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04/10/2019

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「フランス革命に次ぐ衝撃」
ノートルダム大聖堂の火事があぶり出したもの

 

ありし日のノートルダム大聖堂の写真だ。火災は今年四月十五日夕方に出火。瞬く間に大聖堂の屋根に燃え広がり、ステンドグラスや木造の内装が焼失した。屋根や尖塔の崩落で、大聖堂の二つのベルタワーも火災で破壊かとの不安が広がった。火は塔にも燃え移っていたが、塔全体に燃え広がる前に火を消し止めた。建物の主要部分が焼失を免れたのは最初の三十分の初動消火活動が功を奏したからだ。
約八百五十年間、パリの中心に立つノートルダム大聖堂は、王族の結婚式、ナポレオンの皇帝戴冠式、第二次大戦でナチス占領からの解放勝利で、聖歌の演奏など、フランス国民にとって「歴史の記憶」そのものであった。そして文豪のヴィクトル・ユゴーの小説の舞台となり、文学と歴史の象徴としても、フランスの中心であり続けてきた。故に「フランス革命以来の衝撃」という気持ちはよくわかる。
火災は、フランス最大で、最長の「黄色いベスト」運動で荒れた、フランス社会分断の中で起きた。鎮火後、「五年以内に再建する。この大惨事を、皆がまとまる機会に変えたい」と宣言したマクロン仏大統領。就任当初の力と人気を取り戻せるのか。
すでに再建への動きが始まっているが、寄付金は、フランス国内の著名な実業家や一般市民から総額約八億五千万ユーロ(約千三十億円)の申し出があったが、これまでの実際の寄付金額は約十パーセントにとどまっている。
公共ラジオ局フランス・アンフォによると、寄付されたのはたったの八千万万ユーロ(約九十七億円)で、募金活動が成功したとみて、申し出た寄付金の一部のみを支払った実業家や、寄付の約束を撤回した個人もいるという。
「黄色いベスト運動」のリーダーのひとりは「正気とは思えない大金をノートルダムのために一夜で動員できるというのに、社会的困窮を前にしたときの大企業の怠慢」への不満を訴えた。
小説家のオリビエ・プリオル氏はジョークを交え、「ビクトル・ユゴーは『パリのノートルダム』を救う用意のある気前の良い献金者全てに感謝しており、彼らが『レ・ミゼラブル(悲惨な人々)』に対しても同じことをするよう提案している」とツイートで、十九世紀の作家ユゴーの二大小説を引き合いに出して皮肉った。
十二世紀、大聖堂の建設作業員たちは、不平等や光明のない貧困社会の中で、壮大な建設目標に立ち向かい、美しいゴシック建築を現代のパリ市民に残した。現代では、社会の目標や夢を創りだし、国の安寧につなげるのが、真の政治であり、真の宗教である。
六月中旬に行われた火災後初のミサでは、全員がヘルメットを被って祈りを捧げた。彼らは、何を強く神に祈ったのだろうか?
 

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