいたい、と別のアイデアが浮かんだのがきっかけになりました。

 

 

 

塩ビ管を部屋中に張り巡らした作品。


子供時代の遊びが原点になっているということでしょうか?

 

子供の頃はよく、おもちゃで遊んだり、牛乳パックを使って工作をしたりしていました。うちは東大阪というところにある町工場ですが、工場にあった廃材とおもちゃを組み合わせて遊ぶのが好きでした。工場はものを生み出すところですから、僕は赤ちゃんの頃からそういうところにいて、ものが生み出される過程を見たり、木を実際に切ったりしてプラモデルを置くための情景とかを作ったりしていました。それで、自分がなぜ作品制作をするかと考えたときに、プラモデルを作っていたことやおもちゃで遊んでいたことに、ぴったりはまったというのがあります。

 

 

どんなことをテーマに作品制作をされていますか?

 

僕らのテーマは「ものづくりそのもの」ですね。それで何か抽象的な概念を表現する、というのではなくて、ずーっと継続して作り続けるとか、仮設性、ということ自体がテーマになっています。作って遊んでいるときに無意識に浮かんできたデザインが絵画に見える、遊びやDIYや工作のうきうき感を伝える、というのが僕らの作品なんです。

 

 

素材について教えてください。

 

僕らは素材として、絵の具などではなくて、おもちゃを利用します。造形のために、別の用途のものを持ってきて、それを造形に利用したり。塩ビパイプなどがそうですね。僕はホームセンターとかがすごく好きなんですけれど、おもちゃ屋さんとホームセンターは、すごく創作意欲がわくんですよ。この2つは同じ特性を持っているんじゃないかと思います。ホームセンターには、素材と道具がたくさん置いてありますが、完成品はなく、物が並んでいるのを見ると、うきうきして組み合わせて何かを作りたくなるんですね。おもちゃ屋さんでも、完成したおもちゃも売っていますけれども、プラモデルなんかは未完成品ですよね。

プラモデルを見たら作りたくなるとか、ホームセンターに行って見ているとわくわくしてくる、僕はそのわくわく感が重要だと思います。作り終わってしまったらどうでもいい。だから、僕らは、あとに物を残さない。できたらあとはさっと分解してしまう。祭りみたいですね。祭りの高揚感と、工作の高揚感は同じだと思います。

それから、素材については、プラスチック製品であることを前面に押し出しています。僕らが子供の頃のおもちゃというと、プラスチック製でしたし、日本ではおもちゃ=プラスチックというイメージがあるんじゃないかと思うんですよね。そういうわけで、プラスチック世代だというのを、はっきりと主張しています。




 

左:APT7に参加の各国の作家の作品。右:ミニカーを使った作品も。


日本国内ではもちろんのこと、海外でも展示されています  が、海外での展示について教えてください。

 

シンガポールやシドニー、インドネシア、中国、韓国、アメリカ、リトアニアにも行きましたね。国によって受け取られ方は、同じ部分もあるし、違う点もあります。

共通なのは、「わー、プラレールがこんなにあってすごい」とか、「こんなので絵が描けるのね」とか、「私もつなげたい。やってみたい」という直接的な感想ですね。あと、もう少し専門的な感想というと、「アメリカの抽象表現主義みたいだ」、というようなことをいう人もいますし、「システマチックな絵画だ」という人もいます。

違う点は、海外でも、プラレールは知られていても、プラレールの価値が国によって全然違うということですね。

ベトナムなどは値段が高いので、知っているけれど遊んだことはないという人もいます。実際遊んでいるところを見ても、遊び方が違います。そういう意味では、僕らの作品は、日本人が見たときとベトナム人が見たときとではだいぶ受け取り方が違ってくると思うんですよね。

 

 

観客参加型の作品も多く発表されていますが…。

 

今回の展示にも、訪れた人たちが参加して、レールを組めるようにしてあります。床面は僕たちが埋めずに、来場者がレールをつなげて埋めるという風にして、参加できるようにしてあります。そして、それが定点撮影されてアニメーションになるという仕掛けもあります。

 

 

来年以降の活動について教えてください。

 

来年2月に東京銀座のメゾン・エルメスで個展をします。それから再来年にアメリカで展覧会があります。まだ決まっていませんが、ほかにもいろいろお誘いはいただいています。

 

 

 

パラモデルの林泰彦氏 


パラモデル:プロフィール


林泰彦(1971年、東大阪出身。2001年、京都市立芸術大学美術学部構想設計卒業)と中野裕介 (1976年、東大阪出身。2002年京都市立芸術大学大学院絵画専攻日本画修了)の2人からなるアート・ユニット。ユニットの名前は、得意領域や趣向が異なる=パラレル (parallel)であるということなどからついた。2001年より活動開始。日本を始め、世界各国で作品を発表している。

 

◯アジア太平洋現代美術トリエンナーレ(The 7th Asia Pacific Triennial of Contemporary Art APT7)

ブリスベンのクイーンズランド美術館・現代美術館(Queensland Art Gallery, Gallery of Modern Art , South Bank, Brisbane) 2013414日(日)までの毎日開催中。クリスマス(1225日)とグッド・フライデー(2013年は329)は休館。

入場無料

お問い合わせ先:同美術館 (07)3840-7303

web : www.qagoma.qld.gov.au

 

 

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