オーストラリア・シドニーを楽しむための生活情報誌「チアーズ」
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Fish Face

05/12/2009

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「オーシャン・トラウト、マッシュロームとリークのパイ包み、ソレルソール添え」

シドニーのゲイ・コミュニティーの中心地であるオックスフォードストリートと、歓楽街のキングスクロスを結ぶダーリングハーストロード。2つの街の賑やかさとは裏腹に、落ち着いた大人の雰囲気が漂うこの通りに、小ぢんまりとしたシーフード・レストランがある。魚を知り尽くしたシェフがいて、寿司・刺身も堪能できると聞き、行列を覚悟で店を訪れた。

 シンプルなインテリアの店内は、平日、週末を問わず連日満席。開放的なオープンキッチンから聞こえてくるシェフたちの活気あふれる声が、訪れる者を楽しい気分にさせてくれる。メニューを見ると、日本では高級魚のアラ(ハプーカ=Hapuka)、マトウダイ(ジョンドーリー=John Dory)など、「おっ、旨そう!食べてみたい!」と思わせる美味な魚が目に飛び込んでくる。その中からシグネチャー・ディシュの「オーシャン・トラウト、マッシュロームとリークのパイ包み、ソレルソール添え」をチョイス。肉料理みたいに焼き加減をウェイターに聞かれて少々驚いたが、ここでは自分の好みに応じてくれるのだ。ウワサ通り「本気のシーフード」を食べに来たのだと思わされた。
  上品に盛り付けられたオーシャン・トラウトとパイを「サクサクッ」と音を立てながらフォークで切り、白いソースをたっぷりかけていただくと、新鮮なオーシャン・トラウトの柔らかい身とクリーミーなソースが、口の中で美しい和音を奏でる。リーク(西洋ネギ)のシャキシャキした歯ごたえと、爽やかな酸味が効いているので、後味もさっぱりとしていていい。
 止まらない手を休めるかのようにワインを飲む。お勧めは「ワード・オブ・マウス, ピノ・グリ」(グラス$8.00、ボトル$39.00)だ。引き締まった辛口のテイストが口の中を爽快にしてくれる。ニューサウスウェールズ州オレンジ地方産のこのワインは、ピノ・グリ独特の蜂蜜のような甘さが控えめなところが大きな特徴である。
 「確実に、シドニーで一番良い魚を確保している」と断言するホッジスさん。シドニー・フィッシュ・マーケットを通さない独自のルートで、全ての魚を1匹丸ごと仕入れ、店に着くとすぐに手際よくさばく。そして特注の魚用冷蔵庫で保存する。これはホッジスさんがデザイン、考案したもので、温度は摂氏0~1度に徹底してコントロールされていて、潤いを保つために送風機が付いていないそうだ。
 それではホッジスさん自慢の生の魚を楽しまなければと、寿司を頼む。日本の割烹料理屋で10年間修行を積んだという日本人シェフが握る寿司は、こだわりが随所に感じられる。常に「握りたてのすし」を提供することを心がけていて、シャリがほのかに温かいので食感がフワッとしている。箸を使わず手で寿司をつかみ、特製醤油をほんの少し付けて食べれば、彼らが熱心に語る「哲学」が本物だということに気付く。ファストフード化した「オーストラリアの寿司」とは全く違う。「こりゃぁ、うめ~!」。脂の乗った新鮮な魚が、本来の味を最大限に発揮し、甘味のある醤油がさらに旨味を引き出している。
 ただ一重に魚を美味しく食べて欲しいと願うシェフたちが創造する、こだわりの結晶。オージー経営のレストランでは日本人の舌にかなう魚料理に出会えないと思われがちだが、定説を圧倒的に覆してくれるこの小さな料理屋に、並んででもまた来たいと思った。


「ワード・オブ・マウス, ピノ・グリ」は
甘さが控えめで人気のシグネチャー・ディッシュによく合う


Fish Face

132 Darlinghurst Rd., Darlinghurst NSW 2010
Tel: 02 9332 4803 Takeaway: 02 9332 4809
Website: www.fishface.com.au

Open 7 Nights
月~土:6pm~10pm 
日:6pm~9pm

参考価格:
Entree: $3.50~
Mains: $30.50~
寿司(単品): $3.50~
刺身盛り合わせ(8ps): $21.50
Beer: $6
Wine: Glass:$6.50~
Bottle:$29.00~
BYO charge: $7.50 per bottle


案内人
Owner and Head Chef
Stephen Hodges
オーナー兼ヘッドシェフ
スティーブン・ホッジスさん

14歳の時から料理を始め、15歳でプロの道に入ったシェフ歴27年のベテラン。両親がホテルを経営していたこともあり、幼少の頃からホスピタリティー業界に精通しているという。シドニー東部ローズベイにある高級レストラン、「ピア」(Pier)のヘッドシェフを経て、今の店をオープン。「料理は哲学」がモットー。漁師の祖父を持ち「魚博士」の異名を持つ。研究熱心で情報収集も欠かさないが、プライベートでは楽しいことが大好き。とてもフレンドリーでチャーミングな彼の人柄も、客が絶えない秘密だろう。


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