20/12/2011
肌寒くも夏、という季節を迎えてまだ明るさの残る夜7時、ストラスフィールド駅から歩いてわずか3分ほどの一角に、ひと目でそれとわかる賑わいを見せる店があった。通りに連なる看板は圧倒的にハングル、小さな食材店に入れば当然のように「アニョハセヨー」と声をかけられるこのエリアで、ローマ字でさらり「Saigon Bowl」と記された看板を掲げながら、ガラス越しに見える広い店内はすでに客で埋め尽くされ、活気に満ちた様子が窺える。
人の合間を縫って席に着くと、早速登場したのはコンプリメントの揚げ春巻き。ベトナムで現地の友達を訪れたヤマグチ隊長の体験談によると、彼らは肉や野菜などの具材がぎっしりつまったミニ揚げ春巻きを大皿にテンコ盛りにし、それだけで一食分の食事とすることもあるという。当店の揚げ春巻きも、野菜メインの具だくさん、カラリと揚がったベトナム風で、もたれることなくサクサクと食が進む。店側の不意打ち先制攻撃に、はやる気持ちを抑えきれない食べ歩き隊員たち。
豚肉と海老、春雨を、たっぷりのレタスやニラなどとライスペーパーでくるんだ生春巻きで、ピーナッツソースとホイシンソース(海鮮醤)を組み合わせたソースで頂く。どこかピーナッツ味噌を思わせる甘辛で濃厚なたれはシャキシャキの野菜と淡白な春雨によくマッチし、定番メニューの合格ラインを余裕でクリアする鮮やかな滑り出しだ。
表面カリカリに焼き上げられたチキンの中に、細かくミンチされた豚肉&海老、人参や春雨などのフィリングが詰められた一品で、フィッシュソースとともに食す。見た目はチキンだが、詰められている具材はシェフに聞かないと分からない。意外性のある味わいに、「何だろう?って不思議なんだけど、色々混ざってて美味しいのよね~!」とO隊員。さらに自らフィッシュソースを手作りするというR隊員も「このフィッシュソースも、いいもの使ってるから臭みがなくていいね」と背中を押し、本日第一弾のオススメ宣言が出された。 ところでそもそも東南アジア料理では欠かせない調味料であるフィッシュソース(魚醤)とは、魚を塩漬けにして数ヵ月以上発酵させ、液化したものをろ過して作る魚の醤油のこと。タイではナンプラー、ベトナムではヌックマムと呼ばれており、秋田名物のハタハタから作る「しょっつる」や、能登半島でイワシの骨や内蔵をベースに漬け込んだ「いしる」なども魚醤の一種だ。魚のたんぱく質が分解されて生じる"うま味"成分を豊富に含み、隊長いわく「ごはんにたっぷりかけて食べると、おいしいよ!」。フィッシュソースはおかわり自由の店が多いので、遠慮せずたっぷりともらって楽しもう。
春雨の上に特製ダレに漬け込まれて焼かれた牛肉とレタス、キュウリ、もやし、玉ねぎなどの野菜がどさりと盛られ、ミントの葉が香るサラダヌードル感覚のBUN BO XAO ($13.00)。我らが麺食い代表・ヤマグチ隊長が第一声、「あっ、コレいいかもしれない! 麺もアルデンテ!」と発すれば、その前でO隊員が「野菜が新鮮?!」と感嘆の声をあげ、さらにその斜向かいでは本日初参戦のM隊員が「春雨ヌードルって、他ではもっと固まってぼそぼそしているけど、これはツルッとして初めての喉越し!」と続く。我は我はと言いたい放題の隊員たちだが、これぞ真に「安くて美味いもの」に遭遇したときの感動を表す正しいカオス状態である。夏にもぴったり!と、ここに今夜のイチオシが決定した。
醤油と蜂蜜に漬け込んで焼いた豚肉をブロークンライスの上に載せた、隊員名づけていわく、「ベトナム風焼肉丼」。「あ、コレ美味しい!」と歓声を挙げたのは、本日ふたり目の初参加でありながら「ひとりチープイートをして食べ歩いてました」というツワモノ、H隊員。甘辛く味付けされた柔らかな豚肉とブロークンライスとのコンビネーションは最強で、迷いなくオススメとなった。ブロークンライスとは、その名の通り長粒米を細かく砕いて炊き上げたもの。昔、主に米は輸出用で、ベトナムの人々は割れて出荷できない米を食べていたのが由来というが、今ではわざわざ機械で砕いているのだとか。そのつぶつぶ感が、北アフリカなどで食される世界最小のパスタ、「クスクスに通じるものがある!」とすっかり意気投合して盛り上がるH隊員とヤマグチ隊長。
チキンベースのスープにライスヌードル、牛肉に玉ねぎ、その上に引き締め役のパクチーが香る定番フォーだ。レモンをたっぷりと搾ると味に深みが出るので、絶対に試してほしい。追加のレモンを店員に頼むと、皿に山盛りのレモンが出てきた。思わず笑ってしまうこの豪快さもチープイートならでは。さて、定番フォーの登場を受け、ここでヤマグチ隊長の食文化講座。「シドニーでベトナム料理が発展した背景には、ベトナム難民の受け入れがある。オーストラリアは、人口比に占める難民受け入れ数は世界でNo.1だからね。ベトナムタウンとして知られるカブラマッタは、近くにベトナム難民センターがあったんだ」。難民の受け入れと街の発展、そして食文化には密接な関係があるというミニ講義に、今宵もまたひとつ賢くなってしまった食べ歩き隊員たち。
容赦ないこのサーブのスピードは、しかしチープイート繁盛店の証でもある。天ぷらを思わせる白い衣で揚げられたイカは、よくお目にかかる一品ながら、特筆すべきはその柔らかさだ。レモンを絞ってひと口運べば、サクッとした衣とともにスッと噛み切れ、思わず「おっ」と驚く食感。あっさりとオススメが決まった。「すごいやわらかぁい!?」と感動し、ついつい手が伸びてしまうドクターOは、「食べ過ぎたらイカん!」と自ら喝を入れている。この夏は肌寒いシドニーの異常気象も、ドクターOのパワフルさにはなんら支障はないようだ。
きしめん状の平たい麺に、あんかけ風にとろみのついたチキン、ビーフ、ベビーコーン、人参、ちんげん菜などの具材がどん!と載っている。もちもちとした食べ応えのある麺に、イメージ的にはベトナム風焼うどんといったところか。日本人の口によく合う味わいだ。
イコロステーキはしっかりとした厚みながら、噛むと意外なほどに柔らかくジューシーで大満足。いかにも男性向けのようなボリューミーな外見だが、レモンをサッと絞ると爽やかさがプラスされ、女性隊員からもかなりの好評だった。
「どれを頼んでもハズレがない」とC隊員が語る通り、全体的にレベルの高い品々を、10ドル前半の相場で惜しみなく提供する当店。若者からも支持され、人の絶えない人気店となるのもうなずける。夜9時半ごろ、通りに連なる店たちはシャッターを降ろして静かな夜を迎える中、この店だけが別世界のように人々のエネルギーに満ち溢れていた。気まぐれ天気のこの夏も、寒い日は熱々のフォーを、暑い日には新鮮な野菜たっぷりのツルッとサラダヌードルを、どちらも体に嬉しいベトナム料理を味わいに行ってみてはどうだろう。
「カジュアルな店内で本格派のできたてイタリアンをゆっくり楽しめる」というコンセプトのもと、2002年にドイツで産声を上げた『バピアーノ』。
まるで2本撮りをしたかのように、前回に続きまたまたチャッツウッドに終結した食べ歩き隊一向。今回は2005年にアッシュフィールドで産声を上げたオーストラリア初の餃子専門店シャンハイ・ダンプリングがチャツウッドに登場した情報をキャッチし、日本からのスペシャルゲスト、ミスターを向かえ潜入を試みる。餃子専門店のクオリティはいかに!?
アジア系の飲食店が急増しているチャッツウッドに、マレーシア国内でファイン・ダイニングのレストランを店舗展開しているシェフ・ラサ・サヤン・グループが半年前に上陸した。日本から戻ったばかりでもヤマグチ隊長のアンテナは常に感度良好。早速食べ歩き隊を引き連れてチャッツウッドへと乗り込むことに!
ヤマグチ隊長不在の中、記念すべき200回を迎えてしまったチープイート…。今回は200回記念特別企画として、いままで訪れたレストランの中から印象に強い、安くて旨いベスト3レストランご紹介しよう。
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