23/09/2013
第7回 |
熱いシーズンを走り抜き、新たな目標へ
オーストラリアのサッカーファンを、そしてオーストラリアの日本人コミュニティを大いに盛り上げてくれたサッカーAリーグの幕が降りた。クラブ結成からわずか1年でリーグ1位となるプレミアを獲得したウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC(以下WSW)は、2位のセントラルコースト・マリナーズと対戦し、惜しくも0-2で破れ、豪制覇とはならなかった。しかし、ワンダラーズは今季あらゆる記録を更新し、世界中のサッカーファンを魅了。今月は元日本代表、小野伸二選手の活躍を中心に、今季のエキサイトな試合を振り返ってほしい。
祝! レギュラーシーズン優勝!
ファイナルシリーズ準優勝!
デビューシーズンで優勝を狙う、ワンダラーズと、4年目の決勝出場で初の優勝を狙うマリナーズの対戦には、4万2102人が駆けつけた。Aリーグ史上かつて見たことのない熱気にスタジアムが包まれ、両チームとも緊張が高まるなかホイッスルが響く。8分、マリナーズのFWステリョフスキーが、右サイドからのカウンターに走り込む。判定はオンサイド。ステリョフスキーはGKコビッチの頭上にボールを上げ、惜しくもクロスバーをかする。なかなかペースが掴めないWSWは18分、カウンターからのチャンスを迎える。MF小野が、フリーであったFWブリッジに絶妙なロングパスを送り、ブリッジがパーフェクトクロスで、ゴール前のFWクレシンガーに送る。しかし、わずかなタイミングミスで、ヘディングシュートはゴールにならない。前半終了間際の43分、Jリーグでの経験もある、オランダ出身のDFズワンズワイクが、MFマグリンチーからのセンタリングをヘディングでネットにねじ込み、先制点をあげる。38歳のズワンズワイクは、Aリーグのグランドファイナルでの最年長ゴールスコアラーとなった。44分、マリナーズのディフェンダーがPA内でハンドをするが、判定されず、ポポビッチ監督の抗議もむなしく、前半は0-1で折り返す。WSWは前半に続き、後半もマリナーズのディフェンスに封じ込められ、チームの司令塔である小野にボールがなかなか渡らない。58分、小野がゴール左前でボレーシュートをするも、ディフェンダーにクリアされる。67分、PA内の混戦で、DFポレンツがハンドをしてしまい、PKを与えてしまう。会場が緊迫するなか、今季のゴールデンブーツ受賞者のFWマクブリーンが冷静に決め、だめ押しの2点目をあげ試合はそのまま終了、WSWのレギュラー・シーズン、ファイナル・シリーズ制覇は次回に持ち越された。試合後の会見で小野は「もっと自分にできることはあった。チームが劣勢のときにどうやって立て直していくか考えないといけないと感じた。今日は負けてすごく悔しいけど、来年につながる戦いになった」とポジティブなコメントを残した。自身の掲げる課題である2年目でWSWが結果を出すことを大いに期待したい。
Aリーグオールスターズ 小野伸二選手、 ファン投票で堂々の1位 7月20日開催予定のAリーグオールスター対マンチェスター・ユナイテッド戦。チームセレクションの5割を占めるファン投票が、4月末締めきれられ、トップ35の選手たちが発表された。WSWの小野選手はMFポジションで見事トップを飾り、同じくWSWのトーポースタンリー選手もDFのトップに選ばれた。FWのトップはもちろん、シドニーFCのデルピエロ選手。小野選手とデルピエロ選手のタッグが見られるという、サッカーファンには待ち遠しい結果となった。
アンテ・コビッチ GK 決定的瞬間で見事なセーブを繰り返し、ワンダラーズのサクセスストーリーの鍵を握ったコビッチ。「ゴールキーパー・オブ・ザ・イヤー」は実にふさわしい。来期もすでに契約を延長済み。
トニー・ポポビッチ監督 最年少でルーキーのポポビッチ監督が「コーチ・オブ・ザ・イヤー」を獲得。1年にも満たないチームをリーグ1位に導いた彼の評価は高く、すでに将来のサッカールーズの監督と期待されている。
ニコライ・トーポースタンリー DF ディフェンスの中心となり、チームを支えたトーポースタンリー選手は、NRMAのプレイヤー・オブ・ザ・マッチを受賞。 |
ウエスタンシドニー・ワンダラーズで2年間活躍し、レジェンドの名を残して、オーストラリアを去った小野伸二選手が、次のステージに選んだ札幌の地に足を踏み入れた。
14日のサンフレッチェ戦を見事勝利で飾り、オーストラリアでは初の快挙となるACL準々決勝へと駒を進めたWSW。最高のプレゼントをチームに残して日本帰国をすることとなった小野は、6月半ばから新天地コンサドーレ札幌に合流する。小野のラストゲームを御覧ください。
AFCチャンピオンズリーグと平行して過酷なスケジュールをこなしてきたリーグ戦終盤ではあったが、蓋を開けてみれば2位通過でファイナルシリーズに駒を進めることができたWSW。しかしファイナルシリーズを迎える前に4月15日のAFCアウェイ戦、22日のAFCホーム戦の試合が残っているため余談を許さない状況が続く。そしてAFCホーム戦の3日後から、いよいよファイナルシリーズへと突入。小野のプレーをオーストラリアで見ることができるのも、残すところAFCを含めてあと3試合のみとなった。小野が移籍した昨シーズンは、リーグ
AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)が開幕し、未経験の過密スケジュールで乱調気味と言わざるを得なかったWSW。3試合連続での黒星から迎えた、3月12日のACL、貴州人和(中国)とのアウェイ戦を何とか勝利で収めることができ、復活の兆しを見せつつある。今後、小野のプレーを見ることができるのは、3月14日時点でリーグでは24節を含め、残り4試合のみ。このまま2位をキープしてファイナルシリーズに突入することに期待したい。
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