09/06/2010
TAGINE(タジン)は、2002年にエジプトから来豪したレミーさんが2006年にオープンした、シドニーでも貴重なエジプト・レストラン。2007年から3年連続でミドルイースタン・レストラン部門のアワード (Restaurant and Catering Association) を獲得していることもあり、本格料理を期待してよさそうだ。地理的に、また歴史的にイスラムから、イタリアン、フレンチなどのヨーロピアンまで、多様な影響を受けているのがエジプト料理の特徴。当店のメニューはシンプルにアントレ1品、メインディッシュ6品、デザート2品というもの。これらの品々からベールに包まれたエジプト料理の魅力を感じてほしい。
ラムのミートボール、チーズダンプリング、トマト、4種のディップが揃った当店自慢のアントレ。薄いパン生地であるピタに、ミートボール、ディップ、トマトを順に載せ、包み込むようにしてガブリといただく。くさみのないラム肉の旨みに添えられる、ディップとトマトの風味がなんとも清々しい。それぞれ、チックピー、エッグプラント、オリーブ、ヨーグルトをベースに作られるディップは、決して飽きのこない多彩な組み合わせ。隊員たちに好評だったヨーグルト・ディップのほか、深い味わいが印象的なエッグプラント・ディップもぜひお勧めしたい。また、フェタ、パルメザン、ハロウミという3種のチーズがたっぷりと詰まり、豊かな味を醸し出すダンプリングも見逃せない品。"前菜"の一言で済ませるにはあまりに惜しい、満足度大のアントレだ。
タジン(土鍋)をオーブンで熱して調理する、北アフリカ地域の名物料理である。数時間マリネされた後、タジンで煮込まれたシーフードは、自然とほぐれるほどにやわらかく、クミン、セロリ、コリアンダーといった香辛料を多用したソースは、味も香りも実にマイルド。スパイスを多用しながらも、辛みなどの強い刺激を出さずに、やさしく仕上げるのがエジプト料理の真髄とのこと。具材から染み出た旨みも見事に出汁の役割を演じており、まるで日本式の煮付けを食べているかのような飾り気のない美味しさに、隊員たちも癒され顔だ。思いのほか繊細で上品な味わいのエジプト料理を口にし、ひとり納得顔のヤマグチ隊長からいきなりのオススメ宣言が飛び出した。
鶏肉とソースだけというなんともシンプルな品だが、鶏肉のお腹の部分にアプリコットとイチジクが詰め込まれているのが特徴だ。タジンで蒸し焼き状に熱されることで、これらのフルーツが鶏肉を内側からやわらかく、みずみずしく仕上げている。ソースは、クリームにガーリック、そして'ハリッサ'と呼ばれる北アフリカ特有のチリペーストを加えただけのこれまたシンプルなものだ。クリームといえど重さを感じさせず、チリといいながら辛さを感じさせない、無駄な自己主張のないやさしいソースと、鶏肉から染み出るフルーティな甘さ。これだけの味つけを頼りに鶏肉の素材を味わうのだが、不思議なほど物足りなさはなく、至上の味わいとさえ言える洗練さを感じさせる。京料理を凌駕するほどの薄味ゆえに、テーブルで調味料を加えたがるお客も少なくないようだが、日本人ならばこの奥ゆかしい味に思わず唸ってしまうはず。シナモン風味のクスクスと一緒に味わおう。
ラムの肩肉をクミン、クローブ、ローズマリーなど7種の香辛料と一緒に4時間ほどじっくりと煮込んだ、当店のシグネチャーディッシュ。ほろほろとくずれるようにやわらかいラム肉は、しっとりとしていて、滑らかに喉へと落ちていく。調理時にオイル等は一切加えておらず、その円やかさはすべてラム肉自体の脂分であり、旨み。ここでもやはり香辛料がクセは出さずにアシストに徹し、不思議なほど上手に素材そのものの魅力を口に運んでくれる。初めのうちは冷静さを装っていた隊長も、「口の中でとろけるように旨みが広がるよぉ! 味の強弱も絶妙! 上品と言って差し支えないね!」と驚きを隠せない様子。レベルの高いメインディッシュ群の中でも頭ひとつ抜けた、この"ラムの煮込み"が栄えある本日のイチオシとなった。
ペストリー(パイ生地)、ナッツ、レーズンを蜂蜜風味のクリームに浸し、オーブンで焼いた温かいお菓子。西洋のデザートで時おり経験する過度の甘みはなく、蜂蜜の円い甘さがやさしく染みる。ミルクや蜂蜜、フルーツの香りをたっぷりと吸い込んだペストリーは、フワフワとした食感を演出。そこにアイスクリームのひんやりとしたフレイバーが加わるとき、最上の幸せ感が体中を駆け巡っていく。エジプトにおける"ママの味"であるというこのデザートは、オーナーのレミーさん自身にとっても、自宅で毎日食べるというほど大好物な一品。食べ歩き隊にとっても、久々となるデザート部門でのオススメ誕生となった。
豊かな食の産地であるエジプトだけに、肉、魚、野菜、それぞれの調理法をよく心得ているようだ。日本人の嗜好にこれほどまでに合う料理が、遠くアフリカの地にあったというのは何か不思議であり、感動的でもあった。見知らぬ土地で知り合った相手に、以前からずっと知っていたような親近感を覚える。そんな出会いに"懐かしさ"と"新鮮さ"を同時に味わった隊員たち。ワインを片手に微笑む表情もいつも以上にやさしく感じられる。日本人にはあまり馴染みのないエジプト料理。日本に帰国してからではなかなか食す機会もないかと思うので、シドニー滞在中にぜひ一度この魅惑の料理を味わってほしい。
「カジュアルな店内で本格派のできたてイタリアンをゆっくり楽しめる」というコンセプトのもと、2002年にドイツで産声を上げた『バピアーノ』。
まるで2本撮りをしたかのように、前回に続きまたまたチャッツウッドに終結した食べ歩き隊一向。今回は2005年にアッシュフィールドで産声を上げたオーストラリア初の餃子専門店シャンハイ・ダンプリングがチャツウッドに登場した情報をキャッチし、日本からのスペシャルゲスト、ミスターを向かえ潜入を試みる。餃子専門店のクオリティはいかに!?
アジア系の飲食店が急増しているチャッツウッドに、マレーシア国内でファイン・ダイニングのレストランを店舗展開しているシェフ・ラサ・サヤン・グループが半年前に上陸した。日本から戻ったばかりでもヤマグチ隊長のアンテナは常に感度良好。早速食べ歩き隊を引き連れてチャッツウッドへと乗り込むことに!
ヤマグチ隊長不在の中、記念すべき200回を迎えてしまったチープイート…。今回は200回記念特別企画として、いままで訪れたレストランの中から印象に強い、安くて旨いベスト3レストランご紹介しよう。
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