07/11/2013
10月11日のAリーグ開幕戦、アレッサンドロ・デルピエロのオープニングゴールで華やかにスタートした2013/2014シーズン。その翌日、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC(以下WSW)もゴスフォードにて、新しいチームメンバーと共に初戦を迎えた。相手は昨年チャンピオンを争った宿敵であり、小野選手が来豪してAリーグで初の試合出場を果たしたさいの対戦相手、セントラルコースト・マリナーズだった。あれから早一年が経ち、日本が誇るスーパースターは今、昨年の功績から、Aリーグを引っ張る最重要人物のひとりとして注目を浴びている。弊紙は今年も小野選手率いるWSWのさらなる躍進に迫る。
プレシーズンマッチとは思えない熱狂的な応援の中で繰り広げられた試合。ひと際目立ったのは、ケガのため昨シーズンの大半をサイドラインで過ごしたFWミナコンが、相手チームのミスを誘おうと、積極的にプレッシャーをかける。その祈りが通じてか、7分、相手チームのDFブーガーがオウンゴール。アデレードは素早く反撃するも、MFムーイー、FWユーリック、ミナコンの連携プレイにより、相手キーパーは幾度も危ない場面をセーブする。47分、アデレードのFWチリオがGKコビッチのブロックをわずかに避けるキックで得点をあげる。後半はおなじみのMF小野、MFヘルシー、FWブリッジのトリオが美しい連携プレイでボールをネットへと近づけるも、得点になかなか繋がらず、試合はこのまま同点で終了する。
昨シーズン3位に終わったビクトリーとの練習試合は、Aリーグクラブのないタスマニアで開催された。試合はビクトリーのキックオフでスタート。FWトムソンが戸惑うことなく、いきなりゴール前へとスルーパスを送る。GKコビッチがボールを一度はじくも、これをメルボルンのFWペインが拾い、右サイドにいたMFニコラスへと送り、ホイッスルからわずか20秒で先制点をあげる。試合はその後互角なレベルで進むが、27分、またもペインからの絶妙なアシストでFWバーバロシスが得点をあげる。アタッキング・ミッドフィルダー、MFムーイーを投入したWSWは中盤を支配し、得点も時間の問題と思われた。しかし、GKコビッチのまさかのミスで、オーンゴールを与えてしまう。最後まで諦めることなく戦ったWSWだが、試合は0−3で、黒星となった。
プレミアリーグ所属のバンクスタンシティ・ライオンズとの試合では、序盤からWSWがボールを支配。右サイドからグイグイと上がって来るFWミナコンと、それを絶妙なタイミングで合わせるFWサンタラブの連携プレイが目立つ。キーパーに弾かれたり、止められたり、惜しくも外れたりと、なかなか得点に繋がらないなか、先制点をあげたのはMFムーイー。左足で一度フェイントをかけた後、ゴールまで約18メートルの位置からロングシュート。41分での待望の1点目となった。後半は、先ごろWSWと契約を交わしたばかりのオーストラリア代表、DFスピラノビッチを含む11人の選手が交代される。FWユーリックが積極的にボールを運ぶシーンが続くなか、87分、DFへフナンからのクロスをユーリックが合わせ、2点目。今季より参入した選手たちの活躍が目立った試合であった。
2シーズンを迎えた今の心境をお聞かせください。
新しい1年がスタートしたということで、昨年のことは忘れ、初心に帰って新しい気持ちで臨んでいます。
小野選手がAリーグに参戦して最初に戦ったチームがセントラルコーストマリナーズで、昨シーズンのファイナルでも優勝を争ったチームとの再戦となりました。結果は1-1の引き分けでしたが、手応えはいかがでしたが?
後半の途中からの出場でしたが、外から見ていてこの状況をどう改善したらいいのかということは見えていたので、ゴール前にボールを集めるように意識してプレーしました。1点ビハインドの状況から流れを変えて、何とか引き分けに持ち込んだことで、結果的に次につながるいいゲームになったと思います。
チームとしての仕上がり具合はどうですか?
プレーオフの3ヵ月間、チームの皆でプレーする時間が多かったので、仕上がりはいいと思います。今はまだ固定のメンバーではなく、すべての選手を試合に起用している段階ですが、徐々に固定のメンバーが決まってくると思います。
試合中、ヒールパスなど特にトリッキーなプレイが多かった印象を受けました。小野選手自身のコンディションはどうでしたか?
怪我もなく、コンディションはとてもいいですね。ちょっと花粉症が…。
ブレンダンやユーリッチなど新しいメンバーが入りましたが、すぐにチームになじんだ印象を受けました。彼らとのプレーの感触はどうですか?
彼らはプレーも人間性もすばらしく、コミュニケーションもうまくできていると思います。これから一緒にプレーしていくのが楽しみですね。
WSWのメンバー会員が1万6000人を上回り、現在リーグ内でトップ、それに伴ってスタジアムのアプグレードも決まっています。次はホームでの初戦を迎えますが、訪れるファンにコメントをお願いします。
サポーターのみなさんが応援してくれることが一番うれしく感じることです。たくさん来てくれれば会場の雰囲気もよくなって、「もっといいサッカーを見せ続けていきたい」と選手のモチベーションが上がります。今シーズンもよろしくお願いいたします。
昨シーズンはアル・アラビ・ドーハでプレイした193センチの長身マシュー・スピラノビッチは、2010年から2年間、Jリーグ浦和レッドダイヤモンズでも経験を積んでおり、アジアでの経験が抱負なスピラノビッチの存在は、今季アジアチャンピオンズリーグに挑むWSWにとっては大きい。
アル・アラビ・ドーハとの契約が切れたあと、ヨーロッパを目標にしていたスピラノビッチは、マッチフィットネスを保つため、元サッカールーズ監督オジェック(10月12日解雇)の推薦で、WSWとともに2週間のトレーニングを行う。58の国際試合に出場した経歴を持つ、元サッカールーズDFポポビッチ監督のもとでのトレーニングは、これまで海外を拠点にプレーしていきたスピラノビッチにとって刺激的だったといい、ヨーロッパよりも、Aリーグでの活躍を視野に入れるようになったという。そんな中でオファーされたWSWの1年契約に飛びついたスピラノビッチ。「ワンダラーズの素晴らしい評判は以前から耳にしています。熱狂サポーターの前でプレーできるのを心から楽しみにしています。結成されてわずか1年のクラブでありながら、1万6000人のサポーターがいるということは、このチームがそれだけ特別であるという証でしょう」。
“ディフェンスが最も上手いチーム”として注目されたWSWに、新たな主力選手が加わった。
Aリーグ開幕まで4日となった10月8日、シドニーのアリアンツスタジアムでローンチイベントが開催された。イベントにはブリスベン・ロアー、セントラルコースト・マリナーズ、ニューキャッスル・ジェッツ、シドニーFC、ウェリングトン・フィニックス、ウェスタンシドニー・ワンダラーズの6チームから、コーチ及び選手が集まった。注目の的はもちろん、昨シーズンのリーグを大いに盛り上げ、今季も契約を延長した、マーキープレイヤー、小野伸二、アレッサンドロ・デルピエロ、エミール・へスキー。リーグトップになるも、惜しくもチャンピオンの座を獲得できなかった小野、ファイナルシリーズへと駒を進めることができなったデルピエロとへスキー。このビッグ3が昨年の悔しさをバネに、大いに活躍することが期待される。 2013/14シーズンでは、10チームが127のレギュラーシーズン試合を戦い抜き、上位6チームがサドンデスのファイナルシリーズへと進む。試合はケーブルチャンネル、FOXSPORTSにて全試合が生中継されるほか、SBS2が金曜日の試合をライブ放送する。またSBSでは毎週月曜日(20:30〜)、Aリーグのウィークリーハイライトを放送するので、こちらもお勧めだ。なお、SBSに加え、今季より、ABCラジオがメジャースポンサーとして加わったため、全127試合をABCモバイルアプリ、またはオンラインストリーミングを通してライブ視聴することが可能になる。
エミール・へスキー(左)
ニューキャッスル・ジェッツ
35歳、元イングランド代表。強靭な肉体ながらも空中での技が見所。昨年は不安定なプレーが指摘されたが、2年目となる今季は、チーム、そしてリーグにも馴染め、化ける可能性大。残念ながら現在は膝の負傷のため、3−4週間の戦列離脱が決まっている。
マーコス・フローレス(左から2番目)
セントラルコースト・マリナーズ
昨シーズンはメルボルン・ビクトリーで活躍し、“Aリーグ ゴール・オブ・ザ・イヤー”を含む4得点をあげる。アデレードに所属した2011年にはAリーグ最優秀プレイヤー賞受賞。現在27歳のミッドフィルダーは、“プレイメイカー”としてアーノルド監督に期待されている。
アレッサンドロ・デルピエロ(右から2番目)
シドニーFC
38歳となった今も色あせることない、元イタリア代表のスーパースター選手。今シーズンはキャプテンとしてチームを率いる。10月11日のAリーグの開幕試合では見事オープニングを飾る得点を決める。なお、今季での現役引退を示唆している。
小野伸二(右)
ウェスタンシドニー・ワンダラーズ
マーキー3人のうち、唯一チームをファイナルシリーズ、そして決勝戦へと導いた我らが日本代表。毎試合見せる彼のボールさばきは、チームメイトと監督のみならず、相手チームや監督を絶賛させるほど。「TENSAI」という言葉をオーストラリアに流通させた。
ウエスタンシドニー・ワンダラーズで2年間活躍し、レジェンドの名を残して、オーストラリアを去った小野伸二選手が、次のステージに選んだ札幌の地に足を踏み入れた。
14日のサンフレッチェ戦を見事勝利で飾り、オーストラリアでは初の快挙となるACL準々決勝へと駒を進めたWSW。最高のプレゼントをチームに残して日本帰国をすることとなった小野は、6月半ばから新天地コンサドーレ札幌に合流する。小野のラストゲームを御覧ください。
AFCチャンピオンズリーグと平行して過酷なスケジュールをこなしてきたリーグ戦終盤ではあったが、蓋を開けてみれば2位通過でファイナルシリーズに駒を進めることができたWSW。しかしファイナルシリーズを迎える前に4月15日のAFCアウェイ戦、22日のAFCホーム戦の試合が残っているため余談を許さない状況が続く。そしてAFCホーム戦の3日後から、いよいよファイナルシリーズへと突入。小野のプレーをオーストラリアで見ることができるのも、残すところAFCを含めてあと3試合のみとなった。小野が移籍した昨シーズンは、リーグ
AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)が開幕し、未経験の過密スケジュールで乱調気味と言わざるを得なかったWSW。3試合連続での黒星から迎えた、3月12日のACL、貴州人和(中国)とのアウェイ戦を何とか勝利で収めることができ、復活の兆しを見せつつある。今後、小野のプレーを見ることができるのは、3月14日時点でリーグでは24節を含め、残り4試合のみ。このまま2位をキープしてファイナルシリーズに突入することに期待したい。
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