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「ピサの斜塔」 傾き改善

08/01/2019

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「ピサの斜塔」傾き改善

世界遺産が一番多い国「イタリア」。そのトスカーナ州の観光名所、世界遺産のピサの斜塔に、最近朗報があった。倒壊防止のため、一九九〇年から改修工事をした結果、この十七年で垂直方向に四センチ改善したと、十一月下旬に発表された。専門家は「これであと二〇〇年は大丈夫」だと、安堵している。
一一七三年に建造開始した高さ約五十六メートルの塔。元々の計画では、ピサ大聖堂の象徴にと、現在より遥かに高い塔が予定されていた。ところが、着工直後から地盤の問題で傾きが生じた。そもそも、斜塔の傾きの原因は、地盤の調査ミスだった。ピサの斜塔は、近くにあるアルノ川が運んできた土砂の上に建てられている。地盤がもとから弱かったのだ。傾斜が発生した為、現在の高さで断念した。
一九九〇年に修復作業が始まると、危険だと閉鎖された。二〇〇一年、斜塔は再び観光客に門戸を開いた。しかし、鐘楼に登るのに条件が増えた。倒壊防止のため四十人限りとし、さらに予約が必要。カメラ以外の手荷物もロッカーへ。
私が初めてピサの斜塔を見学したのは、今から四十年ほど前。学校の歴史の時間で習った現場を訪れた時の感動は今でも残っている。大理石でできている階段は滑りやすかった。いや、「塔が倒れたら、連れてきた家内や娘はどうなるのか」という恐怖を経験した記憶も、未だに新鮮だ。
ここは、ガリレオの生誕の地でもある。
ピサ生まれのガリレオ・ガリレイは、ピサの斜塔から大小二つの鉛の玉を同時に落とし、「重力による物体の落下速度は、その物体の質量の大きさによらない」ということを証明したと言われている。真偽のほどは分からない。弟子の創作という見方も強い。
その理論を、きちんと可視化した現代人がいる。
一九七一年七月三〇日アポロ十五号で乗って月面に降り立ったデビッド・スコット船長らが、同年八月三日に、真空落下実験を行った。スコット船長が右手にハンマー、左手に羽毛を持ち、同時に手を離すと、ハンマーと羽毛がゆっくりと落下して月面に同時に着地。この現代の実験は、NASAのアーカイブで見られる。
一九九二年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は地動説に関するガリレオへの異端審問の誤りを認め、斜塔の頂上で、カトリックの非科学的だった部分を認めガリレオに謝罪した。
その最上階は、斜塔なのに傾いていない不思議な作り。元は傾斜の角度は五・五度あったが、一九九〇年から二〇〇一年までの改修工事で三・九九度まで改善された。この鐘楼が垂直になることはあるのだろうか。
体曲れば影ななめなり…とは東洋の至言。斜めになりながら倒れない斜塔から、元気をもらう。

北村 元(きたむら はじめ)
大阪市生まれ。日本大学卒業後、アナウンサーとしてテレビ朝日入社。BBC放送出向。エープリルフール放送では、BBC放送史に残る番組を制作。バンコク、ハノイ、シドニーの各支局長を経て、テレビ朝日退職後、西シドニー大学名誉客員研究員。ベトナム戦争の枯れ葉剤被害の取材を続け、「アメリカの化学戦争犯罪」(梨の木舎刊)を出版。枯れ葉剤被害者の支援活動は29年目。今年は、ベトナム北部の貧困地域の小学校で、30人に奨学金を贈り、最上級生の5年生100人が一人一体の恐竜の模型作りに挑む。その後、5地域で枯れ葉剤被害者支援を展開する。
筆者のベトナムブログhttp://ainovietnam.jugem.jp/

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