17/12/2009
ヤマグチ隊長によると、シドニーにおけるタイ料理の歴史は25年ほどであるという。サリーヒルズに最初のタイレストランが開店したのを皮切りに、その後は瞬く間に大発展を遂げ、現在では"シドニーで最も多いレストラン"と言われるほどに誰からも愛され、なくてはならない存在となった。Papayaの店内は、ほの暗さの中にシックなライティングとキャンドルの光が映え、その広々とした空間にはエレガントさとオリエンタルな爽涼さが漂っている。まるで日常を遮断するようなやさしい心地良さを与えてくれるようだ。
一品目の前菜として運ばれてきたのは、TOD MON KOONG ($8.90)。タイ式の薩摩揚げ、あるいはタイ式コロッケといった佇まいのすり身の揚げものである。白身魚を揚げたものが一般的だが、この品はクン(エビ)のすり身を使用。表面はサクサクに揚げられ、ふんだんに用いられたエビの旨みを包み込んでいる。あえて粗くすられたエビの身は、それゆえにプリプリとした食感をそのままに残し、口の中で弾けるように躍る。第6の公募ワーキングホリデー隊員・タツヤさんは、「エビの身と一緒に練りこまれた香草がとてもよい風味を出し、また添いつけのプラムソースの酸味ともよく合いますね!」と若さいっぱいにコメント。暑い季節にビールとの相性最高であろうオススメ品の発見となった。
お次の前菜は品のある麗しさを見せる、MIANGKUM TUNA ($12.90)。やさしく火の通ったツナのフレーク、ココナッツの実、とびこをBetel(熱帯アジア産、コショウ科)の葉で包んでいただく。さっぱりとしたツナの風味、ココナッツのほのかな甘み、とびこのプチプチとした食感、それにクセのないBetelの葉のシャキシャキとした音が加わり、香りと食感の宝庫といえる多彩な魅力を一度に味あわせてくれる。オニオン、キュウリ、ピーナッツをレモンジュースに加えた爽やかなソースにつければ、風味は無限の広がりを見せる。食すものに笑顔を与え、メイン料理への期待を膨らませてくれる、そんな前菜の鏡のような一品だ。
SOM TUM ($20.90)は、タイ東北部イーサン地方にルーツを持つパパイヤ・サラダ。熟していない青いパパイヤの実を千切りにしたものを、香辛料、干しエビ、トマト、ピーナッツなどと和え、臼で叩いて全体に味をなじませるというタイ特有のサラダである。未熟なパパイヤの実は新鮮な香りとコリコリとした歯応えを持ち、あっさりとした風味がなんとも心地良い。また、パパイヤの滑らかな食感は、干しエビや香辛料から滲み出た良い意味でのクセを持つ旨みを口に運ぶ。サクっと揚げられたソフトシェルクラブに、イーサン地方で好んで食べられる餅米までもがともに供され、サラダと呼ぶにはあまりに満足度の高いこの品。隊長が怖いほどに目をギラつかせ、「これ、オススメ」とつぶやいたのも当然のことであった。
大きなスキャンピがすぐに目に飛びこむ印象的なビジュアルで隊員たちの心を掴んだのは、PAD CHA TALAY ($26.90)。スキャンピのほか、大振りのエビ、白身魚(リングフィッシュ)、ホタテ、イカ、ムール貝などのシーフードをたっぷりと贅沢に用いた炒め物である。ライム、レモングラス、バジル、ガーリック、チリなどを組み合わせたスパイス・ソースが、シーフード自体から溢れ出た濃厚な旨みと混ざり合い、複雑で奥深い味を創出している。なにより際立つのは、シーフードの具材ひとつ一つに見られる生き生きとした存在感だ。それをグルメ大好き女性隊員Rは、「食材への火の通し方が絶妙ですよね。決して火を入れ過ぎない。それによって風味も歯応えもきちんと残し、濃厚なソースの味に埋もれることなく素材そのものを堪能させてくれる」と説明する。「わかってはいても、それがなかなかできないんだよなぁ」と横で聞いていた隊長をも唸らせたこのシーフード・ステアフライは、満場一致でオススメの認定を受けた。
最もよく知られているタイ料理のひとつであるタイ式焼きそば、パッタイ。当店では焼いた卵の薄皮で全体を包むというモダンスタイルのパッタイ、PAD THAI HOR KA-EI ($19.90)を提供していることを知り、物は試しと早速オーダー。新鮮なエビ、やわらかいチキン、もやしなどの具とともに炒められたシコシコの麺は甘い香りを漂わせ、卵焼きはパリパリとした軽い食感とマイルドな味わいを演出している。90年代にタイ本国で始まったというこのスタイルは、"タイ式オム焼きそば"とでも呼べそうな新世代のパッタイ。洒落た佇まいながら、隊員からは「味にパンチがないなぁ」などの声も聞かれたが、新しくオリジナルな発想も積極的に取り入れる当店ならではの、スタイリッシュな創作料理だ。
2009年を締め括るのは、パイナップルを器にした華やかなレッドカレー、KAENG PHED PED TANG ($21.90)。じわっと効いてくる辛さが徐々に体に広がり、夏という季節に心地の良い汗をかかせる。具材として用いられたパイナップル、ライチ、チェリートマトのフルーティな甘みや酸味は、レッドカレー特有の辛さをやさしくほどよい刺激へと変えつつ喉をすべり落ちていく。またダックの野性的な味は、全体に奥深いコクを与え、濃厚な旨みを醸し出している。第7の公募ワーキングホリデー隊員・トモコさんは、「とにかくどのメニューにもはずれのないのが驚きです。盛り付けなども含めたプレゼンテーションの仕方もとても雰囲気があって良いですね!」と感動とともに当店の印象を語ってくれた。一方、レギュラー隊員たちはカレーを食べ終えると今度は器であるパイナップルの果肉をスプーンでかき集め始める。それを口に運ぶと、「うん、甘くて酸っぱい!」と至極当然なことを言いながら、今年最後のオススメ宣言をした隊長であった。
Papayaでは宮廷式の洗練された料理から、新しいレシピを取り入れたモダン・タイまで、幅広いレンジでメニューが取り揃えられている。それゆえにお客ごとに変わってくる多様なニーズにも、柔軟に対応してくれる。友人たちとの会食に最適なのはもちろん、クリスマスシーズンの食事にもきっと素敵な場と時間を与えてくれるはずだ。予約がないと席が取れないほどの人気店なので、事前の確認は忘れないように注意していただきたい。また、Cremorne(307-309 Military Road)にも同店のブランチがあるので、もしも予約でいっぱいな場合はそちらもチェックしてみてほしい。
購入場所:BEER WINE SPIRITS 441 Miller St Cammeray
「カジュアルな店内で本格派のできたてイタリアンをゆっくり楽しめる」というコンセプトのもと、2002年にドイツで産声を上げた『バピアーノ』。
まるで2本撮りをしたかのように、前回に続きまたまたチャッツウッドに終結した食べ歩き隊一向。今回は2005年にアッシュフィールドで産声を上げたオーストラリア初の餃子専門店シャンハイ・ダンプリングがチャツウッドに登場した情報をキャッチし、日本からのスペシャルゲスト、ミスターを向かえ潜入を試みる。餃子専門店のクオリティはいかに!?
アジア系の飲食店が急増しているチャッツウッドに、マレーシア国内でファイン・ダイニングのレストランを店舗展開しているシェフ・ラサ・サヤン・グループが半年前に上陸した。日本から戻ったばかりでもヤマグチ隊長のアンテナは常に感度良好。早速食べ歩き隊を引き連れてチャッツウッドへと乗り込むことに!
ヤマグチ隊長不在の中、記念すべき200回を迎えてしまったチープイート…。今回は200回記念特別企画として、いままで訪れたレストランの中から印象に強い、安くて旨いベスト3レストランご紹介しよう。
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