27/01/2014
まず、年末からオーストラリアや日本のメディアを騒がしている小野選手の移籍について触れないわけにはいかないだろう。Aリーグの移籍期間である1月中に小野選手を獲得しようと、J1やJ2の複数のチームからオファーが、小野個人やWSWに殺到した。有能な選手には常に移籍問題がついて回るのはこの世界では常識で、オファーの数と自身の価値が比例することは言うまでもない。昨年、新設のチームをレギュラーシーズン優勝へ、ファイナルシリーズを準優勝へと導いた功績を見れば、当然の結果だろう。そんな中、「J1を含め数チームからオファーが届いているなかで、うちを選んでくれたことが大きい」と話すのは、元旦のウェリントン戦に、WSWの視察兼交渉でオーストラリアに訪れた、移籍有力候補のJ2コンサドーレ札幌の野々村社長だ。経営やメディア戦略で切れモノと称されることもある野々村社長は、今回の訪問で手ごたえを感じているようだ。また、1月11日の試合後の取材にて、小野選手自身に移籍について伺ったが、現在交渉段階でまだ話せることはないとのコメント。「WSWの選手として、チームの一員として、チームのために全力を尽くすことだけを考えています。自分の与えられたポジションに集中して、毎試合毎試合WSWのためにがんばりたいです」と契約満了の5月までの今シーズンはWSWでプレーすることが濃厚だ。早くても日本での合流はそれ以降の6月、試合デビュー戦は7月までずれ込むことが予想される。WSWとしても、チームの要として、また2月25日から始まるACL攻略に対しても小野選手は不可欠だろう。日本最高峰の技術を生で見られるのも、今シーズンのみとなる可能性が高い。ぜひ残された試合に足を運んで、その技術と第一線で活躍する日本人の姿を見てほしい。
日本人の移籍といえば、11節でハムストリングに深刻なケガを負ったパース・グローリーの永井龍選手も、2年間の海外生活を終え、J1セレッソ大阪への移籍が決まった。「リョウはクラブにとって素晴らしい選手で、彼が持つアタッキングのセンスはファンにとても人気でした」とクラブのジェイソン・ブルーアー会長も語っているように、ファンや関係者に惜しまれながらの移籍となった。ケガさえなければと思いたいところだが、新天地での活躍を切に願う。また弊紙村ニュース欄(ページ6)でも触れたが、昨シーズンまでNSWプレミアリーグで活躍していた宮澤龍二選手が、セントラルコースト・マリナーズのトレーニングに現在参加している。本来の実力をアピールできれば契約の可能性も濃いと関係者は言う。また、小野伸二選手と同郷でよきライバルの高原直泰(東京ヴェルディ)の獲得や、やや可能性は薄いが中村俊輔(横浜F・マリノス)の短期レンタル移籍に動いているチームもあるとの情報も入り、徐々にオーストラリアサッカーの認知も高まってきたように感じる。それは小野選手や永井選手のようなプレーヤーがこの地で活躍し、日本のメディアに露出する機会を作った功績の結果に他ならない。
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WSW VS CCM セントラルコーストマリナーズ 2-0 |
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WSW VS MVC メルボルン・ビクトリー 1-1 |
MF小野の移籍話が浮上するなか、12節のアウェイ戦は小野温存で試合に臨む。過去のステージでも、アウェイ戦では温存、もしくは短時間のみの使用というのがパターンとなってきているが、10日間で3試合をこなすWSWにとってのキーマン温存は当然の決断だろう。そのほかFWユーリック、FWブリッジ、MFムーイも温存、MFヘルシがかろうじてサブに入るという、相手チームにとってもサプライズのライナップだ。アピールする絶好のチャンスに活躍をみせたのがFWハリティ。20分にゴールキックからのボールがそのままワントップのハリティまで届くと、ディフェンダーを背負う形からすかさずターンで交わす。フェイントで隙を作ってシュートしたボールは惜しくもディフェンダーに阻まれた。全体的にこの日のWSWはパスミスや意思の疎通が悪く、組み立てができない印象を受けるが、後半59分、ヘルシが登場すると、いい流れが生まれ始める。71分、相手ボールをインターセプトしたFWミネコンが、1分前に投入されたFWサンタラブへキレイな縦パスを送り、サンタラブがそのままドリブルでディフェンスを交わし、シュート。貴重な先制点を奪った。86分には、オーバーラップしたDFポレンツのクロスをダイビングヘッドでヘルシが合わせるが、バーのわずか上を行きゴールにはならず。このまま試合終了かと思われた後半ロスタイム。MFラロッカが、ペナルティエリアから2メートル外のやや左寄りの位置でファールを取られてしまう。ビクトリーのMFフィンクラーが放ったFKは、5枚の壁の頭上を超えてキレイな弧を描き、そのまま左上すみのゴールへと吸い込まれる。ゴールのホイッスルとともに試合は終了し、WSWは目の前で勝ちを逃した。
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WSW VS WEL ウェリングトン・フィニックス 1-3 |
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WSW VS SYD シドニーFC 1-0 |
過酷な連戦、悪夢の元旦から10日間が過ぎ、迎えた11日。試合前から、ファン同士がヒートアップしてあわや乱闘、警察が介入してなだめる様子が垣間みられるホームのパーテックスタジアム。シドニーFCとのダービー戦に訪れたサポーターは2万人を数えた。キープレイヤーであるシドニーのFWデルピエロ、そしてMF小野はもちろんスタメンで登場。練習中のケガでDFポレンツを欠き、投入されたDFアレッシはなんと16歳。「ゲームを楽しんで来い」とのポポビッチ監督の言葉通り、臆せず動けるのか。見所満載のダービー戦のホイッスルが鳴り響く。開始早々にチャンスが訪れたのはシドニーFC。スルーパスを受けたデルピエロが左から切り込み、DFスピラノビッチを交わし右足でシュート。なんとかフォローに間に合ったDFトーポースタンリーが好ブロックを見せ、ピンチを凌ぐ。36分、FWユリックからのパスを受けたFWブリッジが左トップへドリブル。DFを交わして右足で放ったシュートは惜しくも奥のバーに弾かれる。42分、相手キーパーがゴールから離れてポジションをとっていたことに気がついたMFヘルシが、ハーフウェイから超ロングシュートを放つ。惜しくもクロスバーに当たるが、さらに詰め寄ったユーリックがこぼれを左足で詰める。しかしこれもクロスバーへと当たり、あと一息のところで得点の入らないまま試合は後半へ。MFムーイや小野がシドニーのアバス(元イラク代表)やデルピエロと果敢にミドルを放つがボールはお互いに奪えず均衡が続く。試合が動いたのは終了まで4分となった86分。右トップのMFヘルシから逆サイドのFWサンタラブへ絶妙なパスが渡り、フリーでキーパーと対峙。落ち着いてキーパーの下を通すように右隅にボールを転がし、今シーズン3得点目を挙げる。1点を守り抜き試合は終了。リーグ1位のブリスベン・ロアーはこの日負け越したため、ポイント差は4ポイントに追い上げた。また、今シーズン、アシストなどゴールに絡むシーンで活躍が多かったMFラロッカが、前半に悪質なタックルを足に受け途中でピッチを降りた。彼の早い復帰が待ちどおしい。また、試合後のコメントで小野は「お互いにいいプレーができず、フラストレーションがたまる試合になってしまった。そんな中でチームが勝つことができ、お客さんを喜ばせることができてよかった」と語っている。
ウエスタンシドニー・ワンダラーズで2年間活躍し、レジェンドの名を残して、オーストラリアを去った小野伸二選手が、次のステージに選んだ札幌の地に足を踏み入れた。
14日のサンフレッチェ戦を見事勝利で飾り、オーストラリアでは初の快挙となるACL準々決勝へと駒を進めたWSW。最高のプレゼントをチームに残して日本帰国をすることとなった小野は、6月半ばから新天地コンサドーレ札幌に合流する。小野のラストゲームを御覧ください。
AFCチャンピオンズリーグと平行して過酷なスケジュールをこなしてきたリーグ戦終盤ではあったが、蓋を開けてみれば2位通過でファイナルシリーズに駒を進めることができたWSW。しかしファイナルシリーズを迎える前に4月15日のAFCアウェイ戦、22日のAFCホーム戦の試合が残っているため余談を許さない状況が続く。そしてAFCホーム戦の3日後から、いよいよファイナルシリーズへと突入。小野のプレーをオーストラリアで見ることができるのも、残すところAFCを含めてあと3試合のみとなった。小野が移籍した昨シーズンは、リーグ
AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)が開幕し、未経験の過密スケジュールで乱調気味と言わざるを得なかったWSW。3試合連続での黒星から迎えた、3月12日のACL、貴州人和(中国)とのアウェイ戦を何とか勝利で収めることができ、復活の兆しを見せつつある。今後、小野のプレーを見ることができるのは、3月14日時点でリーグでは24節を含め、残り4試合のみ。このまま2位をキープしてファイナルシリーズに突入することに期待したい。
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