01/03/2010
シティからのアクセスも容易で、素敵なお店が多く並ぶことから、休日を過ごす街として人気のグリーブ。食べ歩き隊の目的地は、そんな洒落た街グリーブで3年前に開店したポーランド料理店『Na Zdrowie(ナズドロウィ)』であった。こじんまりとしながら、レンガと木材に装われた伝統的な造りの店内は、ヨーロッパの街でふらりとレストランに立ち寄ったかのような旅情を与えてくれる。店名にポーランド語で「乾杯(On Health)」を意味するご機嫌な名前を戴くこのお店で、貴重なポーランド料理との出会いを満喫する。
本日のアントレとして、食べ歩き隊がオーダーしたのは、Wedliny ($14.90)。ポーランドの名産であるシンカ(ハム)とキュウバーサ(ソーセージ)のセットである。スモークされた肉はまったく臭みがなく、代わりに深い薫りを口の中に広げる。薄味でさっぱりとした味わいは、ホース・ラディッシュ(西洋ワサビ)を用いたソースの爽やかさと一緒になって、夏らしいフレッシュな印象を残す。寒冷地の加工肉ということで塩辛さを覚悟していた隊員たちは、いい意味での肩透かしを受けたようで、その明るい表情から好印象が伝わってくる。日本ではあまり浸透していないが、欧米においては名の通った特産品であるポーランドのハム&ソーセージをぜひ一度試してみてほしい。
2品目は、ポーランドやドイツで日常的に食べられる国民食であるザワークラウトのシチュー、Bigos ($19.60)。乳酸菌とビタミンをたっぷり含む健康食品としても知られるザワークラウトを豚肉、ソーセージ、マッシュルームなどと一緒にじっくりと煮込んで出来上がるこの一品。ザワークラウトの持つ自然な酸味と具材が溶け合い、温かい旨みがたっぷりと滲み出ている。ここでもやはり印象的なのは、さっぱりとした優しい味わい。それは東欧料理ということで、何となく塩辛いものを頭に描いていた隊員たちの先入観とは一致しないものであった。しかしこの相違、実は偶然ではなく、中東欧の他地域のものに比べて薄味なことで知られるポーランド料理ゆえの必然。ポーランド料理はヨーロッパにおいて、日本の京都のような位置を占める存在なのである。じんわりと日本人の心に沁みるような味わいを持つポーランドの煮込み料理は、全隊員からオススメの推薦を受けた。
続いてはポーランドの伝統料理であり、東欧を中心にヨーロッパで広く食べられるPierogi ($19.90)を賞味。具を詰めたダンプリングを揚げた(あるいは茹でた)ものであり、見た目から何からいわゆる"餃子"そのものと言った趣きだ。ポーランドのピエロギの特徴は具として肉、野菜、チーズから果物まで多種多様な素材を用いること。当店のメニューにも数種のピエロギが並んでいるのだが、ここでも欲張りな食べ歩き隊は、便利なミックスセットを選択。テーブルに運ばれてきたのは、それぞれポーク、ザワークラウト、フレッシュチーズを具にしたピエロギと、3種のソース(マッシュルーム、サワークリーム、トマト)。カラッと揚がった衣は軽くしつこさがなく、それぞれの具、ソースとともに多彩なコンビネーションを味あわせてくれる。隊員たちの間で一番人気だったのは、フレッシュチーズのピエロギ。あっさりとしたチーズのやさしい美味さが大好評で、隊長も「見た目は餃子だけど、中にはやはり紛うことなきヨーロッパ世界が広がっていますよぉ!」と大絶賛。オススメ中のオススメ、「イチオシ」の称号が与えられた。
Golabki ($20.90)は、ポーランド式のロールキャベツ。フレンチにも劣らぬ流麗な盛り付けに、パリ在住の経歴を持つ隊長も思わず、「プレゼンテーションいいねぇ」と漏らす。よく煮込まれたキャベツは口の中でとろけていくほどにやわらかく、ハンバーグ状の具はしっとりとしてやわらかな旨みをたっぷりと含んでいる。具の合い挽きは豚肉、牛肉のほかにライスも一緒に練りこまれており、それが特有の滑らかな食感を生み出す秘訣となっているようだ。第8の公募ワーキングホリデー隊員・カナコさんは、「日本で食べるものよりトマトソースがさっぱりとしていて、何か新しい感覚で楽しめますね」と本日のフェイバリットにこの品をピックアップ。東欧風のインテリアにもよくマッチする当ロールキャベツは、ぜひ注文しておきたい一品だ。
メインディッシュとなるのは、まさに最後を飾るにふさわしい佇まいを見せるロースト・ダック、Kaczka ($27.90)。お腹の部分にリンゴを詰めた上で、オーブンで2時間かけてローストされたダックは、絶妙な火の通りによって香ばしく焼きあがり、また中の身はとてもジューシーで、瑞々しい旨みを内に充満させている。リンゴの酸味と甘みにより、やわらかく調理され、やさしく風味付けされた身は、あっさりしながら、とても豊かで深いコクを持つ。脂っこさがない分、皮から肉までまるごとすべて堪能できるのも嬉しい。また、日本人にとって新食感とも言えるモチモチさが衝撃的な添いつけのポテト・ダンプリング(Kopytka)も脇役に納まらない魅力を持っており、こちらも単品での追加オーダーが必要となるほど。組み合わまで完璧なこの一皿には、大満足のオススメ・コールが続いた。
ポーランド人はスウィーツも大好き。この日はポーランド式チーズケーキ、Sernik ($9.50)とポーランド式パンケーキ、Placuszki nalesnikowe($12.90)を堪能した。フレッシュチーズと卵をたっぷりと使用したチーズケーキは、表面がこんがりサクサクと焼かれ、中はスフレのように軽い食感で、且つしっとり。控えめの甘さがなんとも嬉しい。パンケーキは角切りのリンゴをふんだんに使った、素朴ながらも家庭的で温かい味わい。隊長も「おばあちゃんの作ってくれるお菓子って感じだね。こういう味って探すと意外とないもんなんだよねぇ」と話し、ホッと癒され顔だ。アイスクリームまで付いたこの2品のやさしい甘さで、皆さんも至福のやすらぎ感に包まれてみてはどうだろうか?
ヨーロッパ系としては実にリーズナブルなお店に出会い、幸先の良いスタートを切った食べ歩き隊。隊長の「2010年、来てるねぇ」という予言めいた言葉を聞く限り、今年も食べ歩き隊の珍道中は安泰そうである。歴史上、多様な民族の流入があったポーランドには多様で豊かな食文化が存在する。紹介し切れなかったが、スープ、魚料理、サラダなど、魅力的な料理がたくさんあるので、あなた自身の嗜好と直感で他の品も試してみてほしい。実は大がつくほどの親日国としても知られるポーランド。素晴らしい食と文化との貴重な巡り合いを見過ごす手はない。平日の夜にも満席なほどの人気店なので、予約はお忘れなく。
※値段はお取り扱いの店により異なります
「カジュアルな店内で本格派のできたてイタリアンをゆっくり楽しめる」というコンセプトのもと、2002年にドイツで産声を上げた『バピアーノ』。
まるで2本撮りをしたかのように、前回に続きまたまたチャッツウッドに終結した食べ歩き隊一向。今回は2005年にアッシュフィールドで産声を上げたオーストラリア初の餃子専門店シャンハイ・ダンプリングがチャツウッドに登場した情報をキャッチし、日本からのスペシャルゲスト、ミスターを向かえ潜入を試みる。餃子専門店のクオリティはいかに!?
アジア系の飲食店が急増しているチャッツウッドに、マレーシア国内でファイン・ダイニングのレストランを店舗展開しているシェフ・ラサ・サヤン・グループが半年前に上陸した。日本から戻ったばかりでもヤマグチ隊長のアンテナは常に感度良好。早速食べ歩き隊を引き連れてチャッツウッドへと乗り込むことに!
ヤマグチ隊長不在の中、記念すべき200回を迎えてしまったチープイート…。今回は200回記念特別企画として、いままで訪れたレストランの中から印象に強い、安くて旨いベスト3レストランご紹介しよう。
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