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ストリートアートをノスタルジアで

02/05/2018

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ストリートアートを
ノスタルジアで

 

今月の舞台は、シンガポールです。

 

シンガポールの町の通りの壁に、懐かしきシンガポールを彷彿とさせるノスタルジアを描いたイプ・ユー・チョンさんの絵です。

 

本職は、会計士。会計事務所の幹部のようです。こういう絵を描くので、結構な年配かと思いきや、眼鏡をかけた好青年チョンさんは、実際は四十代なかばでしょうか。

 

何故私がそう思ったかは、「一九七九年代、八十年代の子供の頃の思い出が、絵筆を動かしました」と宣(のたま)ったからです。彼は、二〇一四年にリトアニアの画家エルネスト・ザチャレヴィッチにひかれて描きはじめました。毎週の休日を利用してひとつの作品を一日から二十日かけて仕上げます。題材は、かつて自分がみたライオン・シティ、シンガポールの次世代に残したい人の暮らしぶりです。

 

この写真は、エヴァートン・ロードに描かれたもの。まさしく、かつてのシンガポールの中華街の裏通りで見られた露店の床屋さんです。ベトナムの首都ハノイでもまだ見られます。私も、ハノイ在勤中に何回も利用しました。ちょっと気温が下がり始める季節になると、外での理髪は気分爽快ですが、落雷のシーズンはちょっと怖いです。

 

あるときに、行きつけの青空床屋に行きましたが、いつものおじさんはいませんでした。そばの物売りのおばさんに聞いたところ、「この間、車が突っ込んできて、おじさん、入院しちゃった」と。

 

エヴァートン・ロードには、もうひとつ、彼の絵があります。ご婦人が、タライと洗濯板を使って洗いものをし、シーツとブラウスが干してある光景の絵です。その人は、金持ちのヨーロッパ人の家に住みこんでいたメイドだそうです。「人々がドアを開けて覗き込むたびに、怒鳴るので、それが面白くて…」と、消えない記憶を話してくれました。

 

エヴァートン・ロードは、とても静かなところです。チャイナタウンに近いエリアにある、瀟洒なプラナカン建築が並ぶ通り。中国系移民と地元マレー人の混合文化であるプラカナン文化の下で作られていったのが、プラカナン建築です。

 

窓を彩る繊細な透かし彫りや蔓草(つるくさ)模様の柱頭に目は釘付けになります。一階部分を店舗、二階部分を住居にする間口の狭い建築物は、もともと中国南部のもの。プラナカンたちはそこに西洋建築の要素を取り入れ、装飾に富んだ華麗な住まいを作り上げています。

 

プラカナン建築で特徴的なのが、パステルカラーが華やかなショップハウスです。この色とりどりの色彩が現代の日本女子にも受け、「カワイイ!」と。ちょっとした庶民の遺産の中に、このストリート・アートは描かれています。

 

 

 



北村 元(きたむら はじめ)
大阪市生まれ。日本大学卒業後、アナウンサーとしてテレビ朝日入社。BBC放送出向。エープリルフール放送では、BBC放送史に残るストーリーを創作。バンコク、ハノイ、シドニーの各支局長を経て、テレビ朝日退職。退職後、西シドニー大学名誉客員研究員。ベトナム戦争の枯れ葉剤被害の取材を続け、『アメリカの化学戦争犯罪』(梨の木舎刊)を出版。枯れ葉剤被害者の支援活動は28年を越える。2017年8月の支援で、学生とともに、96歳の元抗仏戦争兵士におにぎりを作る。「希望の光が見えるまで歩みつづけたい」と、心のエンジンをふかす。筆者のベトナムブログhttp://ainovietnam.jugem.jp/

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