23/09/2013
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クリスマスホリデーはいかがお過ごしでしたか?
クリスマス当日の朝にこっちに着いて。休みは普通の公園で家族とごろごろのんびりしてました。(オーストラリアに)突然、行きたいと思って、一番安い切符で来て…(笑)。
もともと、モデルのお仕事を始めた経緯というのは?
シドニー大学に通っている間に、交換留学で海外に出られるチャンスがあって。それで東京に行って、ハチ公前でスタイリストのアシスタントにスカウトされたんです。その仕事で一緒になった女の子たちが、いま僕が入っている事務所の子たちで、それがきっかけで今の事務所に入りました。
当時から、ファッションには興味があったのでしょうか?
ファッションっていうのは、ただ外から着るものなんだけど、それで中身を変える力があるのが、すごく魅力的だなと。
今は東京、パリ、シドニー、ニューヨーク、ミラノなど世界各地を舞台に活躍されていますが、具体的には各都市でどんなお仕事をしているのでしょうか?
年に2回、それぞれの街にコレクションがあって。その時期にランウェイ(※ファッションショーでモデルが歩く花道のこと)を歩くために行くんですけど、どの街でも「キャスティング」といって、だいたい一週間かけてオーディションがあります。デザインされた服を着て、顔と体が服に合ってるかをデザイナーに見られる、という。それで服に合っていると、モデルとして使ってくれるんです。
それぞれのコレクションで、毎回ゼロからオーディションがあるのですか?
そうですね。もちろん、一回やったらそのデザイナーさんは自分のことを知っているので、やりやすいというのはありますが、オーディションは毎回あります。
今までの経験の中で、特に印象的だったお仕事は何ですか?
パリでやった去年の春夏コレクションかな。THOM BROWNEっていうニューヨークのブランドはいつも普通のランウェイじゃなくて、こだわったショーみたいな感じでやるんです。去年のテーマは「宇宙の旅」で、会場は大学の講義室、モデルは宇宙から戻った宇宙飛行士っていう設定でした。みんな中にそれぞれのスーツを着てるんですけど、外には真っ白な宇宙服を着て、丸いヘルメットもかぶって。44人の大人数が一斉にその格好で出て来て、一周したらプレスの前に並んで立って、同じタイミングで振り向いて。その後宇宙服をひとり一人脱ぎ、中のスーツが現れるという。本当は宇宙にある石とか、地球にはないものを持ち帰る予定だったんだけど、〝服を持って帰っちゃった〟というテーマで。リハーサルは4時間もかかったよ。
モデルというと一般的には華やかなイメージがあると思うのですが、そのイメージとは違う裏話などはありますか?
もちろん…(笑)。みんなそれぞれ性格は違うものだし、あと、バックステージでは結構待ち時間が多いんです。特に日本では、ショーの7時間前とか(笑)。外国人のモデルが寝坊で来ない場合もあるから、余裕を持ちたいみたいで。リハして、メイクもヘアもやって、それでも5時間くらい待ちます。その間にみんなイライラしてきたり(笑)。
モデルをやっていて楽しいと感じるときはいつですか?
例えば撮影のときに最後にいいものができる、というのは最高の気分になるんですけど。でも、撮影でもショーでも、メインは人との関係だから、その撮影現場、ロケに行った場所、全部含めて楽しい。あと撮影のときは、100フレームくらい撮ってひとつだけ最高だったらOK、という感じだけど、ショーの場合は一度きりのライブだから、その緊張感は楽しい。歩いてるだけですけどね(笑)。
ご両親にオーストラリアと日本というふたつの母国をお持ちのSenさんに双方の国のイメージを伺いたいのですが…まずオーストラリアの好きなところは?
のんびりしてて…、あと発音が好きですね、オーストラリア英語の。アメリカとイギリスとは違う。海外に行っているときにオーストラリアの発音を聞くと、すぐ仲良くなれる。それは、(オーストラリアを)離れるまでは、全然気にしなかったこと。たぶん深いところにホームシックの気分があるんだと思う。聞くと、安心する。あとはオーストラリアの自然とか。
オーストラリアの自然の中でも、特にお気に入りの場所はありますか?
(家から近い)ブロンテ・ビーチ。ブロンテからボンダイまでの散歩コースは、ずっと崖の前を通るんですけど、すごくいいです。生まれたのもこの家のすぐ近くで、この家にも2歳の頃から住んでいて、ずっとここで育ってきたので大好きな場所。
では、日本の好きなところは?
僕は東京しか知らないんだけど。東京の…エネルギー。勢い。ニューヨークもそうなんだけど、人が「何かをやるために集まる場所」というか。日本各地からすごくやる気のある人たちが集まってきて、田舎から出てきた人たちががんばっていて…僕もそうなんですけど(笑)。そのバイブレーションがすごいポジティブで。〝思いついたら何でもできる〟感じ。
(リビングに飾ってある写真を見て)素敵な写真ですね。Senさんが撮ったんですか?
Senさんのブログやホームページには美しい写真がたくさんアップされていますよね。昔から写真を撮ることが好きだったのですか?
いや、日本に行ってからですね、それが趣味になったのは。2年ちょっとくらいです。
風景や人物など被写体は幅広いですが、何か自分のテーマや、シャッターを切るときの共通点のようなものはあるのでしょうか?
いや、…パターンは作らない方がいいというか、パターンがない写真家のほうが素敵だと思う、やっぱり。自分が知ってる世界をばんばん撮るんじゃなくて、なるべくいつも「新しい写真」を撮ろうとしてる。角度とか、色使いとか。そうした方が、面白いんじゃないかなと。
ニューヨークではコレクションが2月と9月にあるんです。で、9月の頭くらいからニューヨークにいなきゃいけないと知っていて、8月10日くらいにロサンゼルスに行って、車買って、彼女とアメリカを横断したんです。
特に忘れられない場所はありますか?
横断の中では、セドナ。アリゾナ州にセドナって街があって…そこは、天国でした。(写真を見せながら)これは自然の川なんですよ。岩が削られて。地元の人しかいなくて、みんな自由に泳いでる。僕も泳いだよ。
今後、旅してみたい場所はありますか?
16歳のとき、高校の友達とインドからチベットに行ったんです。そのときに2週間くらい、カンチェンジュンガという、世界3番目の山の近くを歩いて。「朝5時くらいに起きると、雲がなくてエベレストが見えますよ」とガイドさんに言われ、ある日、朝5時に起きたんです。僕は昔から、日本に旅行しに行くとおじいちゃんとよく山登りに行っていて、その思い出の中では、だいたいこういう角度なんですよ、山って(手で目線の角度を示しながら)。でもそのときは、エベレストから30キロくらい離れてたけど、角度がこう、違ってた(ぐっと急な傾斜を手で示しながら)。それを見て、〝やばい!〟と思った(笑)。調べたらエベレストのベースキャンプから1時間のトレッキングコースがあって、案内してくれる人もいる。それはいつかやってみたい。
読者にはSenさんと同世代の20代の方も多く、悩んだり、自分探しをしている人も多いと思いますが、すでに世界を舞台に活躍しているSenさんからアドバイスを頂けますか?
僕も十分悩んでますよ(笑)。…悩みは、だれでもするし、悩むってことは大事だと思う。だから、自分が悩んでるってことに焦らないで、楽しめばいいと思うんですよね。自分が悩んでるってことは間違ってない、みんな悩んでるんだから。ほんとに好きなもの、やってて楽しいことを探すのってすごく大変だと思う。でもそれを見つけて、やっていける状況にしたら、幸せになれると思うんだよね。よく父親に言われることなんですけど、「わくわくすることに、まっすぐに向かいなさい」と。で、それはすごく楽しいと思う。…あ、あと日本に帰るときはキューブ使ってください(笑)。
どの質問も、じっくりと自分の中で考えてから、ひとつ一つ丁寧に答えてくれたSenさん。日本語も話すが、英語の方をより得意とする彼だからこそ、発せられる言葉はゆっくりと癒されるような、独特の美しいオーラに満ちていた。世界を軽々と飛び越えながら、独自の世界観を持った彼の今後を楽しみにしたい。
1987年11月26日生まれ。シドニー出身、オーストラリアと日本のハーフ。シドニー大学在学中、20歳で東京へ交換留学、東京でスカウトされモデルの道へ。現在は東京のみならず、パリ、シドニー、ニューヨーク、ミラノなど世界各地で年2回のコレクションを背負う一流ファッションモデルとして活躍。趣味として、自身で撮影した美しい写真の数々を、以下のブログやHPで公開している。 ブログ 『Hi, I'M SEN』 : www.meetsen.blogspot.com WEB: www.thisissen.com |
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